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素書 / 『素書』福禍は積み重ねにある

怨在不舍小過、患在不預定謀。福在積善、禍在積惡、饑在賤農、寒在惰織、安在得人、危在失事。富在迎來、貧在棄時。上無常躁、下無疑心。輕上生罪、侮下無親。近臣不重、遠臣輕之。自疑不信人、自信不疑人。

新字:怨在不舎小過、患在不預定謀。福在積善、禍在積悪、饑在賤農、寒在惰織、安在得人、危在失事。富在迎来、貧在棄時。上無常躁、下無疑心。軽上生罪、侮下無親。近臣不重、遠臣軽之。自疑不信人、自信不疑人。

書き下し

怨みは小過を舎かざるに在り、患いは預め謀を定めざるに在り。福は善を積むに在り、禍は悪を積むに在り、饑えは農を賤しむに在り、寒きは織を惰るに在り、安きは人を得るに在り、危うきは事を失うに在り。富は来たるを迎うるに在り、貧は時を棄つるに在り。上常に躁ぐこと無ければ、下疑心無し。上を軽んずれば罪を生じ、下を侮れば親しむ無し。近臣重んぜられざれば、遠臣之を軽んず。自ら疑う者は人を信ぜず、自ら信ずる者は人を疑わず。

現代語訳

怨みは、小さな過ちを見逃さないところから生まれ、患いは、あらかじめ計画を定めていないところから生まれます。福は善を積むことにあり、禍は悪を積むことにあり、飢えは農を軽んじることにあり、寒さは機織りを怠ることにあり、安らぎは人を得ることにあり、危うさは事を失うことにあります。富は訪れる機会を迎えることにあり、貧しさは時機を捨てることにあります。上に立つ者がいつも騒がしくなければ、下の者に疑心は生じません。上を軽んじれば罪が生じ、下を侮れば親しむ者がなくなります。近くの臣が重んじられなければ、遠くの臣はこれを軽んじます。自分を疑う者は人を信じず、自分を信じる者は人を疑いません。

解説

第六章の前半にあたる、安礼章とされる部分の始まりで、福禍、人材、国の盛衰を対にして述べます。福と禍を積み重ねの結果とし、飢えを農の軽視、寒さを織の怠りに結びつけて、土台となる生産を軽んじるな、と説きます。「近臣重んぜられざれば、遠臣これを軽んず」は、身近な人を大切にしない組織は外からも軽んじられる、と読めます。最後の「自ら信ずる者は人を疑わず」は、自分への信頼と他者への信頼が連動することを示し、リーダーの内面の安定が組織の信頼の基盤だと教えてくれます。
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この章句が説くこと

積善積悪農得人時を棄つ近臣

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