新書 / 益壤
髙皇帝□分天下以王功臣,反者如蝟毛而起,髙皇帝以爲不可,故剽去不義諸侯而空其國,擇良日立諸子洛陽上東門之外,諸子畢王而天下乃安。故大人者不怵小廉,不牽小行,故立大便以成大功。今淮南地逺者或數千里,越兩諸侯而縣属於漢,其吏民繇役徃來長安者,自悉而補中道衣敝,錢用諸費稱此,其苦属漢而欲得王,其苦之甚矣。其欲有卒也,類良有所至,逋走而歸諸侯者殆不少矣,此終非可久以爲奉地也。陛下豈如蚤便其勢,且令他人守郡,豈如令子臣之愚計!願陛下舉淮南之地以益淮陽,即有後患,割淮陽北邉二三列城與東郡以益梁,即無後患。代可徙而都睢陽,梁起新鄭以北著之河,淮陽包陳以南㨗之江,則大諸侯之有異心者破膽而不敢謀。今所恃者代、淮陽二國耳,皇太子亦恃之。
新字:高皇帝□分天下以王功臣,反者如蝟毛而起,高皇帝以為不可,故剽去不義諸侯而空其国,択良日立諸子洛陽上東門之外,諸子畢王而天下乃安。故大人者不怵小廉,不牽小行,故立大便以成大功。今淮南地遠者或数千里,越両諸侯而県属於漢,其吏民繇役往来長安者,自悉而補中道衣敝,銭用諸費称此,其苦属漢而欲得王,其苦之甚矣。其欲有卒也,類良有所至,逋走而帰諸侯者殆不少矣,此終非可久以為奉地也。陛下豈如蚤便其勢,且令他人守郡,豈如令子臣之愚計!願陛下舉淮南之地以益淮陽,即有後患,割淮陽北邉二三列城与東郡以益梁,即無後患。代可徙而都睢陽,梁起新鄭以北著之河,淮陽包陳以南捷之江,則大諸侯之有異心者破胆而不敢謀。今所恃者代、淮陽二国耳,皇太子亦恃之。
書き下し
高皇帝 □ 天下を分かちて以て功臣を王とす。反する者 蝟毛の如く起こる。高皇帝 以て不可と為し、故に不義の諸侯を剽去して其の国を空しくし、良日を択びて諸子を洛陽上東門の外に立て、諸子 畢く王として天下乃ち安んず。故に大人なる者は小廉に怵れず、小行に牽かれず、故に大便を立てて以て大功を成す。今 淮南の地の遠き者は或いは数千里、両諸侯を越えて県して漢に属し、其の吏民の繇役して長安に往来する者は、自ら悉して中道の衣敝れを補い、銭用の諸費 此に称う。其の漢に属するを苦しみて王を得んと欲す、其の苦しみ之れ甚だし。其の卒有らんと欲するは、類 良に至る所有り、逋走して諸侯に帰する者 殆ど少なからず。此れ終に久しくして以て奉地と為す可きに非ず。陛下 豈に蚤く其の勢を便にし、且つ他人をして郡を守らしむるに如かんや。豈に子をして之に臣たらしむるの愚計に如かんや。願わくは陛下 淮南の地を挙げて以て淮陽に益し、即ち後患有らば、淮陽の北辺の二三の列城と東郡とを割きて以て梁に益せば、即ち後患無からん。代は徙りて睢陽に都す可し。梁は新鄭より起こり以北は之を河に著け、淮陽は陳を包みて以南は之を江に捷せしめば、則ち大諸侯の異心有る者は胆を破りて敢えて謀らず。今 恃む所の者は代・淮陽の二国のみ、皇太子も亦た之を恃む。
現代語訳
高皇帝は(欠字)天下を分けて功臣を王に封じました。ところが謀反する者がハリネズミの毛のように起こりました。高皇帝はこれではいけないと考え、不義の諸侯を除いてその国を空にし、吉日を選んで御子たちを洛陽の上東門の外で王に立てました。御子たちがみな王となって、天下はようやく安らぎました。ですから大人物は小さな潔白にためらわず、小さな行いに引かれず、大きな便宜を立てて大きな功を成すのです。いま淮南は遠い所では数千里もあり、二つの諸侯の国を越えて漢の県に属しています。そこの役人や民が労役で長安を往来すると、途中で破れた衣を自分で繕い、費用もそれに見合うほどかかります。漢に属することを苦しんで王を得たいと望むのも、その苦しみが甚だしいからです。何か事を起こそうとするのにも、もっともな理由があり、逃亡して諸侯のもとへ帰る者は決して少なくありません。これは結局、長く奉納地としておけるものではありません。陛下は早くその勢いを便利なものに改め、他人に郡を守らせるより、御子たちを臣とするほうがよいという私の愚かな考えをお取り上げください。どうか淮南の地をそっくり淮陽に加え、さらに後の憂いがあれば、淮陽の北辺の二、三の城と東郡を割いて梁に加えれば、後の憂いはなくなります。代は移って睢陽に都を置くのがよいでしょう。梁は新鄭から北を黄河に付け、淮陽は陳を含めて南を長江まで届かせれば、異心を持つ大諸侯は肝を潰して謀ることもできません。いま頼みとするのは代と淮陽の二国だけで、皇太子もこれを頼みにしておられます。
