尚書 / 泰誓中
惟戊午,王次于河朔。群后以師畢會。王乃徇師而誓,曰:「嗚呼!西土有眾,咸聽朕言。我聞:
新字:惟戊午,王次于河朔。群后以師畢会。王乃徇師而誓,曰:「嗚呼!西土有衆,咸聴朕言。我聞:
書き下し
惟れ戊午、王河朔に次(やど)る。群后師を以て畢く会す。王乃ち師を徇(めぐ)りて誓ひて曰く、「嗚呼(ああ)、西土の有衆、咸朕が言を聴け。我聞く、
現代語訳
戊午(ぼご)の日、王(武王)は黄河の北岸に宿営した。諸侯は軍を率いてことごとく集まった。王はそこで軍をめぐって誓い、言った。「ああ、西方の地の者たちよ、皆私の言葉を聴け。私はこう聞いている。
解説
泰誓中篇の冒頭である。戊午の日、武王は黄河を渡って北岸に陣を構え、諸侯の軍がすべて合流したところで、兵士たちの間をめぐって誓いを述べる。呼びかけられる「西土の有衆」は、周の本拠である西方から従ってきた人々を指す。この後に「吉人は善を為すに惟れ日も足らず、凶人は不善を為すに亦惟れ日も足らず」という古人の言葉が続き、善悪の対比から紂王の罪へと話が進む。大軍を前にした指揮官が、自ら兵の間を歩いて語りかけるという姿は、現場に出て直接言葉を届けることの力を示している。本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。
関連する章句
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尚書・泰誓上惟れ十有三年、春、大いに孟津に会す。王曰く、「嗟(ああ)、我が友邦の冢君(ちょうくん)、越(およ)び我が御事庶士、明らかに誓を聴け。
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尚書・泰誓下時れ厥の明、王乃ち大いに六師を巡り、明らかに衆士に誓ふ。王曰く、「嗚呼(ああ)、我が西土の君子、天に顕道有り、厥の類惟れ彰らかなり。今商王受、五常を狎侮し、荒怠して敬せず。自ら天に絶ち、怨を民に結ぶ。朝に渉る者の脛を斮(き)り、賢人の心を剖く。威を作し殺戮して、四海を毒痡(どくふ)す。奸回を崇信し、師保を放黜し、典刑を屏棄し、正士を囚奴にし、郊社修めず、宗廟享せず、奇技淫巧を作して以て婦人を悦ばしむ。上帝順はず、祝(ことごと)く時の喪を降す。爾其れ孜孜として、予一人を奉じ、恭しく天罰を行へ。古人言へる有り、曰く、『我を撫すれば則ち後(きみ)、我を虐ぐれば則ち讎』と。独夫受、洪(おほ)いに惟れ威を作す、乃ち汝の世讎なり。
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尚書・泰誓下肆(ゆゑ)に予小子、誕(おほ)いに爾衆士を以て、乃の讎を殄殲(てんせん)せん。爾衆士其れ尚はくは迪(ふ)みて果毅にして、以て乃の辟を登(な)せ。功多ければ厚賞有り、迪まざれば顕戮有り。嗚呼(ああ)、惟れ我が文考、日月の照臨するが若く、四方に光り、西土に顕らかなり。惟れ我が有周、誕いに多方を受く。予受に克たば、予の武に非ず、惟れ朕が文考罪無ければなり。受予に克たば、朕が文考罪有るに非ず、惟れ予小子良無ければなり。」
