礼記 / 郷飲酒義
鄉人、士、君子,尊於房戶之間,賓主共之也。尊有玄酒,貴其質也。羞出自東房,主人共之也。洗當東榮,主人之所以自絜,而以事賓也。 賓主象天地也,介僎象陰陽也,三賓象三光也。讓之三也,象月之三日而成魄也。四面之坐,象四時也。
新字:郷人、士、君子,尊於房戸之間,賓主共之也。尊有玄酒,貴其質也。羞出自東房,主人共之也。洗当東栄,主人之所以自絜,而以事賓也。 賓主象天地也,介僎象陰陽也,三賓象三光也。譲之三也,象月之三日而成魄也。四面之坐,象四時也。
書き下し
郷人・士・君子は、房戸の間に尊(そん)するは、賓主これを共にするなり。尊に玄酒(げんしゅ)有るは、其の質を貴ぶなり。羞(しゅう)の東房より出づるは、主人これを共(きょう)するなり。洗の東栄(とうえい)に当たるは、主人の自ら絜くして、以て賓に事うる所以なり。 賓主は天地に象(かたど)り、介僎(かいせん)は陰陽に象り、三賓は三光に象る。譲の三なるは、月の三日にして魄(はく)を成すに象るなり。四面の坐は、四時に象るなり。
現代語訳
郷の人である士・君子が酒宴を開くとき、酒樽を房と戸の間に置くのは、賓と主人とが共にこれを用いることを示すためである。酒樽に玄酒(げんしゅ、酒の代わりに供える清水)があるのは、飾り気のない素朴さを貴ぶためである。料理が東の房から出されるのは、主人がこれを用意して供するからである。手や杯を洗う器が堂の東の軒先の位置に置かれるのは、主人がみずから身を清めて賓に仕えるためである。 賓と主人は天と地にかたどり、介(かい、賓の補佐役)と僎(せん、主人の補佐役)は陰と陽にかたどり、三人の賓は日・月・星の三光にかたどる。譲り合いを三度するのは、月が三日目に初めて光る部分を現すことにかたどる。四方に座を設けるのは、春夏秋冬の四季にかたどる。
解説
この章句が説くこと
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礼記・郷飲酒義郷飲酒の義は、賓を立てて以て天に象り、主を立てて以て地に象り、介僎を設けて以て日月に象り、三賓を立てて以て三光に象る。古の礼を制するや、これを経(けい)するに天地を以てし、これを紀するに日月を以てし、これを参(さん)するに三光を以てす。政教の本なり。 狗(いぬ)を東方に亨(に)るは、陽気の東方に発するに祖(のっと)るなり。洗の阼(そ)に在り、其の水の洗の東に在るは、天地の左海に祖るなり。尊に玄酒有るは、民に本を忘れざることを教うるなり。
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礼記・郷飲酒義賓は必ず南郷(なんきょう)す。東方は春なり。春の言たる蠢(しゅん)なり。万物を産する者は聖なり。南方は夏なり。夏の言たる仮(か)なり。これを養い、これを長じ、これを仮(おお)いにするは、仁なり。西方は秋なり。秋の言たる愁(しゅう)なり。これを愁(あつ)むるに時を以て察し、義を守る者なり。北方は冬なり。冬の言たる中なり。中なる者は蔵なり。是を以て天子の立つや、聖を左にし仁に郷い、義を右にし蔵を偝(そむ)くなり。介は必ず東郷す。賓主に介するなり。主人は必ず東方に居る。東方は春なり。春の言たる蠢なり。万物を産する者なり。主人はこれを造る、万物を産する者なり。月は三日にして則ち魄を成し、三月にして則ち時を成す。是を以て礼に三譲有り、国を建つるに必ず三卿を立つ。三賓なる者は、政教の本、礼の大参なり。
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礼記・郷飲酒義天地厳凝(げんぎょう)の気は、西南に始まりて、西北に盛んなり。此れ天地の尊厳の気なり、此れ天地の義気なり。天地温厚の気は、東北に始まりて、東南に盛んなり。此れ天地の盛徳の気なり、此れ天地の仁気なり。主人は賓を尊ぶ。故に賓を西北に坐せしめて、介を西南に坐せしめて以て賓を輔く。賓は、人に接するに義を以てする者なり。故に西北に坐す。主人は、人に接するに徳厚を以てする者なり。故に東南に坐す。而して僎を東北に坐せしめて、以て主人を輔く。仁義接し、賓主事有り、俎豆(そとう)数有るを聖と曰う。聖立ちてこれを将(おこな)うに敬を以てするを礼と曰う。礼以て長幼を体するを徳と曰う。徳なる者は、身に得るなり。故に曰く、「古の術道を学ぶ者は、将に以て身に得んとするなり。是の故に聖人務む」と。
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礼記・郷飲酒義郷飲酒(きょういんしゅ)の義。主人、賓を庠門(しょうもん)の外に拝迎し、入りて、三揖(さんゆう)して而る後に階に至り、三譲して而る後に升るは、尊譲を致す所以なり。盥洗(かんせん)して觶(し)を揚ぐるは、絜(けつ)を致す所以なり。拝至・拝洗・拝受・拝送・拝既は、敬を致す所以なり。尊譲絜敬なる者は、君子の相接する所以なり。君子、尊譲なれば則ち争わず、絜敬なれば則ち慢(あなど)らず。慢らず争わざれば、則ち闘弁に遠ざかる。闘弁せざれば則ち暴乱の禍無し。斯れ君子の人禍を免るる所以なり。故に聖人これを制するに道を以てす。
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礼記・郷飲酒義孔子曰く、「吾(われ)郷を観て、王道の易易(いい)たるを知る」と。 主人親(みずか)ら賓及び介を速(まね)きて、衆賓自ずからこれに従う。門外に至りて、主人、賓及び介を拝して、衆賓自ずから入る。貴賤の義別る。 三揖して階に至り、三譲して賓を以て升り、拝至・献・酬・辞譲の節繁し。介に及びては省く。衆賓に至りては升りて受け、坐して祭り、立ちて飲み、酢(さく)せずして降る。隆殺(りゅうさい)の義弁ず。
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礼記・燕義諸侯燕礼の義。君、阼階の東南に立ち、南郷して爾(じ)し、卿・大夫皆少しく進むは、位を定むるなり。君、阼階の上に席するは、主位に居るなり。君独り升りて席上に立ち、西面して特立するは、敢えてこれに適(てき)する莫きの義なり。 賓主を設くるは、飲酒の礼なり。宰夫をして献主と為さしむるは、臣敢えて君と礼を亢(こう)する莫ければなり。公卿を以て賓と為さずして、大夫を以て賓と為すは、疑わしきが為なり。嫌を明らかにするの義なり。賓、中庭に入れば、君、一等を降りてこれに揖するは、これを礼するなり。
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