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詩経 / 国風・召南・采蘩

《采蘩》,夫人不失職也。夫人可以奉祭祀,則不失職矣。 于以采蘩?于沼于沚。于以用之?公侯之事。 于以采蘩?于澗之中。于以用之?公侯之宮。 被之僮僮,夙夜在公。被之祁祁,薄言還歸。

新字:《采蘩》,夫人不失職也。夫人可以奉祭祀,則不失職矣。 于以采蘩?于沼于沚。于以用之?公侯之事。 于以采蘩?于澗之中。于以用之?公侯之宮。 被之僮僮,夙夜在公。被之祁祁,薄言還帰。

書き下し

采蘩(さいはん)は、夫人、職を失わざるなり。夫人以て祭祀を奉ずべければ、則ち職を失わず。 于(いずく)にか以て蘩(しろよもぎ)を采る、沼に于てし沚(なかす)に于てす。于にか以てこれを用う、公侯の事(まつり)に。 于にか以て蘩を采る、澗(たに)の中に于てす。于にか以てこれを用う、公侯の宮に。 被(かみかざり)の僮僮(どうどう)たる、夙夜(しゅくや)公に在り。被の祁祁(きき)たる、薄か言に還り帰る。

現代語訳

「采蘩」の詩は、諸侯の夫人がその務めを失わないことを歌ったものである。夫人が祭祀をつつしんで奉ることができれば、その務めを失わないのである。 どこで白よもぎを摘むのか。沼で、中州で。何に用いるのか。殿さまの祭りに。 どこで白よもぎを摘むのか。谷川の中で。何に用いるのか。殿さまの御霊屋で。 髪飾りをおごそかに整え、朝から夜まで公の場に仕える。髪飾りをゆったりとなびかせ、ようやく家へ帰ってゆく。

解説

祭祀に供える白よもぎ(蘩)を、沼や中州、谷川で摘み、公侯の祭りに備える女性たちの姿を問答の形で歌う。最後の章では、髪飾りを整えて朝早くから夜まで公の務めに励み、務めを終えてゆったりと帰っていく様子が描かれる。毛詩序は、祭祀を奉ることができるのは夫人が職を失わないことだとして、夫人の徳の詩と読んだ。朱熹『詩集伝』は夫人が自ら祭祀に仕える詩としつつ、蘩を蚕を育てるための草とし、夫人が養蚕の礼を行う詩とする説も併せて挙げている。詩から素直に読めば、祭祀の準備に携わる女性たちの労働の歌として受け取ることもできる。『左伝』隠公三年は、采蘩・采蘋の詩を引き、粗末な草でも真心があれば鬼神にも王公にも供えられると説いた。供え物の値打ちは物の高価さではなく、心を込めた手間にある。日々の務めを丁寧に果たすことの尊さを伝える一篇である。

この章句が説くこと

詩経祭祀労働召南左伝

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