潜夫論 / 敘錄
覽觀古今,爰暨書傳,君皆欲治,臣恒樂亂。忠佞溷淆,各以類進,常若不明,而信奸論,故敘《潛歎》第十。夫位以德興,德貴忠立,社稷所賴,安危是係。非夫讜直貞亮,仁慈惠和,事君如天,視民如子,則莫保爵位,而全令名,故敘《忠貴》第十一。先王理財,禁民為非,《洪範》憂民,詩刺末資,浮偽者眾,本農必衰,節以製度,如何弗議,故敘《浮侈》第十二。積微傷行,懷安敗名,明莫恣欲,而無悛容。足以愎諫,聞善不從,微安召辱,終必有凶,故敘《慎微》第十三。明主思良,勞精賢知,百寮阿黨,不核真偽。苟崇虛譽,以相誑穀,居官任職,則無功效,故敘《實貢》第十四。聖人養賢,以及萬民,先王之製,皆足代耕。增爵損祿,必程以傾,先益吏俸,乃可致平,故敘《班祿》第十五。
新字:覧観古今,爰暨書伝,君皆欲治,臣恒楽乱。忠佞溷淆,各以類進,常若不明,而信奸論,故敘《潜嘆》第十。夫位以徳興,徳貴忠立,社稷所頼,安危是係。非夫讜直貞亮,仁慈恵和,事君如天,視民如子,則莫保爵位,而全令名,故敘《忠貴》第十一。先王理財,禁民為非,《洪範》憂民,詩刺末資,浮偽者衆,本農必衰,節以製度,如何弗議,故敘《浮侈》第十二。積微傷行,懐安敗名,明莫恣欲,而無悛容。足以愎諫,聞善不従,微安召辱,終必有凶,故敘《慎微》第十三。明主思良,労精賢知,百寮阿党,不核真偽。苟崇虚誉,以相誑穀,居官任職,則無功効,故敘《実貢》第十四。聖人養賢,以及万民,先王之製,皆足代耕。增爵損禄,必程以傾,先益吏俸,乃可致平,故敘《班禄》第十五。
書き下し
古今を覧観し、爰に書伝に暨ぶに、君は皆治まらんことを欲するも、臣は恒に乱を楽しむ。忠佞溷淆し、各おの類を以て進み、常に明らかならざるが若く、而して奸論を信ず、故に《潜歎》第十を叙す。夫れ位は徳を以て興り、徳は忠を貴びて立つ、社稷の頼る所、安危是れ係る。夫の讜直貞亮、仁慈恵和にして、君に事うること天の如く、民を視ること子の如くなるに非ざれば、則ち爵位を保ちて令名を全うすること莫し、故に《忠貴》第十一を叙す。先王財を理め、民の非を為すを禁じ、《洪範》は民を憂え、詩は末資を刺る、浮偽の者衆ければ、本農必ず衰う、節するに制度を以てす、如何ぞ議せざらん、故に《浮侈》第十二を叙す。微を積みて行いを傷つけ、安きを懐いて名を敗る、明莫く欲を恣にして、悛容無し。以て諫めに愎うに足り、善を聞きて従わず、微安にして辱めを召き、終に必ず凶有り、故に《慎微》第十三を叙す。明主良を思い、精を賢知に労するも、百寮阿党して、真偽を核せず。苟くも虚誉を崇び、以て相い誑穀し、官に居り職に任ずれば、則ち功効無し、故に《実貢》第十四を叙す。聖人賢を養い、以て万民に及ぼし、先王の制は、皆耕に代わるに足る。爵を増し禄を損うは、必ず程るに傾を以てし、先ず吏の俸を益して、乃ち平を致す可し、故に《班禄》第十五を叙す。
現代語訳
古今を見渡し、書物や伝えに及んで見ると、君主はみな治まることを望むのに、臣下はいつも乱を楽しみます。忠臣と佞臣が入り交じり、それぞれ同類をもって進み、いつもはっきり見えないかのようで、邪な議論を信じてしまいます。そこで《潜歎》を第十に叙しました。そもそも地位は徳によって興り、徳は忠を貴んで立ち、国家が頼るところ、安危がかかっています。あの直言で正しく誠実、情け深く穏やかで、君主に仕えることを天に仕えるように、民を子のように見る者でなければ、爵位を保ち良い名を全うすることはできません。そこで《忠貴》を第十一に叙しました。先王は財を治め、民が非を行うのを禁じ、《洪範》は民を憂え、詩は末の資を刺りました。浮ついた偽りの者が多ければ、本である農業は必ず衰えます。制度で節するのに、どうして議論しないでいられましょう。