礼記 / 昏義
是以古者婦人先嫁三月,祖廟未毀,教於公宮;祖廟既毀,教於宗室;教以婦德、婦言、婦容、婦功。教成祭之,牲用魚,芼之以蘋藻。所以成婦順也。 古者天子后立六宮、三夫人、九嬪、二十七世婦、八十一御妻,以聽天下之內治,以明章婦順;故天下內和而家理。天子立六官、三公、九卿、二十七大夫、八十一元士,以聽天下之外治,以明章天下之男教;故外和而國治。故曰:「天子聽男教,后聽女順;天子理陽道,后治陰德;天子聽外治,后聽內職。教順成俗,外內和順,國家理治。此之謂盛德。」
新字:是以古者婦人先嫁三月,祖廟未毀,教於公宮;祖廟既毀,教於宗室;教以婦徳、婦言、婦容、婦功。教成祭之,牲用魚,芼之以蘋藻。所以成婦順也。 古者天子后立六宮、三夫人、九嬪、二十七世婦、八十一御妻,以聴天下之内治,以明章婦順;故天下内和而家理。天子立六官、三公、九卿、二十七大夫、八十一元士,以聴天下之外治,以明章天下之男教;故外和而国治。故曰:「天子聴男教,后聴女順;天子理陽道,后治陰徳;天子聴外治,后聴内職。教順成俗,外内和順,国家理治。此之謂盛徳。」
書き下し
是を以て古は婦人嫁するに先だつこと三月、祖廟未だ毀(こぼ)たざれば、公宮に教え、祖廟既に毀てば、宗室に教う。教うるに婦徳・婦言・婦容・婦功を以てす。教え成ればこれを祭る。牲は魚を用い、これを芼(ぼう)するに蘋藻(ひんそう)を以てす。婦の順を成す所以なり。 古は天子の后、六宮(りくきゅう)・三夫人・九嬪(きゅうひん)・二十七世婦・八十一御妻を立てて、以て天下の内治を聴き、以て婦の順を明章す。故に天下内和して家理(おさ)まる。天子、六官・三公・九卿・二十七大夫・八十一元士を立てて、以て天下の外治を聴き、以て天下の男教を明章す。故に外和して国治まる。故に曰く、「天子は男教を聴き、后は女順を聴く。天子は陽道を理め、后は陰徳を治む。天子は外治を聴き、后は内職を聴く。教順俗を成し、外内和順して、国家理治す。此れをこれ盛徳と謂う」と。
現代語訳
そういうわけで、昔は女子が嫁ぐ前の三か月間、その家の祖廟がまだ取り壊されていない(君主と近い親族である)ならば君主の宮中で、祖廟がすでに取り壊されている(親族として遠い)ならば宗家で教育を受けた。教えたのは婦徳(ふとく、女性としての徳)・婦言(ふげん、ことばづかい)・婦容(ふよう、身だしなみ)・婦功(ふこう、機織りなどの仕事)である。教えが成ると祖先を祭って告げる。供え物には魚を用い、蘋(うきくさ)や藻を添えて羹(あつもの)にする。これは嫁としての和順を身につけさせるためである。 昔、天子の后は、六宮(りくきゅう、后の住まう六つの宮)を設け、三夫人・九嬪(きゅうひん)・二十七世婦・八十一御妻を置いて、天下の内側の治めごとを聴き、女性の和順の道を明らかに示した。だから天下は内側が和やかになり、家々が治まった。天子は六官(りくかん、国政を分掌する六つの官)を設け、三公・九卿・二十七大夫・八十一元士を置いて、天下の外側の治めごとを聴き、男子の教えを明らかに示した。だから外側が和やかになり、国が治まった。それゆえこういわれる。「天子は男子の教えを聴き、后は女性の和順を聴く。天子は陽の道を治め、后は陰の徳を治める。天子は外の政治を聴き、后は内の職務を聴く。教えと和順が風俗を成し、外と内が和らぎ従えば、国家は治まる。これを盛んなる徳という」。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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礼記・昏義婦の礼を成し、婦の順を明らかにし、又これを申(かさ)ぬるに代わるを著わすを以てするは、重く婦の順を責むる所以なり。婦の順なる者は、舅姑に順い、室人に和し、而る後に夫に当たり、以て糸麻布帛(しまふはく)の事を成し、以て委積蓋蔵(いしがいぞう)を審守す。是の故に婦の順備わりて、而る後に内和理す。内和理して、而る後に家長久なるべきなり。故に聖王これを重んず。
