修身要領 / 第三条
自から労して自から食ふは、人生独立の本源なり。独立自尊の人は自労自活の人たらざる可らず。
書き下し
みずから労してみずから食うは、人生独立の本源なり。独立自尊の人は自労自活の人たらざるべからず。
現代語訳
自分で働いて自分で食べていくことは、人が独立して生きていくための根本です。独立自尊の人は、自分で働いて自分の力で生計を立てる人でなければなりません。
解説
精神的な独立を語る前に、まず経済の土台を置いた条です。自分の働きで食べていけてこそ、他人の顔色をうかがわずに判断できる、という考え方で、福沢が一貫して重んじた実学の精神にも通じます。一方で、働けない時期や事情のある人を責める条文ではなく、独立の出発点を示したものと読めます。現代の職場でも、収入の源を会社に全面的に預けるのではなく、どこでも通用する力を身につけておくことが、自分の意思で選ぶ自由につながります。自分で稼ぐ力は、自分で決める力の裏づけです。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
自労自活経済的独立独立の本源生計働くこと
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福沢諭吉小品集・修身要領・第1段文明日新の修身処世法は、如何なる主義に依り如何なる方向に進む可きやとは、今の青年学生の大に惑ふ所にして、先輩に対して屡質問を起すものあり。福沢先生これに答ふる為めにとて、生等に嘱して文案を草せしむ。即ち先生平素の言行に基き、其大要を述べて、先生の閲覧を乞ひ、之を修身要領と名け、学生に示すこと左の如し。 明治三十三年二月紀元節 慶応義塾社中某々誌 凡そ日本国に生々する臣民は、男女老少を問はず、万世一系の帝室を奉戴して、其恩徳を仰がざるものある可らず。此一事は、満天下何人も疑を容れざる所なり。而して今日の男女が今日の社会に処する道を如何す可きやと云ふに、古来道徳の教、一にして足らずと雖も、徳教は人文の進歩と共に変化するの約束にして、日新文明の社会には自から其社会に適するの教なきを得ず。即ち修身処世の法を新にするの必要ある所以なり。 第一条 人は人たるの品位を進め、智徳を研き、ます/\其光輝を発揚するを以て、本分と為さざる可らず。吾党の男女は、独立自尊の主義を以て修身処世の要領と為し、之を服膺して、人たるの本分を全うす可きものなり。 第二条 心身の独立を全うし、自から其身を尊重して、人たるの品位を辱めざるもの、之を独立自尊の人と云ふ。 第三条 自から労して自から食ふは、人生独立の本源なり。独立自尊の人は自労自活の人たらざる可らず。 第四条 身体を大切にし健康を保つは、人間生々の道に欠く可らざるの要務なり。常に心身を快活にして、苟めにも健康を害するの不養生を戒む可し。 第五条 天寿を全うするは人の本分を尽すものなり。原因事情の如何を問はず、自から生命を害するは、独立自尊の旨に反する背理卑怯の行為にして、最も賤む可き所なり。 第六条 敢為活溌堅忍不屈の精神を以てするに非ざれば、独立自尊の主義を実にするを得ず。人は進取確守の勇気を欠く可らず。 第七条 独立自尊の人は、一身の進退方向を他に依頼せずして、自から思慮判断するの智力を具へざる可らず。 第八条 男尊女卑は野蛮の陋習なり。文明の男女は同等同位、互に相敬愛して各その独立自尊を全からしむ可し。
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修身要領・第七条独立自尊の人は、一身の進退方向を他に依頼せずして、みずから思慮判断するの智力を具えざるべからず。
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修身要領・第二条心身の独立を全うし、みずからその身を尊重して、人たるの品位を辱めざるもの、これを独立自尊の人と言う。
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修身要領・第十六条人は自ら従事する所の業務に忠実ならざるべからず。その大小軽重に論なく、いやしくも責任を怠るものは、独立自尊の人に非ざるなり。
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修身要領・第一条人は人たるの品位を進め、智徳を磨き、ますますその光輝を発揚するをもって、本分となさざるべからず。吾党の男女は、独立自尊の主義をもって修身処世の要領となし、これを服膺して、人たるの本分を全うすべきものなり。
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修身要領・第十三条一家より数家、次第に相集まりて、社会の組織を成す。健全なる社会の基は、一人一家の独立自尊に在りと知るべし。