潜夫論 / 班祿
其班祿也,以上農為正,始於庶人在官者,祿足以代耕,蓋食九人,諸侯下士亦然。中士倍下士,食十八人。上士倍中士,食三十六人。大夫倍之,食七十二人。小國之卿,二於大夫。次國之卿,三於大夫。大國之卿,四於大夫,食二百八十八人。君各什其卿,天子三公侯采視公侯,蓋方百里。卿采視伯,方七十里。大夫視子男,方五十里。元士視附庸,方三十里。功成者封,是故官政專公,不慮私家;子弟事學,不於財利。閉門自守,不與民交爭,而無饑寒之道,而不陷。臣養優而不隘,吏愛官而不貪,民安靜而強力,此則太平之基立矣。
新字:其班禄也,以上農為正,始於庶人在官者,禄足以代耕,蓋食九人,諸侯下士亦然。中士倍下士,食十八人。上士倍中士,食三十六人。大夫倍之,食七十二人。小国之卿,二於大夫。次国之卿,三於大夫。大国之卿,四於大夫,食二百八十八人。君各什其卿,天子三公侯采視公侯,蓋方百里。卿采視伯,方七十里。大夫視子男,方五十里。元士視附庸,方三十里。功成者封,是故官政専公,不慮私家;子弟事学,不於財利。閉門自守,不与民交争,而無饑寒之道,而不陥。臣養優而不隘,吏愛官而不貪,民安静而強力,此則太平之基立矣。
書き下し
其の班禄するや、上農を以て正と為し、庶人の官に在る者より始め、禄は以て耕に代わるに足り、蓋し九人を食らわす。諸侯の下士も亦た然り。中士は下士に倍し、十八人を食らわす。上士は中士に倍し、三十六人を食らわす。大夫は之に倍し、七十二人を食らわす。小国の卿は、大夫に二なり。次国の卿は、大夫に三なり。大国の卿は、大夫に四なり、二百八十八人を食らわす。君は各々其の卿に什なり、天子の三公は侯の采、公侯に視う、蓋し方百里なり。卿の采は伯に視い、方七十里なり。大夫は子男に視い、方五十里なり。元士は附庸に視い、方三十里なり。功成る者は封ぜらる、是の故に官政は公に専らにして、私家を慮らず、子弟は学を事とし、財利に於いてせず。門を閉じて自ら守り、民と交争せず、而して饑寒の道無くして、陥らず。臣の養い優にして隘からず、吏は官を愛して貪らず、民は安静にして力を強くす、此れ則ち太平の基立てるなり。
現代語訳
その禄の配り方は、上等の農夫を基準とし、庶人で官にある者から始め、禄は耕作に代わるのに十分で、およそ九人を養えるものでした。諸侯の下士も同様です。中士は下士の倍で、十八人を養います。上士は中士の倍で、三十六人を養います。大夫はさらにその倍で、七十二人を養います。小国の卿は大夫の二倍、次国の卿は三倍、大国の卿は大夫の四倍で、二百八十八人を養えました。君は各々その卿の十倍でした。天子の三公は侯の領地に準じ、公侯に比べておよそ方百里でした。卿の領地は伯に準じて方七十里、大夫は子男に準じて方五十里、元士は附庸に準じて方三十里でした。功を成した者は封ぜられました。だから官の政治は公に専念して私家を顧みず、子弟は学問に励み、財利を求めませんでした。門を閉じて自らを守り、民と争わず、飢えや寒さに苦しむことがなく、落ちぶれることもありません。臣下の養いは十分でゆとりがあり、官吏は官職を大切にして貪らず、民は静かに安んじて力を伸ばします。これが太平の基礎が立つということです。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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礼記・王制制に、農田は百畝。百畝の分(ぶん)、上農夫は九人を食(やしな)い、其の次は八人を食い、其の次は七人を食い、其の次は六人を食い、下農夫は五人を食う。庶人の官に在る者は、其の禄是を以て差を為す。諸侯の下士は上農夫に視う。禄以て其の耕に代うるに足るなり。中士は下士に倍し、上士は中士に倍し、下大夫は上士に倍す。卿は大夫の禄を四にし、君は卿の禄を十にす。次国の卿は大夫の禄を三にし、君は卿の禄を十にす。小国の卿は大夫の禄に倍し、君は卿の禄を十にす。
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『潜夫論』班祿是の故に先王将に号を発し令を施さんとするや、諄諄如たり、唯だ中らずして邪に道かんことを恐る。故に典を作りて以て民の極と為し、上下之を共にし、私曲有る無し。三府法を製し、未だ彼の罪有るを赦し、獄貨を惟れ宝とする者を聞かざるなり。是の故に明君は衆に臨むに、必ず正軌を以てし、既に?有る無く、務めて礼を節して下を厚くし、徳を復して化を崇び、皆をして養生に阜かならしめて、廉恥を競わしむるなり。是を以て官長正しくして百姓化し、邪心黜けられて奸匿絶え、然る後に乃ち和気を協え太平を致す能うなり。易に曰く、「聖人は賢を養い、以て万民に及ぶ」と。国は民を以て本と為し、君は臣を以て基と為し、然る後に高きは崇ぶ可きなり。馬肥ゆれば、然る後に遠きは致す可きなり。人君此れに務めずして太平を致さんと欲するは、此れ猶お趾を薄くして高牆を望み、驥を瘠せしめて遠道を責むるがごとく、其の得可からざること必せり。
