修身要領 / 第四条
身体を大切にし健康を保つは、人間生々の道に欠く可らざるの要務なり。常に心身を快活にして、苟めにも健康を害するの不養生を戒む可し。
書き下し
身体を大切にし健康を保つは、人間生々の道に欠くべからざる要務なり。常に心身を快活にして、いやしくも健康を害するの不養生を戒むべし。
現代語訳
体を大切にして健康を保つことは、人が生きていくうえで欠かせない大事な務めです。常に心も体も快活にして、少しでも健康を損なうような不養生をしないよう、自分を戒めなければなりません。
解説
健康管理を、個人の好みではなく人の務めとして位置づけた条です。独立自尊の人は心身の独立を保つはずなので、体を壊して他人の世話にならざるを得なくなることは、その土台を崩すことになります。ここでいう快活は、気持ちの面も含みます。心身を同じ重さで見ている点は、今日のメンタルヘルスの考え方にも通じます。忙しさや責任感を理由に睡眠や休みを削る働き方は、一見立派でも、長く続けば自分も周囲も苦しくします。休むことを、務めの一部として考えたい条文です。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
健康不養生心身快活要務養生独立
関連する章句
-
修身要領・第二条心身の独立を全うし、みずからその身を尊重して、人たるの品位を辱めざるもの、これを独立自尊の人と言う。
-
修身要領・第五条天寿を全うするは人の本分を尽くすものなり。原因事情のいかんを問わず、みずから生命を害するは、独立自尊の旨に反する背理卑怯の行為にして、最も賤しむべき所なり。
-
『呻吟語』内篇・修身・心は常に操り、身は常に勞す心は常に操るを要し、身は常に勞するを要す。心は愈いよ操れば愈いよ精明なり、身は愈いよ勞すれば愈いよ強健なり。但だ自ら過ぐ可からざるのみ。
-
言志四録・言志後録 第二十一条 礼義を以て心を養ふ礼義を以て心を養ふ者は、即ち体躯を養ふの良剤なり。心養ひを得れば、則ち身自ら健やかなり。旨甘を以て口腹を養ふ者は、即ち心を養ふの毒薬なり。心養ひを失へば、則ち身も亦病む。
-
修身要領・第一条人は人たるの品位を進め、智徳を磨き、ますますその光輝を発揚するをもって、本分となさざるべからず。吾党の男女は、独立自尊の主義をもって修身処世の要領となし、これを服膺して、人たるの本分を全うすべきものなり。
-
『養生訓』巻第一・総論上一養生の術は、つとむべき事をよくつとめて、身をうごかし、気をめぐらすをよしとす。つとむべき事をつとめずして、臥す事を好み、身をやすめおこたりて動かさざるは、甚養生に害あり。久しく安坐し、身を動さざれば、元気めぐらず、食気とどこほりて病おこる。殊に臥す事を好み、ねぶり多きを忌む。食後には必ず数百歩歩行して、気をめぐらし、食を消すべし。ねぶり臥すべからず。父母につかへて力をつくし、君につかへてまめやかにつとめ、朝は早くおき、夕はおそく寝ね、四民ともに我が家事をよくつとめておこたらず。士となれる人は、いとけなき時より、書をよみ、手を習ひ、礼楽をまなび、弓を射、馬にのり、武芸をならひて、身をうごかすべし。