導師導古典を学びたいすべての人に

詩経 / 小雅・魚藻之什・角弓

《角弓》,父兄刺幽王也。不親九族,而好讒佞,骨肉相怨,故作是詩也。 騂騂角弓,翩其反矣。兄弟昏姻,無胥遠矣。 爾之遠矣,民胥然矣。爾之教矣,民胥傚矣。 此令兄弟,綽綽有裕。不令兄弟,交相為瘉。 民之無良,相怨一方。受爵不讓,至于己斯亡。 老馬反為駒,不顧其後。如食宜饇,如酌孔取。 毋教猱升木,如塗塗附。君子有徽猷,小人與屬。 雨雪瀌瀌,見晛曰消。莫肯下遺,式居婁驕。 雨雪浮浮,見晛曰流。如蠻如髦,我是用憂。

新字:《角弓》,父兄刺幽王也。不親九族,而好讒佞,骨肉相怨,故作是詩也。 騂騂角弓,翩其反矣。兄弟昏姻,無胥遠矣。 爾之遠矣,民胥然矣。爾之教矣,民胥傚矣。 此令兄弟,綽綽有裕。不令兄弟,交相為瘉。 民之無良,相怨一方。受爵不譲,至于己斯亡。 老馬反為駒,不顧其後。如食宜饇,如酌孔取。 毋教猱升木,如塗塗附。君子有徽猷,小人与属。 雨雪瀌瀌,見晛曰消。莫肯下遺,式居婁驕。 雨雪浮浮,見晛曰流。如蠻如髦,我是用憂。

書き下し

角弓(かくきゅう)は、父兄幽王を刺るなり。九族に親しまずして讒佞(ざんねい)を好み、骨肉相怨む。故に是の詩を作るなり。 騂騂(せいせい)たる角弓、翩(へん)として其れ反(かえ)る。兄弟昏姻(こんいん)、胥(あい)遠ざくること無かれ。 爾(なんじ)の遠ざくれば、民胥(みな)然り。爾の教うれば、民胥傚(なら)う。 此の令(よ)き兄弟は、綽綽(しゃくしゃく)として裕(ゆう)有り。令からざる兄弟は、交(こもごも)相瘉(や)ましむ。 民の良無き、相怨むこと一方なり。爵を受けて譲らず、己に至りて斯(ここ)に亡(わす)る。 老馬反って駒と為り、其の後を顧みず。食らうに饇(あ)くを宜しとするが如く、酌むに孔(はなは)だ取るが如し。 猱(どう)に木に升(のぼ)ることを教うる毋(なか)れ、塗(どろ)に塗を附くるが如し。君子に徽猷(きゆう)有れば、小人与(とも)に属す。 雨雪瀌瀌(ひょうひょう)たるも、晛(けん)を見れば曰(ここ)に消ゆ。肯えて下り遺(したが)う莫く、式(もっ)て居りて婁(しばしば)驕る。 雨雪浮浮たるも、晛を見れば曰に流る。蛮の如く髦(ぼう)の如し、我是を用て憂う。

現代語訳

「角弓」の詩は、王の一族の年長者たちが幽王をそしったものである。王は一族に親しまず、讒言やへつらいを好んだので、肉親どうしが互いに怨み合うようになった。そこでこの詩を作ったのである。 赤く引き締まった角で飾った弓も、弦をゆるめれば、ぱっと反り返ってしまう。兄弟や姻戚は、互いに遠ざけ合ってはならない。 あなた(王)が親族を遠ざければ、民もみなそうする。あなたが教え示せば、民もみなそれに倣う。 善き兄弟は、ゆったりとして心にゆとりがある。善からぬ兄弟は、互いに相手を苦しめ合う。 民に善い者がいなくなると、互いに相手の側ばかりを怨む。爵位を受けても譲ることを知らず、自分のこととなると、たちまち道理を忘れてしまう。 老いた馬がかえって若駒のようにふるまい、後のことを顧みない。食べれば腹いっぱいまで欲しがり、酒を酌めばあるだけ取ろうとするようなものだ。 猿に木登りを教えるな、泥に泥を塗りつけるようなものだ。君子によい道があれば、小人もそれに従い連なるのだ。 雪がしんしんと降り積もっても、日の光を見ればたちまち消える。それなのに誰もへりくだって従おうとせず、居座ってはたびたび驕りたかぶる。 雪がどさどさと降り積もっても、日の光を見ればたちまち流れ去る。まるで蛮族や夷狄のようなふるまいだ、だから私は憂えるのである。

解説

王族の年長者が、親族を遠ざけて讒言を好む王を諫める詩である。弦をゆるめると反り返る角弓の比喩で始まり、兄弟や姻戚は互いに離れてはならないと説く。続く「爾の遠ざくれば、民胥然り。爾の教うれば、民胥傚う」は、上に立つ者のふるまいがそのまま下に写るという、儒家の政治観の核心を簡潔に言い当てた句である。老馬が若駒のようにふるまう、猿に木登りを教える、泥に泥を塗る、といった卑近な比喩が続き、雪が日の光で消えるように、王が正しく照らせば小人の驕りも消えるはずだという望みが最後に託される。毛詩序と朱熹『詩集伝』はともに、王が九族に親しまず讒言を好んだことをそしる詩と読み、読みの違いは小さい。家族の不和は組織の不和の縮図であり、上の者が身内をどう遇するかを、下の者はよく見ている。

この章句が説くこと

詩経兄弟親族讒言角弓

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る