大和俗訓 / 巻之五・言語
一一言のあやまちにて莫大の禍となり、一事のあやまちにて一生の憂となる。愼むべし。平生つゝしみある人も、事により時によりて、怠りたゆみぬれば、一言一事のあやまちによりて、思ひの外に大なるわざはひとなる事あり。一言一事も、つゝしまずんばあるべからず。
新字:一一言のあやまちにて莫大の禍となり、一事のあやまちにて一生の憂となる。慎むべし。平生つゝしみある人も、事により時によりて、怠りたゆみぬれば、一言一事のあやまちによりて、思ひの外に大なるわざはひとなる事あり。一言一事も、つゝしまずんばあるべからず。
書き下し
一一言のあやまちにて莫大の禍となり、一事のあやまちにて一生の憂となる。慎むべし。平生つつしみある人も、事により時によりて、怠りたゆみぬれば、一言一事のあやまちによりて、思ひの外に大なるわざはひとなる事あり。一言一事も、つつしまずんばあるべからず。
現代語訳
一言の過ちで莫大な禍となり、一事の過ちで一生の憂いとなります。つつしみなさい。ふだんつつしみのある人でも、事により時によって、怠りゆるめば、一言一事の過ちによって、思いのほか大きな災いとなることがあります。一言一事も、つつしまないではいられません。
解説
たった一言、たった一つの行いが、一生を左右する災いになりうるという警告です。益軒は、ふだん慎重な人でも、気がゆるんだ一瞬に大きな失敗をすることがあると指摘します。油断は慎重な人にも訪れるのです。長年築いた信用が、酒の席での一言や、疲れているときの軽率な判断で崩れてしまう例は珍しくありません。慣れた場面や気心の知れた相手の前でこそ気を抜かないという心がけが、大きな災いから身を守ってくれます。
この章句が説くこと
慎み言語油断災い一言
関連する章句
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