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『潜夫論』班祿故に天の君を立つるは、此の人を私して以て民を役するに非ず、蓋し暴を誅し害を除き黎元を利するを以てなり。是を以て人謀鬼謀、能者之に処る。詩に云う、「皇なる上帝、下に臨むこと赫たり、四方を監観し、民の瘼を求む。惟れ此の二国、其の政獲ず、惟れ此の四国、爰に究め爰に度る。上帝之を指し、其の式悪を憎み、乃ち眷みて西に顧み、此れ惟れ与に度る」と。蓋し此の言は、夏殷の二国の政の得ざるは、乃ち奢誇廓大を用う、上帝之を憎み、更に民の瘼を求め、聖人は天下の四国と究度して之を居らしむるを言うなり。前に良人を招き、奢誇廓大の紀極無きを疾む。乃ち惟れ法象を度り、礼祑を明著し、優憲藝を為し、之を無窮に縣く。故に伝に曰く、「礼を制するに、上物は十二に過ぎず、天の道なり」と。是を以て先聖は籍田に制有り、神に供するに度有り、己に奉ずるに節有り、賢を礼するに数有り。上下・大小・貴賤・親疏、皆な等威有り、階級衰殺し、各々足りて其の爵位を禄とす。公私其の等級に達し、礼は徳義を行う。此の時に当たり、九州の内、三千里を合わせるのみ、八百国あり。
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礼記・王制諸侯の下士は、禄九人を食(やしな)い、中士は十八人を食い、上士は三十六人を食い、下大夫は七十二人を食い、卿は二百八十八人を食い、君は二千八百八十人を食う。次国の卿は二百一十六人を食い、君は二千一百六十人を食う。小国の卿は百四十四人を食い、君は千四百四十人を食う。次国の卿の其の君に命ぜらるる者は、小国の卿の如し。天子の大夫の三監と為りて諸侯の国に監たる者は、其の禄は諸侯の卿に視え、其の爵は次国の君に視え、其の禄はこれを方伯の地に取る。方伯の天子に朝するが為に、皆湯沐(とうもく)の邑を天子の県内に有し、元士に視う。諸侯の世子は国を世(つ)ぎ、大夫は爵を世がず。使うに徳を以てし、爵するに功を以てす。未だ爵を賜わらざれば、天子の元士に視えて、以て其の国に君たり。諸侯の大夫は、爵禄を世がず。
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『潜夫論』班祿乃ち惟れ貢選を慎み、明らかに必ず黜陟し、官は其の人を得、人は其の職に任ず。昊天に欽若い、敬みて民に時を授く。我が婦子を同にし、彼の南畝に饁す。上は務めて礼を節し、身を正して下に示し、下は其の政を悦び、各おの楽しみて己を竭くし、其の上を奉戴す。是を以て天地交わりて泰く、陰陽和平なり。民に奸匿無く、機衡傾かず、徳気流布して、頌声作るなり。其の後、忽ち賢を養うことを忽せにして《鹿鳴》思い、宗族に背きて《采蘩》怨み、畝を履みて税して《碩鼠》作り、賦斂重くして重訳通を告げ、班禄頗にして傾甫頼り、行人定まりて綿蠻諷す。故に遂に耗乱衰弱し、周室微にして五伯作り、六国弊れて暴秦興るに及び、義理に背きて威力を尚び、典礼を滅ぼして貪叨を行う。賦斂を重くして以て己を厚くし、臣下を強くして以て枝を弱くす。文徳は封爵を獲ず、列侯は民を治むるを獲ず。是を以て賢者は礼を行いて以て道に従う能わず、品臣は枉無くして以て利に従う能わず。君又驟しば赦して以て賦を縦にし、民恥無くして盗窃多し、何者ぞ、咸気加わりて化は風を上り、患害切にして饑寒に迫まる、此れ臧紇の其の盗を詰る能わざる所以なり。詩に云う、「大風に隧有り、貪人は類を敗る」、「爾の教うれば、民斯に效う」と。
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孟子・萬章章句下北宮錡問ひて曰く、「周室の爵禄を班つや、之を如何せし。」孟子曰く、「其の詳は得て聞くべからざるなり、諸侯其の己を害するを悪みて、皆其の籍を去れり。然れども軻や嘗て其の略を聞けり。天子一位、公一位、侯一位、伯一位、子・男同じく一位、凡そ五等なり。君一位、卿一位、大夫一位、上士一位、中士一位、下士一位、凡そ六等なり。天子の制は、地方千里、公侯は皆方百里、伯は七十里、子・男は五十里、凡そ四等なり。五十里なる能はざるは、天子に達せず、諸侯に附く、附庸と曰ふ。天子の卿は地を受くること侯に視へ、大夫は地を受くること伯に視へ、元士は地を受くること子・男に視ふ。大国は地方百里、君は卿の禄を十にし、卿の禄は大夫を四にし、大夫は上士に倍し、上士は中士に倍し、中士は下士に倍し、下士は庶人の官に在る者と禄を同じくし、禄は以て其の耕に代ふるに足るなり。次国は地方七十里、君は卿の禄を十にし、卿の禄は大夫を三にし、大夫は上士に倍し、上士は中士に倍し、中士は下士に倍し、下士は庶人の官に在る者と禄を同じくし、禄は以て其の耕に代ふるに足るなり。小国は地方五十里、君は卿の禄を十にし、卿の禄は大夫を二にし、大夫は上士に倍し、上士は中士に倍し、中士は下士に倍し、下士は庶人の官に在る者と禄を同じくし、禄は以て其の耕に代ふるに足るなり。耕す者の獲る所は、一夫百畝なり。百畝の糞(こや)しは、上農夫は九人を食ひ、上の次は八人を食ひ、中は七人を食ひ、中の次は六人を食ひ、下は五人を食ふ。庶人の官に在る者は、其の禄是を以て差と為す。
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