修身要領 / 第五条
天寿を全うするは人の本分を尽すものなり。原因事情の如何を問はず、自から生命を害するは、独立自尊の旨に反する背理卑怯の行為にして、最も賤む可き所なり。
書き下し
天寿を全うするは人の本分を尽くすものなり。原因事情のいかんを問わず、みずから生命を害するは、独立自尊の旨に反する背理卑怯の行為にして、最も賤しむべき所なり。
現代語訳
天から授かった寿命をまっとうすることは、人としての本分を尽くすことです。原因や事情がどうであれ、自分で自分の命を絶つことは、独立自尊の趣旨に反する、道理に背いた卑怯な行いであり、最も軽んじられるべきことです。
解説
自殺を戒める条で、表現はきわめて強いものです。1900年当時の道徳の言葉で、背理や卑怯と断じています。ただ、現代では、追い詰められた人を責めるのではなく、助けにつなぐ視点が大切だと理解されており、この断定をそのまま今の私たちの規範とするのは適切ではありません。条文から受け取れるのは、命を最後まで生きぬくことを人の務めとみる姿勢です。職場でも、周囲の苦しさに気づき、声をかけ、相談できる場をつくることこそが大切です。苦しいときは一人で抱えず、身近な人や専門の窓口に頼ってかまいません。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
天寿本分命独立自尊背理卑怯時代の限界
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