三十六計 / 第一套 勝戰計・第一計・瞞天過海
備周則意怠;常見則不疑。陰在陽之內,不在陽之對。太陽,太陰。 【按語】陰謀作為,不能背於秘處行之。夜半行竊,僻巷殺人,愚俗之行,非謀士之所為也。
新字:備周則意怠;常見則不疑。陰在陽之内,不在陽之対。太陽,太陰。 【按語】陰謀作為,不能背於秘処行之。夜半行窃,僻巷殺人,愚俗之行,非謀士之所為也。
書き下し
備へ周ければ則ち意怠り、常に見れば則ち疑はず。陰は陽の内に在り、陽の對に在らず。太陽、太陰。 【按語】陰謀作爲は、秘處に背きて之を行ふを得ず。夜半に竊を行ひ、僻巷に人を殺すは、愚俗の行にして、謀士の爲す所に非ざるなり。
現代語訳
備えが行き届いていると思えば心が緩み、いつも目にしているものは疑われません。陰(かくすこと)は陽(あらわなこと)の内にあるもので、陽の向かい側にあるのではありません。太陽、太陰。 【按語】陰謀や策略は、人目につかない隠れた場所で行うものではありません。夜中に盗みを働いたり、人気のない路地で人を殺したりするのは、愚かで俗な者の行いであって、謀士のすることではありません。
解説
第一計「瞞天過海」は、すっかり備えたと思うと人は油断し、見慣れたものは疑わなくなる、という人の心の癖を突く計です。按語は、本当の策は暗がりでこそこそ行うのではなく、むしろ堂々と人目にさらしながら進めるものだと説きます。陰が陽の内にあるとは、秘めたものを日常の見える姿の中に溶かし込むことです。仕事に置き換えると、新しい取り組みを特別な動きとして見せず、日々の業務の延長に埋め込んで進める発想に通じます。同じことは、自社の習慣的な備えや確認がマンネリで形だけになっていないかを点検する戒めとしても読めます。
この章句が説くこと
瞞天過海備周意怠常見陰陽謀士
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