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詩経 / 大雅・文王之什・旱麓

《旱麓》,受祖也。周之先祖,世脩后稷、公劉之業。大王、王季,申以百福干祿焉。 瞻彼旱麓,榛楛濟濟。豈弟君子,干祿豈弟。 瑟彼玉瓚,黃流在中。豈弟君子,福祿攸降。 鳶飛戾天,魚躍于淵。豈弟君子,遐不作人。 清酒既載,騂牡既備。以享以祀,以介景福。 瑟彼柞棫,民所燎矣。豈弟君子,神所勞矣。 莫莫葛藟,施于條枚。豈弟君子,求福不回。

新字:《旱麓》,受祖也。周之先祖,世脩后稷、公劉之業。大王、王季,申以百福干禄焉。 瞻彼旱麓,榛楛済済。豈弟君子,干禄豈弟。 瑟彼玉瓚,黄流在中。豈弟君子,福禄攸降。 鳶飛戻天,魚躍于淵。豈弟君子,遐不作人。 清酒既載,騂牡既備。以享以祀,以介景福。 瑟彼柞棫,民所燎矣。豈弟君子,神所労矣。 莫莫葛藟,施于条枚。豈弟君子,求福不回。

書き下し

旱麓(かんろく)は、祖を受くるなり。周の先祖、世々(よよ)后稷(こうしょく)・公劉(こうりゅう)の業を脩め、大王(たいおう)・王季(おうき)、申(かさ)ぬるに百福の干禄(かんろく)を以てす。 彼の旱麓を瞻(み)れば、榛楛(しんこ)済済(せいせい)たり。豈弟(がいてい)の君子、禄を干(もと)むること豈弟たり。 瑟(しつ)たる彼の玉瓚(ぎょくさん)、黄流(こうりゅう)中に在り。豈弟の君子、福禄の降る攸(ところ)。 鳶(とび)飛びて天に戻(いた)り、魚淵に躍る。豈弟の君子、遐(なん)ぞ人を作(な)さざらん。 清酒既に載せ、騂牡(せいぼ)既に備う。以て享(きょう)し以て祀り、以て景福を介(たす)く。 瑟たる彼の柞棫(さくよく)、民の燎(や)く所。豈弟の君子、神の労(ねぎら)う所。 莫莫(ばくばく)たる葛藟(かつるい)、条枚(じょうばい)に施(し)く。豈弟の君子、福を求めて回(よこしま)ならず。

現代語訳

「旱麓」の詩は、先祖の徳と福を受け継いだことを歌ったものである。周の先祖は代々、后稷(こうしょく)と公劉(こうりゅう)の事業を受け継いで修め、大王と王季はそれにさらに多くの幸いと禄を重ねた。 あの旱山(かんざん)のふもとを見れば、はしばみやにんじんぼくがびっしりと茂る。和やかで親しみ深い君子は、禄を求めるにも和やかである。 つややかなあの玉の柄杓(ひしゃく)には、黄金色の香り酒が満ちている。和やかで親しみ深い君子には、幸いと禄が天から降りてくる。 鳶(とび)は飛んで天にまで至り、魚は淵におどる。和やかで親しみ深い君子は、どうして人を育て上げずにおかれようか。 清らかな酒はすでに供えられ、赤毛の雄牛もすでに備えられた。これを神に供え、祀って、大いなる幸いを願う。 こんもりと茂るあのははそやくぬぎは、民が刈って祭りの火に焚く。和やかで親しみ深い君子は、神がいたわり守ってくださる。 びっしりと茂る葛(くず)やつる草は、木の枝や幹にからみついて広がる。和やかで親しみ深い君子は、幸いを求めるにも道にそむかない。

解説

山のふもとに茂る木々、玉の柄杓に満ちた香り酒、赤毛の雄牛の供物と、祭りの情景を重ねながら、「豈弟の君子」、すなわち和やかで親しみ深い君子に福禄が降ることを繰り返し歌う。第三章の「鳶飛びて天に戻り、魚淵に躍る」は、万物がそれぞれの所を得て生き生きと動くさまを言う名句で、『中庸』に引かれて、道が天地の上下にあまねく明らかであることを示す言葉となった。毛詩序は、周の先祖が后稷・公劉の業を受け継ぎ、大王・王季がそこに福禄を重ねたことを歌う詩と読み、朱熹『詩集伝』は、文王の徳をたたえる祭りの詩と見ている。いずれも、福を求めることそのものは否定せず、ただ「回ならず」、すなわち道にそむかない求め方であることを重んじる。幸いを求めるのは人の自然な願いであり、その求め方にこそ人柄が表れるのである。

この章句が説くこと

詩経祭祀福禄中庸鳶飛魚躍

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