論語 / 衛霊公篇
子曰:「吾之於人也,誰毀誰譽?如有所譽者,其有所試矣。斯民也,三代之所以直道而行也。」
新字:子曰:「吾之於人也,誰毀誰誉?如有所誉者,其有所試矣。斯民也,三代之所以直道而行也。」
書き下し
子曰く、吾の人に於けるや、誰をか毀り誰をか誉めん。如し誉むる所有らば、其れ試みる所有らん。斯の民や、三代の直道にして行いし所以なり。
現代語訳
先生がおっしゃった。「私が人に対して、誰をけなし誰を褒めるということがあろうか。もし褒めることがあるなら、それは実際に試したうえでのことだ。この民は、夏殷周の三代がまっすぐな道を行うことができた、その民なのだ。」
解説
人を褒めるときの条件を示している。試したうえでのことだ、と。実際に任せてみて、結果を見てから褒める。印象や評判で褒めない、という規律である。褒め言葉は安く出せるが、根拠のない称賛は評価そのものを軽くする。後半の一句が興味深い。この民は三代がまっすぐな道を行えた民である、と。目の前の人々を、特別に劣った世代とは見ていない。昔はよかったという嘆きの逆である。人は変わっていない、変わったのは治め方だ、という認識になる。組織でも同じ見方ができる。人材の質が落ちたと嘆く前に、同じ人たちで成果を出していた時期があったかを確かめる。あったなら、変わったのは人ではなく運営のほうである。