導師導古典を学びたいすべての人に

論語と算盤 / 常識と習慣・悪んで其の美を知れ

自己の懐抱する主義が斯うであるから、面会を求めて来る人には必ず会うて談話する、知人と然らざるとの別なく、自分に差支なければ、必ず面会して先方の注意と希望を聞くことにして居る、それであるから来訪者の希望が道理に協つて居ること〻思ふ場合ならば、相手の何人たるを問はず、其人の希望を叶へてやる。

書き下し

自己の懐抱する主義がこうであるから、面会を求めて来る人には必ず会うて談話する。知人としからざるとの別なく、自分に差し支えなければ、必ず面会して先方の注意と希望を聞くことにしている。それであるから来訪者の希望が道理にかなっていることと思う場合ならば、相手の何人たるを問わず、その人の希望をかなえてやる。

現代語訳

自分の抱いている主義がこのようであるから、面会を求めてくる人には必ず会って話をする。知り合いであるかないかの区別なく、自分に差し支えがなければ、必ず会って相手の考えと希望を聞くことにしている。だから、来訪者の希望が道理にかなっていると思う場合には、相手が誰であろうと、その人の希望をかなえてやるのである。

解説

渋沢の門戸開放主義を、簡潔に言い表した一段である。面会を求める者には、知人か否かを問わず、差し支えがなければ必ず会う。相手の考えと希望を聞く。その希望が道理にかなっていれば、相手が誰であろうとかなえる。判断の基準は、相手の身分でも紹介者でもなく、希望が道理にかなっているかどうかだけである。飛鳥山の渋沢邸には、実業家、政治家、学者、外国の要人から無名の若者まで、実に多様な人々が訪れたと伝えられる。それでも会うのは、先に述べた主義、つまり人の能を助けて社会に役立てたいという考えから出ている。相手を選ぶ前にまず会い、聞いてから判断する。門を閉ざせば、誤解は避けられても、世に埋もれた人や案と出会う機会を失うのである。

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る