千字文 / 『千字文』天地の始まりと自然の巡り
天地玄黃 宇宙洪荒 日月盈昃 辰宿列張 寒來暑往 秋收冬藏 閏餘成歲 律呂調陽 雲騰致雨 露結為霜 金生麗水 玉出崑岡 劍號巨闕 珠稱夜光 果珍李柰 菜重芥薑 海鹹河淡 鱗潛羽翔
新字:天地玄黄 宇宙洪荒 日月盈昃 辰宿列張 寒来暑往 秋収冬蔵 閏余成歳 律呂調陽 雲騰致雨 露結為霜 金生麗水 玉出崑岡 剣号巨闕 珠称夜光 果珍李柰 菜重芥薑 海鹹河淡 鱗潜羽翔
書き下し
天地は玄く黄にして 宇宙は洪く荒し 日月は盈ち昃き 辰宿は列なり張る 寒来たり暑往き 秋収め冬蔵す 閏余は歳を成し 律呂は陽を調う 雲騰りて雨を致し 露結びて霜と為る 金は麗水に生じ 玉は崑岡に出ず 剣は巨闕と号し 珠は夜光と称す 果は李柰を珍とし 菜は芥薑を重んず 海は鹹く河は淡く 鱗は潜み羽は翔ぶ
現代語訳
天は黒く地は黄色く、宇宙は果てしなく広がっています。 太陽は満ちて傾き、月は満ちて欠け、星々は天に連なり広がります。 寒さが来れば暑さが去り、秋に収穫して冬に蓄えます。 閏月で一年の暦を整え、音律で陰陽の気を調えます。 雲が昇って雨となり、露が凍って霜となります。 黄金は麗水から産し、玉は崑崙山の岡から出ます。 剣では巨闕の名が高く、宝珠では夜光が名高いものです。 果物では李と林檎が珍重され、野菜では芥子菜と生姜が重んじられます。 海の水は塩辛く川の水は淡く、魚は水に潜み鳥は空を飛びます。
解説
千字文の冒頭は、天地の色から季節、暦、気象、名宝、食材、水の違い、生き物の住み分けまでを一気に並べます。天は玄(黒)、地は黄という見方は『易経』に由来します。作者の周興嗣は南朝梁の人で、重複しない千字を韻文に仕立てたと伝わります。世界を先に眺めて、そのなかに人の営みを置く順序です。現代の組織に引きつけると、仕事を始める前に、季節の巡りや環境の前提を押さえておく姿勢に通じます。時期を読み、収め、蓄える。その循環を見失わないことが土台だと読めます。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
天地玄黄宇宙洪荒日月寒来暑往秋収冬蔵閏余成歳
関連する章句
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呂氏春秋・有始①天地に始め有り。天は微にして以て成り、地は塞ちて以て形す。天地の合和するは、生の大經なり。寒暑日月晝夜を以て之を知り、殊形殊能異宜を以て之を説く。夫れ物は合して成り、離れて生ず。合を知り成を知り、離を知り生を知れば、則ち天地平す。平なる者は、皆當に其の情を察し、其の形を處らかにすべし。
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『淮南子』天文訓天墬未だ形あらず、馮馮翼翼、洞洞灟灟たり。故に太昭と曰う。道は虛霩に始まり、虛霩は宇宙を生じ、宇宙は氣を生ず。氣に涯垠有り。清陽なる者は薄靡して天と為り、重濁なる者は凝滯して地と為る。清妙の合するは專ら易く、重濁の凝るは竭き難し。故に天先ず成りて地後に定まる。天地の襲精は陰陽と為り、陰陽の專精は四時と為り、四時の散精は萬物と為る。積陽の熱氣は火を生じ、火氣の精なる者は日と為る。積陰の寒氣は水と為り、水氣の精なる者は月と為る。日月の淫にして精と為る者は星辰と為る。
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『淮南子』天文訓季春三月、豐隆乃ち出でて、以て其の雨を將う。秋三月に至り、地氣藏せず、乃ち其の殺を收め、百蟲蟄伏し、靜居して戶を閉ず。青女乃ち出でて、以て霜雪を降す。十二時の氣を行き、以て仲春二月の夕べに至り、乃ち其の藏を收めて其の寒を閉ず。女夷鼓歌して、以て天和を司り、以て百穀禽鳥草木を長ず。孟夏の月、以て穀禾を熟し、雄鳩長く鳴きて、帝の為に歲を候う。是の故に天其の陰を發せざれば、則ち萬物生ぜず。地其の陽を發せざれば、則ち萬物成らず。天圓く地方に、道は中央に在り。日を德と為し、月を刑と為す。月歸りて萬物死し、日至りて萬物生ず。山を遠ざくれば則ち山氣藏し、水を遠ざくれば則ち水蟲蟄し、木を遠ざくれば則ち木葉槁る。日五日見えざれば、其の位を失うなり。聖人は與せず。
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『淮南子』天文訓天地以て設けられ、分かれて陰陽と爲る。陽は陰に生じ、陰は陽に生ず。陰陽相い錯わりて、四維乃ち通じ、或いは死し或いは生じ、萬物乃ち成る。蚑行喙息、人より貴きは莫し。孔竅肢體、皆な天に通ず。天に九重有り、人にも亦た九竅有り。天に四時有り、以て十二月を制す。人にも亦た四肢有り、以て十二節を使う。天に十二月有り、以て三百六十日を制す。人にも亦た十二肢有り、以て三百六十節を使う。故に事を舉げて天に順わざる者は、其の生を逆らう者なり。日冬至を以て來歲の正月朔日を數え、五十日なる者は、民の食足る。五十日に滿たざれば、日に一斗を減じ、餘る日有れば、日に一升を益す。其の歲司有るなり。
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三字経・『三字経』四時・四方・五行・五常曰く春夏、曰く秋冬、此れ四時、運りて窮まらず。 曰く南北、曰く西東、此れ四方、中に応ず。 曰く水火、木金土、此れ五行、数に本づく。 曰く仁義、礼智信、此れ五常、紊るるを容れず。
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『慎思録』巻之二天地万物、皆自然の文有り。日月星辰、雲雨烟霞の象を成して上に顕るる者は、皆天に在るの文なり。山峙ち川流れ、江海の深広、田野の布列、此れ皆地に在るの文なり。人倫常行の法則有り、威儀三千、礼儀三百の品節有り、進退周旋の容止有り、舞踏の儀容有り、衣服の采色有り、器用の制度有る、皆是れ人に在るの文なり。鳥獣虫魚の羽毛鱗介有り、草木の発栄暢茂、群花の紅白爛漫、此れ皆群品の文なり。豈に啻に形色の目に視る者のみならんや。抑々声音の耳に聴き、臭味の口鼻に入るも、亦た皆文有り。蓋し五声の歌詠を節し、十二律の八音を和し、五味の口に可なる、香気の鼻を養ふ、此れ乃ち声音と香味との文なり。人惟だ形色に文有るを知りて、声音香味も亦た皆文有るを知らず。故に曰く、万物皆自然の文有り、と。豈に特に文辞言語に見るるのみならんや。薛敬軒曰く、凡そ条理明白なる者有れば、皆之を文と謂ふべし。特に語言文章の謂ひに非ざるなり、と。