潜夫論 / 夢列
借如使夢吉事,而己意大喜樂,發於心精,則真吉矣。夢凶事而己意大恐懼,憂悲發於心精,即真惡矣。所謂秋冬夢死傷也。吉者順時也,雖然,財為大害爾,由弗若勿夢也。凡察夢之大體,清潔鮮好,貌堅健,竹木茂美,宮室器械,新成方正,開通光明,溫和升上,向興之象,皆為吉喜。謀從事成,諸臭汙腐爛,枯槁絕霧,傾倚征邪,劓刖不安,閉塞幽昧,解落墜下,向衰之象,皆為計謀不從,舉事不成,妖孽怪異,可憎可惡之事,皆為憂。圖畫恤胎,刻鏤非真,瓦器虛空,皆為見欺紿。倡優俳舞,俟小兒所戲弄之象,皆為觀笑。此其大部也。
新字:借如使夢吉事,而己意大喜楽,発於心精,則真吉矣。夢凶事而己意大恐懼,憂悲発於心精,即真悪矣。所謂秋冬夢死傷也。吉者順時也,雖然,財為大害爾,由弗若勿夢也。凡察夢之大体,清潔鮮好,貌堅健,竹木茂美,宮室器械,新成方正,開通光明,温和升上,向興之象,皆為吉喜。謀従事成,諸臭汚腐爛,枯槁絶霧,傾倚征邪,劓刖不安,閉塞幽昧,解落墜下,向衰之象,皆為計謀不従,舉事不成,妖孽怪異,可憎可悪之事,皆為憂。図画恤胎,刻鏤非真,瓦器虚空,皆為見欺紿。倡優俳舞,俟小児所戯弄之象,皆為観笑。此其大部也。
書き下し
借し夢に吉事あらしめて、己が意大いに喜楽し、心精に発すれば、則ち真に吉なり。凶事を夢みて己が意大いに恐懼し、憂悲心精に発すれば、即ち真に悪なり。所謂秋冬に死傷を夢むるなり。吉なる者は時に順うなり、然りと雖も、財は大害為るのみ、弗若に由りて夢むる勿きに若かず。凡そ夢を察するの大体は、清潔鮮好、貌堅健、竹木茂美、宮室器械、新たに成りて方正、開通光明、温和升上、興に向かうの象、皆な吉喜と為す。謀は従い事は成る。諸もろの臭汚腐爛、枯槁絶霧、傾倚征邪、劓刖不安、閉塞幽昧、解落墜下、衰に向かうの象は、皆な計謀従わず、事を挙げて成らず、妖孽怪異、憎む可く悪む可きの事、皆な憂いと為す。図画恤胎、刻鏤非真、瓦器虚空は、皆な欺紿せらるると為す。倡優俳舞、小児の戯弄する所の象を俟つは、皆な観笑と為す。此れ其の大部なり。
現代語訳
たとえば夢で吉事を見て、自分の心が大いに喜び楽しみ、それが心の奥から湧いたものなら、本当に吉です。凶事を夢に見て自分の心が大いに恐れ、憂いや悲しみが心の奥から湧いたものなら、本当に悪い夢です。いわゆる秋冬に死傷を夢みる場合がそれです。吉であっても時節に従ったものではありますが、財についてはかえって大きな害となることがあり、それなら夢を見ないほうがましです。夢を観察するときの大筋は、清潔で美しく、姿が堅く健やかで、竹や木が茂り美しく、宮室や器具が新しくできて整い、通りよく明るく、温和で上へ昇るような、勢いに向かう象は、みな吉と喜びを表します。計画は従い、事は成就します。もろもろの臭くて汚れ腐り、枯れ果て霧のように絶え、傾き邪まで、鼻や足を切られて安らがず、閉じ塞がって暗く、解けて落ち下がるような、衰えに向かう象は、みな計画が思うようにならず、事を起こしても成らず、怪異や憎むべき悪いことが起こる、憂いの兆しです。絵に描いた胎児、刻み彫って本物でないもの、瓦器が空であるものは、みな欺かれる兆しです。芸人の舞踊や、子どもが遊び戯れる象は、みな見て笑うことの兆しです。これがその大まかな部類です。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
