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武士道 / 第六章 禮儀・誠を語ると礼を守ると

試みに日本人に向ひ、誠を語ると、禮を守ると孰か重きやと問はヾ、彼れ必ずや、全く米人に相反するの辭を以て答とせんと云ふものあり。其說の當否は姑らく之を置き、次章『至誠』を說くの項下に於て之に論及するものあらん。、

新字:試みに日本人に向ひ、誠を語ると、礼を守ると孰か重きやと問はヾ、彼れ必ずや、全く米人に相反するの辞を以て答とせんと云ふものあり。其説の当否は姑らく之を置き、次章『至誠』を説くの項下に於て之に論及するものあらん。、

書き下し

試みに日本人に向ひ、誠を語ると、礼を守ると、いづれか重きやと問はば、彼れ必ずや、全く米人に相反するの辞を以て答とせんと云ふものあり。其説の当否はしばらく之を置き、次章『至誠』を説くの項下に於て、之に論及するものあらん。

現代語訳

試みに日本人に向かって、誠を語ることと礼を守ることのどちらが重いかと問えば、彼は必ずアメリカ人とはまったく反対の答えをするだろう、と言う人がいます。その説が当たっているかどうかはひとまず置いて、次章で至誠を説くところで論じることにしましょう。

解説

第六章の結びで、次章への問いが投げられます。誠と礼、どちらを取るか。日本人は礼を取るだろうと外国人は言う、という他者からの見立てを紹介したうえで、当否は次章に預ける。答えを先に出さず、問いの形で章をまたぐ構成です。礼を論じた章が、礼が誠を欠いたらどうなるかという疑いで閉じられるのは、この本の自己点検の姿勢を示しています。

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