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驢鞍橋 / 卷中

師語て曰く、此の前、熱田にて去る人の親、犬に生れ來て、其子に養はれたる事あり。各の親、只今犬に成らば、如何か方便あるへきや。衆無語。師曰く、我は子細を札に書付け、車にのせて引廻はすへしと也

新字:師語て曰く、此の前、熱田にて去る人の親、犬に生れ来て、其子に養はれたる事あり。各の親、只今犬に成らば、如何か方便あるへきや。衆無語。師曰く、我は子細を札に書付け、車にのせて引廻はすへしと也

書き下し

師語て曰く、此の前、熱田にて去る人の親、犬に生れ来て、其子に養はれたる事あり。各の親、只今犬に成らば、如何か方便あるへきや。衆無語。師曰く、我は子細を札に書付け、車にのせて引廻はすへしと也

現代語訳

師が語って言われた。以前、熱田で、ある人の親が犬に生まれ変わってきて、その子に養われたことがある。各々の親がいま犬になったとしたら、どういう手だてがあるか。衆は答えがなかった。師が言われた。私なら、事の次第を札に書き付け、車に乗せて引き回すだろう、と。

解説

親が犬に生まれ変わったという話は、輪廻の教えが身近に信じられていた時代の出来事として語られている。正三は、もし自分の親が犬になったらどうするかと弟子たちに問い、答えられない彼らに意外な方法を示した。事情を札に書いて車に乗せて引き回すというのは、恥をさらしてでも因果の恐ろしさを世に知らせ、親の業を人々の戒めに変えるという意味に読める。身内の不始末を隠すより、教訓として生かす道もあるということである。失敗を隠さず共有する姿勢は、組織の学びにも通じる。

この章句が説くこと

輪廻因果親方便供養戒め

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