師導古典を学びたいすべての人に

史記 / 天官書

其入守犯太微、軒轅、營室,主命惡之。心爲明堂,熒惑廟也。謹候此。歴斗之會以定塡星之位。曰中央土,主季夏,日戊、己,黃帝,主德,女主象也。歳塡一宿,其所居國吉。未當居而居,若已去而復還,還居之,其國得土,不乃得女。若當居而不居,旣已居之,又西東去,其國失土,不乃失女,不可舉事用兵。其居久,其國福厚;易,福薄。其一名曰地侯,主歳。歳行十度百十二分度之五,日行二十八分度之一,二十八歳周天。其所居,五星皆從而聚於一舍,其下之國,可重致天下。禮、德、義、殺、刑盡失,而塡星乃爲之動搖。贏,爲王不寧;其縮,有軍不復。塡星,其色黃,九芒,音曰黃鍾宮。其失次上二三宿曰贏,有主命不成,不乃大水。失次下二三宿曰縮,有後戚,其歳不復,不乃天裂若地動。斗爲文太室,塡星廟,天子之星也。木星與土合,爲内亂。飢,主勿用戰,敗;水則變謀而更事;火爲旱;金爲白衣會若水。金在南曰牝牡,年穀熟,金在北,歳偏無。火與水合爲焠,與金合爲鑠,爲喪,皆不可舉事,用兵大敗。土爲憂,主孼卿;大飢,戰敗,爲北軍,土與水合,穰而擁閼,有覆軍,其國不可舉事。出,亡地;入,得地。金爲疾,爲内兵,亡地。三星若合,其宿地國外内有兵與喪,改立公王。

新字:其入守犯太微、軒轅、営室,主命悪之。心為明堂,熒惑廟也。謹候此。歴斗之会以定塡星之位。曰中央土,主季夏,日戊、己,黄帝,主徳,女主象也。歳塡一宿,其所居国吉。未当居而居,若已去而復還,還居之,其国得土,不乃得女。若当居而不居,既已居之,又西東去,其国失土,不乃失女,不可舉事用兵。其居久,其国福厚;易,福薄。其一名曰地侯,主歳。歳行十度百十二分度之五,日行二十八分度之一,二十八歳周天。其所居,五星皆従而聚於一舎,其下之国,可重致天下。礼、徳、義、殺、刑尽失,而塡星乃為之動揺。贏,為王不寧;其縮,有軍不復。塡星,其色黄,九芒,音曰黄鍾宮。其失次上二三宿曰贏,有主命不成,不乃大水。失次下二三宿曰縮,有後戚,其歳不復,不乃天裂若地動。斗為文太室,塡星廟,天子之星也。木星与土合,為内乱。飢,主勿用戦,敗;水則変謀而更事;火為旱;金為白衣会若水。金在南曰牝牡,年穀熟,金在北,歳偏無。火与水合為焠,与金合為鑠,為喪,皆不可舉事,用兵大敗。土為憂,主孼卿;大飢,戦敗,為北軍,土与水合,穰而擁閼,有覆軍,其国不可舉事。出,亡地;入,得地。金為疾,為内兵,亡地。三星若合,其宿地国外内有兵与喪,改立公王。

書き下し

其の入りて太微・軒轅・営室を守り犯せば、主命之を悪む。心は明堂為り、熒惑の廟なり。謹んで此を候へ。斗の会を歴て以て塡星の位を定む。中央の土と曰ひ、季夏を主り、日は戊・己、黄帝なり、徳を主り、女主の象なり。歳に一宿を塡む、其の居る所の国吉なり。未だ当に居るべからずして居り、若しくは已に去りて復た還り、還りて之に居れば、其の国土を得、乃ち女を得ずんばあらず。若し当に居るべくして居らず、既已に之に居りて、又西東に去れば、其の国土を失ひ、乃ち女を失はずんばあらず、事を挙げ兵を用ふべからず。其の居ること久しければ、其の国福厚し。易はれば、福薄し。其の一名を地侯と曰ひ、歳を主る。歳に行くこと十度百十二分度の五、日に行くこと二十八分度の一、二十八歳にして天を周る。其の居る所に、五星皆従ひて一舎に聚まれば、其の下の国は、重ねて天下を致すべし。礼・徳・義・殺・刑尽く失はるれば、而ち塡星乃ち之が為に動揺す。贏なれば、王為る者寧からず。其の縮なれば、軍有りて復らず。塡星は、其の色黄にして、九芒あり、音は黄鐘の宮と曰ふ。其の次を失ひて上ること二三宿を贏と曰ひ、主命成らざる有り、乃ち大水ならずんばあらず。次を失ひて下ること二三宿を縮と曰ひ、後の戚ひ有り、其の歳復らず、乃ち天裂け若しくは地動かずんばあらず。斗は文太室為り、塡星の廟、天子の星なり。木星と土と合すれば、内乱と為る。飢ゑ、主戦ひを用ふること勿かれ、敗る。水なれば則ち謀を変じて事を更む。火は旱と為す。金は白衣の会若しくは水と為す。金南に在るを牝牡と曰ひ、年穀熟す。金北に在れば、歳偏に無し。火と水と合するを焠と為し、金と合するを鑠と為し、喪と為す、皆事を挙ぐべからず、兵を用ふれば大いに敗る。土は憂ひと為し、孽卿を主る。大いに飢ゑ、戦ひ敗れ、北軍と為る。土と水と合すれば、穣れども擁閼し、覆軍有り、其の国事を挙ぐべからず。出づれば、地を亡ふ。入れば、地を得。金は疾と為し、内兵と為し、地を亡ふ。三星若し合すれば、其の宿の地の国、外内に兵と喪と有り、公王を改め立つ。

