大和俗訓 / 巻之一・為学上
一人の性は本善なれども、凡人は氣質と人欲に妨げられて善を失ふ。氣質とは生れつきを云ふ。人欲とは、人の身の耳目口體に好むことの、よき程に過るを云ふ。生れつき惡しければ人欲行はれやすし。さればすべて人たる者は、古のひじりの敎を學んで、人となれる道を知り、氣質の惡しきくせを改め、人欲の妨を去りて、本性の善にかへるべし。是學問の道なり。故にいにしへの聖人、をしへを立て、天下の人に學ばしめ給ふは、人の性皆善なる故、學んで善にかへる道あればなり。
新字:一人の性は本善なれども、凡人は気質と人欲に妨げられて善を失ふ。気質とは生れつきを云ふ。人欲とは、人の身の耳目口体に好むことの、よき程に過るを云ふ。生れつき悪しければ人欲行はれやすし。さればすべて人たる者は、古のひじりの教を学んで、人となれる道を知り、気質の悪しきくせを改め、人欲の妨を去りて、本性の善にかへるべし。是学問の道なり。故にいにしへの聖人、をしへを立て、天下の人に学ばしめ給ふは、人の性皆善なる故、学んで善にかへる道あればなり。
書き下し
一人の性は本善なれども、凡人は気質と人欲に妨げられて善を失ふ。気質とは生れつきを云ふ。人欲とは、人の身の耳目口体に好むことの、よき程に過るを云ふ。生れつき悪しければ人欲行はれやすし。さればすべて人たる者は、古のひじりの教を学んで、人となれる道を知り、気質の悪しきくせを改め、人欲の妨を去りて、本性の善にかへるべし。是学問の道なり。故にいにしへの聖人、をしへを立て、天下の人に学ばしめ給ふは、人の性皆善なる故、学んで善にかへる道あればなり。
現代語訳
一、人の性はもともと善ですが、普通の人は気質と人欲に妨げられて善を失います。気質とは生まれつきをいいます。人欲とは、人の身の耳・目・口・体が好むことが、ほどよさを超えることをいいます。生まれつきが悪ければ人欲が起こりやすいのです。ですからすべて人たる者は、古の聖人の教えを学んで人としての道を知り、気質の悪い癖を改め、人欲の妨げを取り除いて、本性の善に帰るべきです。これが学問の道です。ですから昔の聖人が教えを立てて天下の人に学ばせなさったのは、人の性がみな善であるので、学んで善に帰る道があるからです。
解説
この章句が説くこと
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