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史記 / 游侠列伝

諺曰:「人貌榮名,豈有既乎!」於戲,惜哉!

新字:諺曰:「人貌栄名,豈有既乎!」於戯,惜哉!

書き下し

諺に曰く、「人貌の栄名、豈に既(つ)くること有らんや」と。於戯(ああ)、惜しいかな。

現代語訳

ことわざに「人の容貌を映したような栄誉ある名声は、尽きることがあろうか(いつまでも残る)」という。ああ、惜しいことである。

解説

游侠列伝の最後に置かれた、太史公の評の結びの一文です。直前で司馬遷は、郭解は見かけは人並みにも及ばず、言葉も取るに足らなかったのに、天下の人は賢い者も愚かな者も、知る者も知らない者も、みなその名を慕ったと述べています。そのうえでことわざを引き、名声は外見によらず人の心に残り続けると言い、郭解が一族皆殺しの刑で終わったことを「惜しいかな」と嘆くのです。郭解は、恨みを買った男を殺した取り巻きの罪を問われ、公孫弘の「本人が知らなくても罪は殺した者より重い」という論で処刑されました。司馬遷は法の論理を否定はしませんが、それでも人が慕う名を惜しまずにはいられませんでした。短い嘆きに、司馬遷の遊俠への共感が凝縮されています。人の評価は肩書きや見た目でなく、その人のために動いた記憶として残るのです。

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