現代語訳

(熒惑が)入って太微・軒轅・営室にとどまったり犯したりすれば、君主の命運にとって忌むべきことである。心宿は明堂で、熒惑の廟である。よくここを観測せよ。北斗との会合を経て、塡星(土星)の位置を定める。(塡星は)中央の土といい、季夏(夏の終わり)をつかさどり、日は戊・己、黄帝にあたり、徳をつかさどり、女主の象である。一年に一宿ずつ鎮まり、そのいる国は吉である。まだとどまるべきでないのにとどまったり、いったん去ってまた戻り、戻ってとどまったりすれば、その国は土地を得るか、そうでなければ女を得る。もしとどまるべきなのにとどまらず、いったんとどまってもまた西や東へ去れば、その国は土地を失うか、そうでなければ女を失う。事を起こしたり兵を用いたりしてはならない。そのとどまる期間が長ければ、その国の福は厚く、すぐ移れば福は薄い。塡星は別名を地侯といい、一年をつかさどる。一年に十度と百十二分の五度進み、一日に二十八分の一度進んで、二十八年で天を一周する。そのいるところに五星がみな従って一つの宿に集まれば、その下の国は重ねて天下を得ることができる。礼・徳・義・殺(兵)・刑がすべて失われると、塡星はそのために揺れ動く。贏(進みすぎ)であれば王は安らかでなく、縮(遅れ)であれば軍が出て戻らない。塡星は色が黄色で、九つの光芒があり、音は黄鐘の宮にあたる。順序を外れて二、三宿先に進むことを贏といい、君主の命令が成就しないか、そうでなければ大洪水がある。順序を外れて二、三宿遅れることを縮といい、後宮の憂いがあり、その年は(災いが)回復せず、そうでなければ天が裂けるか地が揺れる。南斗宿は文太室で、塡星の廟であり、天子の星である。木星と土星が会合すれば内乱となり、飢饉となる。君主は戦をしてはならず、すれば敗れる。(木星と)水星なら謀を変えて事を改め、火星なら日照り、金星なら喪の集まりか洪水となる。金星が南にあるのを牝牡といい、その年の穀物は実る。金星が北にあれば、その年は(収穫が)片寄って無い。火星と水星が会合するのを焠(焼き入れ)といい、金星と会合するのを鑠(溶かす)といい、喪となる。いずれも事を起こしてはならず、兵を用いれば大敗する。(火星と)土星なら憂いとなり、邪な卿(重臣)をつかさどる。大飢饉となり、戦に敗れて敗走する軍となる。土星と水星が会合すれば、豊作でも流通がふさがり、軍が覆滅し、その国は事を起こしてはならない。(その星が)現れれば土地を失い、隠れれば土地を得る。(土星と)金星なら病気となり、内乱となり、土地を失う。三つの星が会合すれば、その宿に当たる地の国では、内外に戦と喪があり、君主や王が改めて立てられる。

解説

火星の記述を終え、塡星、つまり土星の記述に入ります。土星は中央・土・季夏・戊己に配され、黄帝や徳、女主の象とされました。約二十八年で天を一周するため、一年に一宿ずつ「鎮まる」とされ、塡星(鎮星)の名もここから来ています。土星が長くとどまる国は福が厚く、すぐ移る国は福が薄いとされ、礼・徳・義・兵・刑がすべて失われると土星が揺れ動くといいます。後半では、木星と土星、火星と金星などの惑星同士が会合したときの吉凶が細かく記され、三つの惑星が集まればその国で君主が改めて立てられるとしています。ゆっくり動く土星がとどまるほど福が厚いという見方には、落ち着きと継続を重んじる価値観がうかがえます。組織も、方針がころころ変わるより、腰を据えた継続の中でこそ信頼が厚くなるものです。

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る