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大和俗訓 / 巻之五・衣服

一衣服は儉素にかざりすくなく、よの常にして賤しからざるがよし。又まどしき人も、つとめて潔くあかづき穢れざるを用ふべし。富める人も、美麗をこのみ、無用の服多くすべからず。又甚質朴に過ぎて、けがらはしく鄙野なるもあしゝ。染色は正色を用ふべし、紫もえぎなどの間色、すべて女子の服にちかきを用ふべからず。紅紫をば、褻の服、衾褥にもすべからず。

新字:一衣服は倹素にかざりすくなく、よの常にして賤しからざるがよし。又まどしき人も、つとめて潔くあかづき穢れざるを用ふべし。富める人も、美麗をこのみ、無用の服多くすべからず。又甚質朴に過ぎて、けがらはしく鄙野なるもあしゝ。染色は正色を用ふべし、紫もえぎなどの間色、すべて女子の服にちかきを用ふべからず。紅紫をば、褻の服、衾褥にもすべからず。

書き下し

一衣服は倹素にかざりすくなく、よの常にして賤しからざるがよし。又まどしき人も、つとめて潔くあかづき穢れざるを用ふべし。富める人も、美麗をこのみ、無用の服多くすべからず。又甚質朴に過ぎて、けがらはしく鄙野なるもあしし。染色は正色を用ふべし、紫もえぎなどの間色、すべて女子の服にちかきを用ふべからず。紅紫をば、褻の服、衾褥にもすべからず。

現代語訳

衣服は倹素で飾りが少なく、普通であっていやしくないのがよいのです。また貧しい人も、努めて清潔で、垢じみて汚れていないものを用いなさい。富んだ人も、美麗を好んで、無用の服を多く持ってはいけません。また、あまりに質朴に過ぎて、汚らしく野暮なのも悪い。染め色は正色を用いなさい。紫や萌黄などの間色や、すべて女性の服に近いものを用いてはいけません。紅や紫は、ふだん着や夜具にもしてはいけません。

解説

衣服の基本は倹約と清潔だという教えです。貧しくても清潔を心がけ、富んでいても無用な服を増やさず、かといって汚らしいほど質素にするのもよくないと、極端を避ける中庸の考えが貫かれています。頭注によれば間色とは二種以上の色を混ぜた色のことで、儒教では正色を尊び、紅紫を慎む考えが『論語』郷党篇にも見えます。服を必要以上に買わず、手持ちを清潔に手入れして着るという姿勢は、今のミニマリズムや持続可能な暮らしにも通じます。

この章句が説くこと

倹約衣服清潔中庸節度

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