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潜夫論 / 誌氏姓

周靈王之太子晉,幼有成德,聰明博達,溫恭敦敏。穀、雒水鬥,將毀王宮,欲壅之。太子晉諫,以為不順天心,不若修政。晉平公使叔譽聘於周,見太子,與之言,五稱而三窮,逡巡而退,歸告平公曰:「太子晉行年十五,而譽弗能與言,君請事之。」平公遣師曠見太子晉,太子晉與語,師曠服德,深相結也。乃問曠曰:「吾聞太師能知人年之長短。」師曠對曰:「女色赤白,女聲清汙,火色不壽。」晉曰:「然。吾後三年將上賓於帝,女慎無言,殃將及女。」其後三年而太子死。孔子聞之曰:「惜夫,殺吾君也。」世人以其豫自知去期,故傳稱王子喬仙。仙之後,其嗣避周難於晉,家於平陽。(因)氏王氏,其後子孫世喜養性神仙之術。

新字:周霊王之太子晋,幼有成徳,聰明博達,温恭敦敏。穀、雒水鬥,将毀王宮,欲壅之。太子晋諫,以為不順天心,不若修政。晋平公使叔誉聘於周,見太子,与之言,五称而三窮,逡巡而退,帰告平公曰:「太子晋行年十五,而誉弗能与言,君請事之。」平公遣師曠見太子晋,太子晋与語,師曠服徳,深相結也。乃問曠曰:「吾聞太師能知人年之長短。」師曠対曰:「女色赤白,女声清汚,火色不寿。」晋曰:「然。吾後三年将上賓於帝,女慎無言,殃将及女。」其後三年而太子死。孔子聞之曰:「惜夫,殺吾君也。」世人以其予自知去期,故伝称王子喬仙。仙之後,其嗣避周難於晋,家於平陽。(因)氏王氏,其後子孫世喜養性神仙之術。

書き下し

周の霊王の太子晋は、幼にして成徳有り、聡明博達、温恭敦敏なり。穀・雒の水闘ひ、将に王宮を毀たんとし、之を壅がんと欲す。太子晋諫め、以為へらく天心に順はず、政を修むるに若かずと。晋の平公叔誉をして周に聘せしめ、太子に見え、之と言ふに、五たび称して三たび窮し、逡巡して退き、帰りて平公に告げて曰く、「太子晋は行年十五にして、誉は与に言ふこと能はず、君請ふ之に事へよ」と。平公師曠を遣はして太子晋に見えしめ、太子晋与に語り、師曠は徳に服し、深く相結ぶなり。乃ち曠に問ひて曰く、「吾聞く太師は能く人の年の長短を知ると」と。師曠対へて曰く、「女の色は赤白、女の声は清汙、火色は寿ならず」と。晋曰く、「然り。吾後三年にして将に上りて帝に賓たらんとす、女慎みて言ふこと無かれ、殃ひ将に女に及ばんとす」と。其の後三年にして太子死す。孔子之を聞きて曰く、「惜しいかな、吾が君を殺すや」と。世人其の豫め自ら去期を知るを以て、故に伝に王子喬は仙なりと称す。仙の後、其の嗣周の難を晋に避け、平陽に家す。(因りて)王氏を氏とし、其の後子孫世よ性を養ふ神仙の術を喜ぶ。

現代語訳

周の霊王の太子の晋は、幼いころから徳がそなわり、聡明で見識が広く、温和でつつしみ深く、実直で敏捷でした。穀水と雒水が争って、王宮を壊しそうになったとき、王はこれを堰き止めようとしました。太子晋は諫めて、それは天の心に従わないことであり、政治を修めるに越したことはないと述べました。晋の平公は叔誉を周に使いに出し、太子に会って語らせましたが、五たび言って三たび行き詰まり、たじろいで退き、帰って平公に告げました。「太子晋はまだ十五歳ですのに、私は語り合うことができませんでした。主君にはどうか彼に仕えてください」。平公は師曠を派遣して太子晋に会わせ、太子晋と語り合って、師曠はその徳に服し、深く交わりを結びました。太子は曠にたずねました。「私は、太師は人の寿命の長短がわかると聞いています」。師曠は答えました。「あなたの顔色は赤や白、声は清んだり濁ったりし、火の色の者は長寿ではありません」。晋は言いました。「その通りです。私は三年後に天に昇って帝の賓客となるでしょう。あなたは慎んで口外してはいけません。災いがあなたに及びます」。その三年後に太子は亡くなりました。孔子はこれを聞いて「惜しいことだ、わが君を殺してしまったのだ」と言いました。世の人は、彼があらかじめ自分の去る時を知っていたので、伝に王子喬は仙人だと称えました。その後、子孫は周の難を晋に避け、平陽に家を構えました。(それによって)王氏を名乗り、その後の子孫は代々、性を養う神仙の術を好みました。

解説

周の霊王の太子晋の逸話が語られます。幼いながら徳をそなえ、穀水と雒水の争いに際しては、堰き止めるより政を修めるべきだと諫めたとされます。晋の叔誉は議論で押され、師曠も太子に心服しました。太子は自らの死期を告げ、三年後にその通りになったと記され、孔子がこれを惜しんだ言葉も引かれます。世間が彼を仙人の王子喬と伝えた、と王符は書きます。その後の子孫は王氏を名乗り、神仙の術を好んだとされます。若い人でも言葉と見識で年長者を動かすことがあり、年功だけでなく中身で人を見る必要があるという示唆を、現代の人材登用に重ねて読めます。ただし死期の話は伝承として書かれたものです。

この章句が説くこと

太子晋師曠人材登用諫言年功潜夫論

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