『潜夫論』夢列夢の或いは甚だ顕らかにして占無く、或いは甚だ微にして応有るは、何ぞや。曰く、本より夢と謂う所の者は、困しみて了察せざるの称にして、懵憒して名を冒すなり。故に亦た専ら信じて以て事を断ぜず。人の計事に対し、起ちて之を行うも、尚お従わざる有り、況んや忘忽雑夢に於いてをや、亦た必す可けんや。唯だ其の時に精誠の感薄する所、神霊の告ぐる所有る者のみ、乃ち占有るのみ。是の故に君子の異夢は、妄のみに非ざるなり、必ず事故有り。小人の異夢は、桀のみに非ざるなり、時に真の祥有り。是を以て武丁は聖を獲るを夢みて傅説を得、二世は白虎を夢みて其の封を滅ぼす。夫れ奇異の夢は、多く故有りて、為す無き者は少なし。人の一寝の夢は、或いは屢しば遷化し、百物代わる代わる至りて、其の主は能く之を究道せず、故に占者に中らざる有り。此れ古の罪に非ず、乃ち夢むる者の過ちなり。或いは夢を言うこと審らかなるも、説く者は類を連ねて伝観する能わず、故に其の悪の験あらざる有り。此れ書の罔きに非ず、乃ち説の過ちなり。是の故に夢を占うの難きは、其の書を読むを難しと為す。夫れ夢を占うには、必ず其の変故を謹み、其の徼候を審らかにし、内は情意を考え、外は王相を考えれば、即ち吉凶の符、善悪の効、庶わくは見る可けん。
-
『潜夫論』夢列春の夢は発生、夏の夢は高明、秋冬の夢は熱藏す。此れ応時の夢と謂う。陰病は寒を夢み、陽病は熱を夢み、内病は乱を夢み、外病は発を夢み、百病の夢は、或いは散じ或いは集まる。此れ気の夢と謂う。人の情心は、好悪同じからず、或いは此を以て吉とし、或いは此を以て凶とす、当に各おの自ら察し、常に古より従う所なるべし。此れ性情の夢と謂う。故に先に差忒有る者は、之を精と謂い、昼に思う所有りて、夜に其の事を夢むるは、之を想と謂う。乍ち吉乍ち善にして、凶悪の信ならざる者は、之を想と謂う。貴賤賢愚、男女長少は、之を人と謂う。風雨寒暑は、之を感と謂う。五行の王相は、之を時と謂う。陰極まれば即ち吉、陽極まれば即ち凶なるは、之を反と謂う。其の疾む所を観、其の夢むる所を察するは、之を病と謂う。心精の好悪、事に於いて験あるは、之を性と謂う。凡そ此の十は、夢を占うの大略なり。而して吉凶を決する者の類は多く反するは、其れ何の故ぞや。豈に人の覚むるを陽と為し、人の寐ぬるを陰と為し、陰陽の務め、相い反するが故か。此れ亦た其の甚だしからざる者を謂うのみ。
-
『潜夫論』夢列且つ凡そ人道は、瑞を見て徳を修むる者は、福必ず成り、瑞を見て縦恣する者は、福転じて禍と為る。妖を見て驕侮する者は、禍必ず成り、妖を見て戒懼する者は、禍転じて福と為る。是の故に大姒に吉夢有り、文王敢えて吉に康んぜず、群神を祀り、然る後に明堂に占い、並びに吉夢を拝す。修発戒懼し、喜びを聞くも憂うるが若し、故に能く吉を成して以て天下を有つ。虢公は蓐収の之に土田を賜うを夢み見て、目して以て吉有りと為し、史嚚に因りて、国をして夢を賀せしめ、憂いを聞きて喜ぶ、故に能く凶を成して以て其の封を滅ぼす。『易』に曰く、「懼るるを知らしめ、又憂患と故に明らかなり」と。凡そ異夢の心を感ぜしめ、以て人の吉凶に及び、相の気色は、善悪を問う無く、常に恐懼修省し、徳を以て之を迎うれば、乃ち其れ吉に逢い、天禄永く終えん。
