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驢鞍橋 / 卷中

百丈野狐話、不落因果。師着語曰く、一念纔生。永劫不免生死業。不昧因果。着語。舌頭無骨。百丈至晩上堂。擧前因緣。黃檗便問。古人錯祇對一轉語。墮五百生野狐身、轉々不錯。合作箇甚麼。着語。大含毒氣。丈曰。近前來爲汝道。着語。這野狐精。師因に云ふ、今我に此の則を問ふものあらは、前百丈を知るや知るやと、つゝ倒してくれんずと也。

新字:百丈野狐話、不落因果。師着語曰く、一念纔生。永劫不免生死業。不昧因果。着語。舌頭無骨。百丈至晩上堂。挙前因縁。黄檗便問。古人錯祇対一転語。堕五百生野狐身、転々不錯。合作箇甚麼。着語。大含毒気。丈曰。近前来為汝道。着語。這野狐精。師因に云ふ、今我に此の則を問ふものあらは、前百丈を知るや知るやと、つゝ倒してくれんずと也。

書き下し

百丈野狐の話、不落因果。師着語して曰く、一念纔かに生ずれば、永劫生死の業を免れず。不昧因果。着語す。舌頭に骨無し。百丈晩に至りて上堂し、前の因縁を挙す。黄檗便ち問ふ。古人錯つて一転語を祇対して、五百生野狐の身に堕す、転々錯らずんば、合に箇の甚麼にか作るべき。着語す。大いに毒気を含む。丈曰く。近前来たれ、汝が為に道はん。着語す。這の野狐精。師因に云ふ、今我に此の則を問ふものあらは、前百丈を知るや知るやと、つゝ倒してくれんずと也。

現代語訳

百丈野狐の話で、前の百丈が「不落因果(因果に落ちない)」と答えた箇所に、師は評語をつけて言われた。「一念がわずかでも生じれば、永劫に生死の業を免れない」。百丈の「不昧因果(因果をくらまさない)」には評語をつけて「舌に骨がない(どうとでも言える)」。百丈が晩に上堂して先の因縁を語ると、黄檗が問うた。「古人は一転語を答え誤って五百生の間野狐の身に堕ちた。一つ一つ誤らなかったら、何になるはずだったのか」。これに評語して「大いに毒気を含んでいる」。百丈は言った。「近くへ来い、お前のために言ってやろう」。これに評語して「この野狐の化け物め」。師はついでに言われた。今もし私にこの則を問う者があれば、「前の百丈を知っているか、知っているか」と言って突き倒してやろう、と。

解説

『無門関』第二則「百丈野狐」は、因果に落ちないと答えた僧が五百生野狐に生まれ変わり、百丈の「因果をくらまさず」の一語で救われる話である。正三は要所ごとに短い着語を置き、百丈の答えにさえ「舌に骨なし」と遠慮しない。黄檗には毒気、百丈には野狐精と、登場人物すべてを同じ高さから斬っているのが痛快だ。最後に、問う者があれば「前百丈を知るか」と突き倒すと言うのは、理屈で答えを探す前に自分自身を見よという迫り方である。模範解答を探すより、問いの当事者として立つことの大切さを教える。

この章句が説くこと

因果公案着語百丈野狐当事者

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