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礼記 / 昏義

夫禮始於冠,本於昏,重於喪祭,尊於朝聘,和於鄉射;此禮之大體也。 夙興,婦沐浴以俟見。質明,贊見婦於舅姑。婦執笲、棗、栗、段修以見。贊醴婦,婦祭脯醢;祭醴,成婦禮也。舅姑入室,婦以特豚饋,明婦順也。厥明,舅姑共饗婦以一獻之禮。奠酬,舅姑先降自西階;婦降自阼階,以著代也。

新字:夫礼始於冠,本於昏,重於喪祭,尊於朝聘,和於郷射;此礼之大体也。 夙興,婦沐浴以俟見。質明,賛見婦於舅姑。婦執笲、棗、栗、段修以見。賛醴婦,婦祭脯醢;祭醴,成婦礼也。舅姑入室,婦以特豚饋,明婦順也。厥明,舅姑共饗婦以一献之礼。奠酬,舅姑先降自西階;婦降自阼階,以著代也。

書き下し

夫(そ)れ礼は冠に始まり、昏に本づき、喪祭に重く、朝聘(ちょうへい)に尊く、郷射(きょうしゃ)に和す。此れ礼の大体なり。 夙(つと)に興き、婦沐浴して以て見(まみ)ゆるを俟つ。質明(しつめい)に、賛、婦を舅姑(きゅうこ)に見えしむ。婦、笲(はん)・棗(なつめ)・栗・段脩(だんしゅう)を執りて以て見ゆ。賛、婦に醴(れい)す。婦、脯醢(ほかい)を祭り、醴を祭るは、婦の礼を成すなり。舅姑室に入り、婦、特豚(とくとん)を以て饋(き)するは、婦の順を明らかにするなり。厥(そ)の明、舅姑共に婦を饗するに一献の礼を以てす。奠酬(てんしゅう)して、舅姑先に西階より降り、婦、阼階(そかい)より降るは、以て代わるを著(あら)わすなり。

現代語訳

そもそも礼は、冠礼(かんれい、成人の儀式)に始まり、婚礼を根本とし、喪礼と祭礼において最も重く、朝聘(ちょうへい、諸侯が天子に朝し、また互いに使者を送る礼)において最も尊く、郷射(きょうしゃ、郷里で行う射の礼)において人々を和らげる。これが礼の大体の姿である。 婚礼の翌朝早く起き、新婦は髪と体を洗い清めて、夫の父母にお目見えするのを待つ。夜がすっかり明けると、介添え役が新婦を舅姑(しゅうと・しゅうとめ)に引き合わせる。新婦は笲(はん、竹で編んだ器)に入れた棗・栗と、段脩(だんしゅう、生姜や桂を加えて打ち延ばした干し肉)を手にしてお目見えする。介添え役が新婦に醴(れい、甘酒)を勧めると、新婦は干し肉と塩辛を供えて祭り、醴を祭る。これは新婦としての礼を成し遂げさせるためである。舅姑が奥の室に入ると、新婦は一頭の豚を煮て食事を差し上げる。これは嫁として舅姑に従う心を明らかにするためである。その翌日、舅姑は共に一献の礼で新婦をもてなす。献酬の杯を置き終えると、舅姑は先に客の階段である西階から降り、新婦は主人の階段である阼階(そかい、東の階段)から降りる。これは新婦が家の主婦の役を継ぐことをはっきり示すためである。

解説

前半は礼の体系を一句にまとめた名高い言葉で、冠・昏・喪祭・朝聘・郷射という人生と社会の諸局面を、始・本・重・尊・和の五字で位置づけている。冠礼で一人前となり、婚礼で家を成すことが根本とされ、死者と祖先を送る喪祭が最も重く、国と国の交わりが最も尊く、郷の射礼が人々を和らげる。後半は婚礼の翌朝以降、新婦が舅姑にまみえる「婦見」から、豚を供える「盥饋」、舅姑が新婦をもてなす「饗婦」までを述べる。最後に舅姑が客の西階から、新婦が主人の阼階から降りるのは、家の中の役目が次の代へ移ることを空間の上で示す所作で、鄭玄も、献酬を終えて新婦に室の事を授けるのだと注している。世代交代を、言葉ではなく立ち位置の交替で示す知恵は、職場の引き継ぎや家業の継承を考えるうえでも示唆に富む。

この章句が説くこと

礼記昏義舅姑冠婚喪祭世代

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