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礼記 / 雑記下

路寢成則考之而不釁。釁屋者,交神明之道也。凡宗廟之器,其名者成則釁之以豭豚。 諸侯出夫人,夫人比至於其國,以夫人之禮行;至,以夫人入。使者將命曰:「寡君不敏,不能從而事社稷宗廟,使使臣某,敢告於執事。」主人對曰:「寡君固前辭不教矣,寡君敢不敬須以俟命。」有司官陳器皿;主人有司亦官受之。

新字:路寝成則考之而不釁。釁屋者,交神明之道也。凡宗廟之器,其名者成則釁之以豭豚。 諸侯出夫人,夫人比至於其国,以夫人之礼行;至,以夫人入。使者将命曰:「寡君不敏,不能従而事社稷宗廟,使使臣某,敢告於執事。」主人対曰:「寡君固前辞不教矣,寡君敢不敬須以俟命。」有司官陳器皿;主人有司亦官受之。

書き下し

路寝成れば則ちこれを考(な)して釁らず。屋に釁る者は、神明に交わるの道なり。凡そ宗廟の器、その名ある者は、成れば則ちこれに釁るに豭豚(かとん)を以てす。 諸侯、夫人を出だすに、夫人比(およ)びその国に至るまで、夫人の礼を以て行き、至れば、夫人を以て入る。使者命を将(おこな)いて曰く、「寡君不敏にして、従いて社稷宗廟に事うること能わず、使臣某をして、敢えて執事に告げしむ」と。主人対えて曰く、「寡君固より前に教えざるを辞せり。寡君敢えて敬須して以て命を俟(ま)たざらんや」と。有司、官ごとに器皿を陳(つら)ね、主人の有司も亦官ごとにこれを受く。

現代語訳

路寝(君の居処となる正殿)が完成したときは、落成の祝いをするが、血を塗る釁はしない。建物に釁を行うのは、神霊と交わるための道だからである(人の住まいには及ばない)。およそ宗廟の器物のうち、名のある重器は、できあがれば雄豚の血を塗って清める。 諸侯が夫人を離縁して実家へ帰すときは、夫人がその国に着くまでは夫人としての礼遇で送り、着いたときも夫人として入国させる。送ってきた使者は君命を伝えて言う。「わが君は不敏にして、夫人とともに社稷と宗廟にお仕えすることができなくなりました。使臣某を遣わして、謹んで執事の方にお告げいたします」。受ける側の主人は答えて言う。「わが君は、もとよりかつて娘を十分に教えなかったとお断り申し上げておりました。わが君は、謹んでお待ちして、ご命令を受けないわけにはまいりません」。送る側の役人は、それぞれの職分に従って嫁入りのときの器物を並べ、受ける側の役人もまたそれぞれ職分に従ってこれを受け取る。

解説

前段の釁の記事を受けて、君の住まいである路寝には釁をしないと区別し、その理由を「屋に釁る者は、神明に交わるの道なり」と述べる。血を用いる清めは神霊の場に限られ、人の居所にはふさわしくないという線引きである。宗廟の名ある器にも豚の血で釁を行うのは、器もまた神に仕えるものだからである。後半は一転して、諸侯が夫人を離縁する際の礼を記す。注目すべきは、帰国の道中も到着時も「夫人の礼」で遇せよとする点である。関係が終わる場面でこそ、相手の身分と面目を保つ。使者のことばは「わが君が不敏で」と非を自らに引き受け、受ける側は「娘の教えが足りなかった」と応じる。互いに相手を責めない辞令は、別れを争いにしないための工夫である。嫁入り道具を役人どうしで丁寧に引き渡す結びまで含めて、終わり方の礼が一つの型として示されている。

この章句が説くこと

礼記雑記離縁辞令釁

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