そこで《浮侈》を第十二に叙しました。小さなことを積み重ねて行いを傷つけ、安楽を抱いて名声を損ないます。明らかな(見識)はなく、欲をほしいままにして、悔い改める様子がありません。それは諫めに逆らうのに十分で、善言を聞いても従わず、わずかな安逸が辱めを招き、ついには必ず凶があります。そこで《慎微》を第十三に叙しました。賢明な君主は良き人を思い、精神を賢者や知者に労しますが、百官は党をなして、真偽を確かめません。むやみに虚しい名誉を尊び、互いに欺きあい、官に就き職に任じても功績がありません。そこで《実貢》を第十四に叙しました。聖人は賢者を養って万民に及ぼし、先王の制度は、いずれも耕作に代わるに足るものでした。爵を増して禄を減らすなら、必ず傾くことを量り、まず役人の俸給を増して、はじめて平和を致すことができます。そこで《班禄》を第十五に叙しました。
解説
この章句が説くこと
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『潜夫論』班祿乃ち惟れ貢選を慎み、明らかに必ず黜陟し、官は其の人を得、人は其の職に任ず。昊天に欽若い、敬みて民に時を授く。我が婦子を同にし、彼の南畝に饁す。上は務めて礼を節し、身を正して下に示し、下は其の政を悦び、各おの楽しみて己を竭くし、其の上を奉戴す。是を以て天地交わりて泰く、陰陽和平なり。民に奸匿無く、機衡傾かず、徳気流布して、頌声作るなり。其の後、忽ち賢を養うことを忽せにして《鹿鳴》思い、宗族に背きて《采蘩》怨み、畝を履みて税して《碩鼠》作り、賦斂重くして重訳通を告げ、班禄頗にして傾甫頼り、行人定まりて綿蠻諷す。故に遂に耗乱衰弱し、周室微にして五伯作り、六国弊れて暴秦興るに及び、義理に背きて威力を尚び、典礼を滅ぼして貪叨を行う。賦斂を重くして以て己を厚くし、臣下を強くして以て枝を弱くす。文徳は封爵を獲ず、列侯は民を治むるを獲ず。是を以て賢者は礼を行いて以て道に従う能わず、品臣は枉無くして以て利に従う能わず。君又驟しば赦して以て賦を縦にし、民恥無くして盗窃多し、何者ぞ、咸気加わりて化は風を上り、患害切にして饑寒に迫まる、此れ臧紇の其の盗を詰る能わざる所以なり。詩に云う、「大風に隧有り、貪人は類を敗る」、「爾の教うれば、民斯に效う」と。
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『潜夫論』潛歎凡そ国を有つの君は、未だ嘗て治まらんと欲せずんばあらず。而るに治の世に見われざるは、任ずる所の賢ならざる故なり。世に未だ嘗て賢無きにあらざるなり。而るに賢の用いらるるを得ざるは、群臣の妒めばなり。主に賢を索むるの心有りて、賢を得るの術無く、臣に賢を進むるの名有りて、賢を進むるの実無し。此れ人君の上に孤危にして、道の猶お下に抑えらるる所以なり。夫れ国君の治を致す所以は、公なり。公法行わるれば則ち軌乱絶ゆ。佞臣の身を便にする所以は、私なり。私術用いらるれば則ち公法奪わる。列士の節を建つる所以は、義なり。正節立てば則ち醜類代わる。此れ奸臣乱吏、無法の徒の、日夜に賢君義士の間を杜塞し、咸な相得ざらしむと謂う所の者なり。夫れ賢者の人臣たるや、君を損なわずして以て佞を奉じ、衆に阿らずして以て容れらるるを取り、公を惰らずして私を聴き、法を撓めずして剛を吐く。其の明は能く奸を照らし、而して義は党に比せず。是を以て范武晋に帰りて国の奸逃れ、華元朝に反りて魚氏亡ぶ。故に正義の士は、邪枉の人と両立せず。
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