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史記 周本紀是に於て武王遍く諸侯に告げて曰く、「殷重罪有り、以て畢く伐たざる可からず」と。乃ち文王に遵ひ、遂に戎車三百乗、虎賁三千人、甲士四万五千人を率ゐて、以て東のかた紂を伐つ。十一年十二月戊午、師畢く盟津を渡り、諸侯咸会す。曰く、「孳孳として怠ること無かれ」と。武王乃ち太誓を作り、衆庶に告ぐ。「今殷王紂乃ち其の婦人の言を用ゐ、自ら天に絶ち、其の三正を毀壊し、其の王父母弟を離逖し、乃ち其の先祖の楽を断棄し、乃ち淫声を為り、用て正声を変乱し、婦人を怡説せしむ。故に今予発維れ共に天罰を行ふ。勉めよや夫子、再びす可からず、三たびす可からず」と。二月甲子の昧爽、武王朝に商の郊の牧野に至り、乃ち誓ふ。武王左に黄鉞を杖き、右に白旄を秉りて、以て麾く。曰く、「遠きかな西土の人」と。武王曰く、「嗟、我が有国の冢君、司徒・司馬・司空、亜旅・師氏、千夫長・百夫長、及び庸・蜀・羌・髳・微・纑・彭・濮の人、爾の戈を称げ、爾の干を比べ、爾の矛を立てよ。予其れ誓はん」と。王曰く、「古人言へる有り、『牝雞は晨する無し。牝雞の晨するは、惟れ家の索くるなり』と。今殷王紂は維れ婦人の言を是れ用ゐ、自ら其の先祖の肆祀を棄てて答へず、昏くして其の家国を棄て、其の王父母弟を遺てて用ゐず、乃ち維れ四方の多罪の逋逃を、是れ崇び是れ長とし、是れ信じ是れ使ひ、百姓に暴虐し、以て商国に姦軌せしむ。今予発維れ共に天の罰を行ふ。今日の事は、六歩七歩を過ぎずして、乃ち止まりて斉へよ。夫子勉めよや。四伐五伐六伐七伐を過ぎずして、乃ち止まりて斉へよ。勉めよや夫子。尚はくは桓桓として、虎の如く羆の如く、豺の如く離の如く、商の郊に于いて、奔るを御ぐことなく、以て西土に役せしめよ。勉めよや夫子。爾勉めざる所あらば、其れ爾の身に于いて戮有らん」と。
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尚書・牧誓時れ甲子の昧爽、王朝に商の郊の牧野に至り、乃ち誓ふ。王左に黄鉞(こうえつ)を杖つき、右に白旄(はくぼう)を秉(と)りて以て麾(さしまね)きて、曰く、「逖(とほ)いかな西土の人。」王曰く、「嗟(ああ)、我が友邦の冢君、御事・司徒・司馬・司空・亜・旅・師氏・千夫長・百夫長、及び庸・蜀・羌・髳(ぼう)・微・盧・彭・濮の人、爾の戈を称げ、爾の干を比(なら)べ、爾の矛を立てよ、予其れ誓はん。」王曰く、「古人言へる有り、『牝雞は晨(あした)すること無し。牝雞の晨するは、惟れ家の索(つ)くるなり』と。今商王受、惟れ婦の言を是れ用ふ。昏(くら)くして厥の肆祀を棄てて、答へず。昏くして厥の遺王父母弟を弃てて、迪(みちび)かず。乃ち惟れ四方の多罪逋逃(ほとう)、是れ崇び是れ長じ、是れ信じ是れ使ひ、是れ以て大夫卿士と為し、百姓に暴虐し、以て商邑に姦宄せしむ。今予発、惟れ恭しく天の罰を行ふ。今日の事、六歩・七歩に愆(す)ぎずして、乃ち止まりて斉(ととの)へよ。夫子勖(つと)めよや。四伐・五伐・六伐・七伐に愆ぎずして、乃ち止まりて斉へよ。勖めよや夫子。尚はくは桓桓として、虎の如く、貔(ひ)の如く、熊の如く、羆(ひ)の如く、商の郊に于いてせよ。克く奔るものを御(ふせ)ぐこと弗く、以て西土に役せしめよ。勖めよや夫子。爾の勖めざる所は、其れ爾の躬に于いて戮有らん。」
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尚書・泰誓中百姓過ち有らば、予一人に在り。今朕必ず往かん、我が武惟れ揚がり、之の疆(さかひ)に侵し、彼の兇残を取らん、我が伐用て張り、湯に于いて光有らん。勖(つと)めよや夫子、或いは畏るる無きこと罔かれ、寧ろ敵に非ずと執れ。百姓檁檁(りんりん)として、厥の角を崩すが若し。嗚呼(ああ)、乃ち一徳一心、立ちて厥の功を定めば、惟れ克く世を永くせん。」
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
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