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大和俗訓 / 巻之四・心術下

一怒と慾とによりて、少の間、少の事を堪忍せずして、莫大のあやまりとなり、一生のわざはひとなる。はては身をうしなふにいたる事あり。つゝしむべし。すこしの間、つつしまずして、災にいたるは、いたりて愚なり。

書き下し

一怒と慾とによりて、少の間、少の事を堪忍せずして、莫大のあやまりとなり、一生のわざはひとなる。はては身をうしなふにいたる事あり。つつしむべし。すこしの間、つつしまずして、災にいたるは、いたりて愚なり。

現代語訳

怒りと欲によって、少しの間、少しのことを堪忍せずに、莫大な誤りとなり、一生の災いとなります。果ては身を失うに至ることもあります。つつしみなさい。少しの間つつしまずに災いに至るのは、きわめて愚かなことです。

解説

短いながら重い一条です。怒りや欲に駆られた一瞬の振る舞いが、取り返しのつかない過ちとなり、ときに命まで失わせると益軒は警告します。その多くは、ほんの少しの間こらえれば避けられたものです。カッとなって口にした一言、衝動的な買い物や投資、あおり運転のような一瞬の激情が人生を狂わせる例は、今も後を絶ちません。「少しの間」をこらえる力こそが一生を守るという教えは、怒りのピークは数秒で過ぎるという現代の知見とも重なります。

この章句が説くこと

堪忍怒り欲災い慎み

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