導師導古典を学びたいすべての人に

和俗童子訓 / 巻之一・総論上

必脾胃を破り、病を生ず。小兒の不慮に死する者は、多くは是によれり。また衣をあつくして溫め過せば、熱を生じ、元氣をもらすゆゑ、筋骨ゆるまりて、身弱し。皆是病を生ずるの本なり。唐も大和も、古より童子の衣の脇をあくるは、童子は氣さかんにして、熱多きゆゑ、熱をもらさんが爲なり。是を以て、小兒は溫め過すが惡しき事を知るべし。天氣よき時は、をりをり外に出して、風日にあたらしむべし。斯の如くすれば、はだへ堅く、血氣强くなりて、風寒に感ぜず。風日にあたらざれば、膚もろくして、風寒に感じ易く、わづらひ多し。小兒の養ひの法を、かしづき育つる者に、能くいひ聞かせ敎へて、心得しむべし

新字:必脾胃を破り、病を生ず。小児の不慮に死する者は、多くは是によれり。また衣をあつくして温め過せば、熱を生じ、元気をもらすゆゑ、筋骨ゆるまりて、身弱し。皆是病を生ずるの本なり。唐も大和も、古より童子の衣の脇をあくるは、童子は気さかんにして、熱多きゆゑ、熱をもらさんが為なり。是を以て、小児は温め過すが悪しき事を知るべし。天気よき時は、をりをり外に出して、風日にあたらしむべし。斯の如くすれば、はだへ堅く、血気強くなりて、風寒に感ぜず。風日にあたらざれば、膚もろくして、風寒に感じ易く、わづらひ多し。小児の養ひの法を、かしづき育つる者に、能くいひ聞かせ教へて、心得しむべし

書き下し

必脾胃を破り、病を生ず。小児の不慮に死する者は、多くは是によれり。また衣をあつくして温め過せば、熱を生じ、元気をもらすゆゑ、筋骨ゆるまりて、身弱し。皆是病を生ずるの本なり。唐も大和も、古より童子の衣の脇をあくるは、童子は気さかんにして、熱多きゆゑ、熱をもらさんが為なり。是を以て、小児は温め過すが悪しき事を知るべし。天気よき時は、をりをり外に出して、風日にあたらしむべし。斯の如くすれば、はだへ堅く、血気強くなりて、風寒に感ぜず。風日にあたらざれば、膚もろくして、風寒に感じ易く、わづらひ多し。小児の養ひの法を、かしづき育つる者に、能くいひ聞かせ教へて、心得しむべし

現代語訳

必ず胃腸を損ない、病気を生じます。子どもが思いがけず死ぬのは、多くはこれによるのです。また衣服を厚くして温め過ぎると、熱を生じて元気を漏らすので、筋骨がゆるんで体が弱くなります。これらはみな病気を生む元です。中国でも日本でも、昔から子どもの着物の脇をあけておくのは、子どもは気が盛んで熱が多いので、熱を逃がすためです。このことから、子どもは温め過ぎるのが悪いとわかるでしょう。天気のよい時は時々外に出して、風や日光に当てなさい。そうすれば肌が丈夫になり、血気が強くなって、風や寒さに負けません。風や日光に当たらなければ、肌が弱くなって風邪をひきやすく、病気が多くなります。子どもを養うこの方法を、世話をして育てる者によく言い聞かせ教えて、心得させなさい。

解説

前の条に続き、食べ過ぎと温め過ぎの害を説き、外気に当てて鍛えることを勧めています。子どもの着物の脇が開いているのは熱を逃がすためだという説明は、身八つ口の由来に触れた興味深い観察です。益軒は本草学者でもあり、晩年の養生訓でも「気」を漏らさず滞らせないことを重んじました。外遊びで日光と風に当てれば丈夫になるという教えは、今の外遊びの効用とも重なります。最後に、実際に世話をする人に方法を言い聞かせよとある点も、家族全体で育児の方針を共有する大切さを示しています。

この章句が説くこと

養生元気子育て外遊び健康

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る