-
『潜夫論』夢列凡そ夢には、直有り、象有り、精有り、想有り、人有り、感有り、時有り、反有り、病有り、性有り。昔、武王に在りて、邑姜方に太叔を震み、帝己に謂うを夢む、「爾の子に命じて虞とし、之に唐を与えん」と。生まるるに及び、手の掌に虞と曰う有り、因りて以て名と為す。成王唐を滅ぼし、遂に以て之を封ず。此れ直応の夢と謂う。詩に云う、「惟れ熊、惟れ羆は、男子の祥、惟れ虺、惟れ蛇は、女子の祥」と。「衆は惟れ魚なり、実に惟れ豊年、旐は惟れ旄なり、室家蓁蓁たり」と。此れ象の夢と謂う。孔子は乱世に生まれ、日に周公の徳を思い、夜に即ち之を夢む。此れ意精の夢と謂う。人思う所有れば、即ち其の到るを夢み、憂い有れば、即ち其の事を夢む。此れ記想の夢と謂う。今事に、貴人之を夢むれば即ち祥と為り、賤人之を夢むれば即ち妖と為る、君子之を夢むれば即ち栄と為り、小人之を夢むれば即ち辱と為る。此れ人位の夢と謂う。晋の文公、城濮の戦に、楚子己に伏して其の脳を盬うを夢む、是れ大悪なり。戦うに及び、乃ち大いに勝つ。此れ極反の夢と謂う。陰雨の夢は人をして厭迷せしめ、陽旱の夢は人をして乱離せしめ、大寒の夢は人をして怨悲せしめ、大風の夢は人をして飄飛せしむ。此れ感気の夢と謂う。
-
『列子』周穆王篇一體の盈虛消息は、皆な天地に通じ、物類に應ず。故に陰氣壯んなれば、則ち大水を涉りて恐懼するを夢み、陽氣壯んなれば、則ち大火を涉りて燔焫するを夢み、陰陽俱に壯んなれば、則ち生殺を夢む。甚だ飽けば則ち與うるを夢み、甚だ饑うれば則ち取るを夢む。是を以て浮虛を以て疾と爲す者は、則ち揚がるを夢み、沈實を以て疾と爲す者は、則ち溺るるを夢む。帶を藉きて寢ぬれば則ち蛇を夢み、飛鳥髮を銜めば則ち飛ぶを夢む。將に陰らんとすれば火を夢み、將に疾まんとすれば食を夢む。酒を飲む者は憂え、歌い儛う者は哭す。
-
『潜夫論』敘錄詩は吉夢を称し、書伝にも亦た多し、行事を観察するに、古験は虚しからず。福は善より来たり、禍は徳の痡むに由る、吉凶の応は、行いと相い須つ、故に《夢列》第二十八を叙す。論難横しまに発し、道をして通ぜざらしめ、後進疑惑して、従う所を知らず。昔の庚子よりして、責むること云う有り、予豈に弁を好まんや、将に以て真を明らかにせんとす、故に《釈難》第二十九を叙す。朋友の際は、義は六紀に存し、摂するに威儀を以てし、王道を講習す。其の久要を善くし、貴賤改めず、今民の遷ること久しく、之を奉ずる能う莫し、故に《交際》第三十を叙す。君に美称有り、臣に令名有り、二人心を同じくすれば、願う所乃ち成る。権を宝とし術を神にし、下情を勾示す、治勢一たび定まれば、終に能く傾くる莫し、故に《明忠》第三十一を叙す。人天は情通じ、気感じて相い和し、善悪相い征し、異端変化す。聖人之を運らすこと、舟車を禦するが若し、民の精神を作し、含嘉する能う莫し、故に《本訓》第三十二を叙す。明王の統治は、身化より大なるは莫し、道徳を本と為し、仁義を佐と為す。思心政に順い、民を責むること務めて広し、四海治まれば、何ぞ消長有らん、故に《徳化》第三十三を叙す。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る