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大和俗訓 / 巻之二・為学下

一千里の道も一歩よりはじまる。たとへば遠き所に行くに、出でたつ足もとよりはじまりて、つとめ行きて止まざれば、とゞかざる事なし。學んで道にいたるも亦かくの如くなるべし。志を立てゝ道をまなび、つとめ行ひて止まず、久しく年をつまば、などか其功を成して、遠大にいたらざらん。たとへば商人の一錢ををしみ、つみかさねて久しく年ふれば、大なる富人となるが如し。

新字:一千里の道も一歩よりはじまる。たとへば遠き所に行くに、出でたつ足もとよりはじまりて、つとめ行きて止まざれば、とゞかざる事なし。学んで道にいたるも亦かくの如くなるべし。志を立てゝ道をまなび、つとめ行ひて止まず、久しく年をつまば、などか其功を成して、遠大にいたらざらん。たとへば商人の一銭ををしみ、つみかさねて久しく年ふれば、大なる富人となるが如し。

書き下し

一千里の道も一歩よりはじまる。たとへば遠き所に行くに、出でたつ足もとよりはじまりて、つとめ行きて止まざれば、とどかざる事なし。学んで道にいたるも亦かくの如くなるべし。志を立てて道をまなび、つとめ行ひて止まず、久しく年をつまば、などか其功を成して、遠大にいたらざらん。たとへば商人の一銭ををしみ、つみかさねて久しく年ふれば、大なる富人となるが如し。

現代語訳

千里の道も一歩から始まります。たとえば遠い所へ行くのに、出発する足もとから始まって、努めて行き続けて止まらなければ、たどり着かないことはありません。学んで道に至るのもまたこのようであるべきです。志を立てて道を学び、努め行って止まらず、長く年を重ねれば、どうしてその功を成して、遠く大きなところへ至らないことがありましょう。たとえば商人が一銭を惜しみ、積み重ねて長い年月を経れば、大きな金持ちになるようなものです。

解説

『老子』の「千里の行も足下より始まる」でよく知られる言葉を、益軒は学問の心得として使っています。大切なのは、志を立てて止まらずに続けることです。後半では商人が一銭を惜しんで積み重ね、やがて大富豪になるたとえを添えており、町人の読者にも身近に感じられる工夫がうかがえます。毎日少しずつの読書や運動、貯金も同じで、目立たない積み重ねこそが遠い目標に届く唯一の道だと教えてくれます。

この章句が説くこと

継続志学問積み重ね努力

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