潜夫論 / 卜列
神農火精,承熒惑而王,夫其子孫鹹當為徵。黃帝土精,承鎮而王,夫其子孫鹹當為宮。少皞金精,承太白而王,夫其子孫鹹當為商。顓頊水精,承辰而王,夫其子孫鹹當為羽。雖號百變,音行不易。
新字:神農火精,承熒惑而王,夫其子孫鹹当為徴。黄帝土精,承鎮而王,夫其子孫鹹当為宮。少皞金精,承太白而王,夫其子孫鹹当為商。顓頊水精,承辰而王,夫其子孫鹹当為羽。雖号百変,音行不易。
書き下し
神農は火の精にして、熒惑を承けて王たり、夫れ其の子孫は鹹な当に徴と為るべし。黄帝は土の精にして、鎮を承けて王たり、夫れ其の子孫は鹹な当に宮と為るべし。少皞は金の精にして、太白を承けて王たり、夫れ其の子孫は鹹な当に商と為るべし。顓頊は水の精にして、辰を承けて王たり、夫れ其の子孫は鹹な当に羽と為るべし。号は百変すと雖も、音行は易らず。
現代語訳
神農は火の精で、熒惑(火星)を承けて王となりました。その子孫はみな徴の音になるはずです。黄帝は土の精で、鎮(土星)を承けて王となりました。その子孫はみな宮の音になるはずです。少皞は金の精で、太白(金星)を承けて王となりました。その子孫はみな商の音になるはずです。顓頊は水の精で、辰(水星)を承けて王となりました。その子孫はみな羽の音になるはずです。呼び名は百度変わっても、音の系統は変わりません。
解説
前段の最後にある太皞と角の対応に続き、この段では神農・黄帝・少皞・顓頊を、それぞれ火・土・金・水の精、徴・宮・商・羽の音に当てはめて列挙します。五行説にもとづく帝王の系譜と音の対応を示す箇所で、王符は、姓の音は本来その祖先の拠った土地や五行に由来するものであり、後世に名を変えても音の系統は変わらないという立場です。星の名や五音の対応は、当時の世界観を表す記録として読むとよいでしょう。ここでは王符が主張の根拠として古い系譜の枠組みを借りている点に注意が要ります。現代では、組織の来歴や創業の理念といった根っこが、名称の変更を超えて受け継がれるという見方に、橋渡しできるかもしれません。
この章句が説くこと
卜列五行五音系譜来歴潜夫論
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五行大義・第二十一論五帝易経は乃ち上は伏羲を取り、下は虞舜に至り、中間の三帝を言わざるは、その因修して造作する所無きを以てなり。何を以てか之を言うを得ん。故に論ぜざるなり。大昊帝庖羲は、姓は風なり。母は華胥(かしょ)、大人の跡を履(ふ)みて成紀に生まる。蛇身人首にして、木徳を以て天下に王たり、百王の先たり。易に曰く、帝は震に出づ、と。震は木、東方にして、春を主り、日の明に象る、故に太昊と曰う。亀文に因象して八卦を画き、罔罟(もうこ)を為りて以て田漁す。古は人畜相食み、害を為す者多し。帝は蜘蛛の網を観て、民に犠牲を取りて以て庖厨に充つることを教う。故に庖犠と曰う。是れを羲皇と謂う。後世音謬りて、之を伏犠と謂い、或いは宓羲(ふくぎ)と云う。一に雄皇氏と号す。孝経鉤命決に云う、伏羲は日角珠衡にして勝を戴く、と。礼含文嘉に云う、伏羲の徳上下に洽(あまね)く、天は応ずるに鳥獣の文章を以てし、地は応ずるに亀書を以てす。伏羲則(のっと)り象りて、八卦を作る、と。炎帝神農氏は、姓は姜。母は任姒(じんじ)、名は女登、神竜に感じて帝を常羊に生む。人身牛首にして、火を以て木を承け、南方に位し、夏を主る、故に炎帝と曰う。耒耜(らいし)を作り、始めて民に耕農を教う。嘗めて草木を別ち、人をして穀を食わしめ以て犠牲の命に代う、故に神農と号す。一に魁隗(かいかい)氏と号す。是れを農皇と為す。礼含文嘉に云う、神農田道を作り、耒耜に就く。天は応ずるに嘉禾を以てし、地は出だすに醴泉を以てす、と。黄帝軒轅氏は、姓は姫。母は附宝、大電光の北斗の枢星を繞(めぐ)り、明らかに郊野を照らすを見、感じて帝を寿丘に生む。土を以て火を承け、位は中央に在り、故に黄帝と曰う。五気を治め、五帝を設け、始めて衣裳を垂れ、舟車を作り、屋宇を造る。古は巣居穴処す。黄帝之に易(か)うるに上棟下宇を以てし、以て風雨を蔽う。故に軒轅と号す。亦云う、
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五行大義・第二十一論五帝遂古(すいこ)以来、論ずる所の五帝は、凡そ三種有り。河図に云う、東方の青帝は霊威仰(れいいぎょう)、木帝なり。南方の赤帝は赤熛怒(せきひょうど)、火帝なり。中央の黄帝は含枢紐(がんすうちゅう)、土帝なり。西方の白帝は白招拒(はくしょうきょ)、金帝なり。北方の黒帝は叶光紀(きょうこうき)、水帝なり、と。陶華陽云う、皇伯・皇仲・皇叔・皇季・皇少の兄弟五人有り、即ち霊威仰等なり。此の五帝は、並びに天上の神にして、下りて世を治め、神鬼を綜理し、次第に相接す。太微宮を治め、その精は五帝の座と為る。五星は王に随いて気を受く。即ち明堂に祭る所の者なり、と。故に云う、文王を明堂に宗祀して、以て上帝に配す、と。礼記に曰く、春の月、その帝は大皥(たいこう)。夏の月、その帝は炎帝。中央は土、その帝は黄帝。秋の月、その帝は少皥。冬の月、その帝は顓頊(せんぎょく)、と。東方の大昊は庖羲氏(ほうぎし)、春を主る、蒼精の君なり。南方の炎帝は神農氏、夏を主る、赤精の君なり。中央の黄帝は軒轅氏、四季を主る、黄精の君なり。西方の白帝は金天氏、秋を主る、白精の君なり。北方の黒帝は顓頊氏、冬を主る、黒精の君なり。易に曰く、帝は震に出づ、と。此れ蓋し人帝の始めにして、伏羲に始まる。五行の次は木を以て先と為し、四時の相易(か)わるは春を以て首と為す。故に庖羲は五帝の先たるなり。又諸史は少昊・顓頊・高辛・唐・虞を以て、之を五帝と謂う。此れ蓋し舜より以前、五行相承けて帝たるなり。
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