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礼記・郊特牲天地合して後に万物興る。夫れ昏礼は、万世の始めなり。異姓に取るは、遠きに附きて別を厚くする所以なり。幣は必ず誠にし、辞は腆(てん)ならざる無し。これに告ぐるに直信を以てす。信は、人に事うるなり。信は、婦の徳なり。壱(ひと)たびこれと斉(ひと)しくすれば、終身改めず。故に夫死して嫁がず。男子親迎し、男、女に先んずるは、剛柔の義なり。天、地に先んじ、君、臣に先んず、其の義一なり。摯(し)を執りて以て相見ゆるは、敬して別を章(あきら)かにするなり。男女別有りて、然る後に父子親しみ、父子親しみて然る後に義生じ、義生じて然る後に礼作(おこ)り、礼作りて然る後に万物安んず。別無く義無きは、禽獣の道なり。婿親ら御して綏(すい)を授くるは、これを親しむなり。これを親しむとは、これを親しましむるなり。敬してこれを親しむは、先王の天下を得る所以なり。大門を出でて先んずるは、男は女を帥(ひき)い、女は男に従う、夫婦の義これ由り始まるなり。婦人は、人に従う者なり。幼にしては父兄に従い、嫁しては夫に従い、夫死しては子に従う。夫なる者は、夫(ふ)なり。夫なる者は、知を以て人を帥いる者なり。玄冕して斎戒するは、鬼神陰陽なればなり。将に以て社稷の主と為り、先祖の後と為らんとす、而して以て敬を致さざるべけんや。牢を共にして食らうは、尊卑を同じうするなり。故に婦人は爵無く、夫の爵に従い、坐するには夫の歯(よわい)を以てす。器に陶匏を用うるは、礼を尚びて然るなり。三王、牢を作るに陶匏を用う。厥(そ)の明(あ)くる、婦、盥(かん)して饋(き)す。舅姑、食を卒うれば、婦、余りを餕(しゅん)す、これを私するなり。舅姑は西階より降り、婦は阼階より降る、これに室を授くるなり。昏礼に楽を用いざるは、幽陰の義なり。楽は陽気なり。昏礼に賀せざるは、人の序なればなり。
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礼記・昏義是の故に男教修まらざれば、陽事得ず、適(まさ)に天に見(あら)われ、日これが為に食す。婦順修まらざれば、陰事得ず、適に天に見われ、月これが為に食す。是の故に日食すれば則ち天子素服して六官の職を修め、天下の陽事を蕩(はら)う。月食すれば則ち后素服して六宮の職を修め、天下の陰事を蕩う。故に天子の后と与(とも)にあるは、猶お日の月と与にし、陰の陽と与にするがごとく、相須(ま)ちて而る後に成る者なり。天子は男教を修む、父の道なり。后は女順を修む、母の道なり。故に曰く、「天子の后と与にあるは、猶お父の母と与にあるがごときなり」と。故に天王の為に斬衰(ざんさい)を服するは、父に服するの義なり。后の為に資衰(しさい)を服するは、母に服するの義なり。
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礼記・昏義夫(そ)れ礼は冠に始まり、昏に本づき、喪祭に重く、朝聘(ちょうへい)に尊く、郷射(きょうしゃ)に和す。此れ礼の大体なり。 夙(つと)に興き、婦沐浴して以て見(まみ)ゆるを俟つ。質明(しつめい)に、賛、婦を舅姑(きゅうこ)に見えしむ。婦、笲(はん)・棗(なつめ)・栗・段脩(だんしゅう)を執りて以て見ゆ。賛、婦に醴(れい)す。婦、脯醢(ほかい)を祭り、醴を祭るは、婦の礼を成すなり。舅姑室に入り、婦、特豚(とくとん)を以て饋(き)するは、婦の順を明らかにするなり。厥(そ)の明、舅姑共に婦を饗するに一献の礼を以てす。奠酬(てんしゅう)して、舅姑先に西階より降り、婦、阼階(そかい)より降るは、以て代わるを著(あら)わすなり。
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礼記・曲礼下天子に后有り、夫人有り、世婦有り、嬪(ひん)有り、妻有り、妾有り。 天子は天官を建て、六大を先にす。曰く大宰・大宗・大史・大祝・大士・大卜、六典を典司す。天子の五官は、曰く司徒・司馬・司空・司士・司寇、五衆を典司す。天子の六府は、曰く司土・司木・司水・司草・司器・司貨、六職を典司す。天子の六工は、曰く土工・金工・石工・木工・獣工・草工、六材を典制す。
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礼記・昏義敬慎重正にして而る後にこれに親しむは、礼の大体にして、男女の別を成して、夫婦の義を立つる所以なり。男女別有りて、而る後に夫婦義有り。夫婦義有りて、而る後に父子親有り。父子親有りて、而る後に君臣正有り。故に曰く、「昏礼は、礼の本なり」と。
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