解説
この章句が説くこと
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『新書』親疏危亂陛下為さざる所有り、臣将に敢えて事制を畢く陳べざらんとす。仮設し天下をして曩の如くならしむれば、淮陰侯尚お楚に王たり、黥布は淮南に王たり、彭越は梁に王たり、韓信は韓に王たり、張敖は趙に王たり、貫高は相たり、盧綰は燕に王たり、陳豨は代に在り、六七諸公をして皆な恙無く、其の国を案じて居らしむ、是の時に当たり、陛下即ち天子の位に即かば、試みに能く自ら安んぜんか。臣以て陛下の能わざるを知る有り。天下殽乱し、高皇帝は諸公と肩を併せて起こり、側室の勢い以て之を豫め席く有るに非ず。諸公は率ね幸いなる者乃ち中涓と為るを得、其の次は僅かに舎人と為るを得。高皇帝南面して帝を称し、諸公皆な臣と為る、材の逮ばざること至りて遠きなり。高皇帝五年にして天子の位に即き、膏腴の地を割きて以て功有るの臣を王とし、多き者は百余城、少なき者は乃ち三四十県、徳至りて渥し。然れども其の後十年の間、反する者九たび起こり、幾んど天下を危うくする者五六。陛下の諸公に於けるや、親しく材を角べて之を臣とするに非ず、又た身ら親しく之を封王するに非ず。高皇帝よりして是を以て一歳も安んずる能わず、陛下独り安んぞ能く是を以て自ら安んぜんや。
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『新書』益壤陛下 即ち千載の治安を為さずとも、今の勢いを知れば豈に一伝再伝に過ぎんや。諸侯は猶お且つ人 恣にして制せず、豪横にして大いに強きなり。其の相与に之を持するに縦横の約を以て相親しむに至るのみならば、漢の法令 行うを得可からず、猶お且つ槁立して強きに服するなり。今 淮陽の大諸侯に比するは、僅かに黒子の面に比するに過ぎざるのみ。豈に以て楚の御を為すに足らんや。而るに陛下の恃みて以て藩捍と為す所は、代・淮陽を以てするのみ。代は北辺にして強匈奴と隣を為し、僅かに自ら完足するのみ。唯だ皇太子の恃む所の者も、亦た之の二国を以てするのみ。今 淮陽の有する所は、適に以て大国を餌とするに足るのみ。方今 制は陛下に在り、国命を制して子をして適に以て大国を餌とせしむ、豈に工と謂う可けんや。人主の行いは布衣に異なる。布衣なる者は、小行を飾り、小廉を競い、以て自ら郷党邑里に托す。人主なる者は、唯だ天下安んじ社稷固きや不やのみ。故に黄帝なる者は、炎帝の兄なり。炎帝 無道なれば、黄帝 之を涿鹿の野に伐ち、血流れて杵を漂わし、炎帝を誅して其の地を兼ね、天下乃ち治まる。
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『新書』益壤臣の計の如くんば、梁は以て斉・趙を捍ぐに足り、淮陽は以て呉・楚を禁ずるに足る。則ち陛下は高枕して臥し、終に山東の憂い無けん。臣 窃かに以為えらく、此れ世世の利なり。若し淮南をして久しく県して漢に属せしめば、特だ以て奸人を資くるのみ。陛下 幸いに少しく意を留めて臣を省みよ。昧死して以て聞す。臣誼 窃かに昧死して前に伏して陳施するを得んことを願う。臣誼の治安と為す所以を下したまえ。陛下 幸いに少須臾の間を以てし、聴きて以て之を事に験せば、未だ妨げ損ずる有らざるなり。臣聞く、聖主は其の臣に問いて自ら事を造らず、故に人臣と為りて畢く其の愚忠を尽くすを得しむ。惟れ陛下 財幸せよ。今 陛下 不意の人を将いて之に積衆の財を与う。此れ子胥・白公の広都の中に報ゆる有るに非ざれば、即ち専諸・荊軻の両柱の間に起こる有るを疑う。其の策 安便ならんや。此れ所謂 賊に兵を仮して虎に翼するなり。願わくは陛下 少しく意を留めて之を計れ。
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『新書』淮難竊かに恐る、陛下淮南の子に接王するに、曾て臣の如き者と孰れも之を計らざらんことを。淮南王来たりて入り赴く。□□□□□□千乗の君、陛下為に頓顙して皇太后の前に謝罪す、淮南王曾て譙讓せず、敷留の罪身に加わる者無し。舎人の横制、等室の門にて、陛下追いて之を赦し、吏曾て捕えず。王天子の国に人りて横行し辜無くして譴め無く、乃ち美人を賜い、多く黄金を載せて帰る。侯邑の其の国に在る者畢く之を他所に徙す。陛下の淮南王に於けるや薄しと謂う可からず。然れども淮南王、天子の法を咫蹂促して用いず、皇帝の令を咫批傾して行わず、天下孰か知らざる。天子功臣の識有る者を選び、以て之が相吏と為すに、王堇ぞ踏蹴して逐うのみ、病と称して走らざる者無し、天下孰か知らざる。日びに怨言を接持して以て陛下の為を誹謗し、皇太后の饋賜は逆抑して受けず、天子の使者詔を奉ずるも見ゆるを得ず、僵臥して以て詔書を発く、天下孰か知らざる。罪人奇狡の少年、通棧奇の徒、啓章らを聚めて東帝たらんと謀る、天下孰か知らざる。
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『新書』宗首今、或いは親弟東帝たらんことを謀り、親兄の子西に向かいて撃ち、今呉又告げらる。天子春秋鼎盛にして、義を行うこと未だ過たず、徳沢加うる有り。猶お尚お此くの若し、況んや莫大の諸侯の権勢此に十なる者をや。然り而して天下少しく安んずるは、何ぞや。大国の王幼くして懐衽に在り、漢の置く所の傅相方に其の事を握ればなり。数年の後、諸侯王大抵皆冠し、血気方に剛く、漢の置く所の傅は帰休して住まるを肯んぜず、漢の置く所の相は病と称して罷めを賜い、彼は丞尉より以上徧く其の私人を置く。此くの如くんば淮南・済北の為せしに異なる有らんや。此の時にして乃ち治安を為さんと欲するは、堯舜と雖も能わず。臣故に曰く、時且に過ぎんとす。上蚤く図らずんば、疑うらくは且に歳ごとに欲せざる所を聞かん、と。
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『新書』屬遠今漢と越との両諸侯の中を分かつに、乃ち廬江を以て奉地と為す。秦の遠辺と雖も此に過ぎること遠からず。此をして輸将せず主に奉ぜざらしむれば、奉地の義に非ず。尚お安んぞ此を用いて久しく其の心を県けんや。若し此をして奉地の義の如くならしむれば、是れ復た秦の迹なり。竊かに以て便ならずと為す。夫れ淮南は窳民貧郷なり、長安に繇使する者は、自ら悉く以て補い、中道を行きて衣し、行きて已に羸弊に勝え、彊いて弊衣を提荷して生く。慮るに仮貸に非ざれば、自ら詣るに聞く所有るに非ず。履蹻数しば易えざれば、以て至るに足らず、銭用の費も此に称い、苦しみ甚し。竊かに聞く所を以てすれば、県の令丞相の帰休する者、慮るに甚だ彊きに非ず、従者を得るを見ず。夫れ行くこと数千里、諸侯の地を絶ちて漢に県属す、其の勢い終に久しかる可からず。漢に往く者は、家号泣して之を送り、其の来たる繇使の者は、家号泣して之を遣る、俱に相欲せざるなり。其の漢に属するに苦しみて王たらんと欲するは、類ね甚しきに至る。逋遁して諸侯に帰する者、類ね少なからず。陛下蚤く定むるに如かず、以て奸人に資する毋かれ。
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