礼記 / 楽記
然後發以聲音,而文以琴瑟,動以干戚,飾以羽旄,從以簫管。奮至德之光,動四氣之和,以著萬物之理。是故清明象天,廣大象地,終始象四時,周還象風雨。五色成文而不亂,八風從律而不奸,百度得數而有常。小大相成,終始相生。倡和清濁,迭相為經。故樂行而倫清,耳目聰明,血氣和平,移風易俗,天下皆寧。
新字:然後発以声音,而文以琴瑟,動以干戚,飾以羽旄,従以簫管。奮至徳之光,動四気之和,以著万物之理。是故清明象天,広大象地,終始象四時,周還象風雨。五色成文而不乱,八風従律而不奸,百度得数而有常。小大相成,終始相生。倡和清濁,迭相為経。故楽行而倫清,耳目聰明,血気和平,移風易俗,天下皆寧。
書き下し
然る後に発するに声音を以てし、文(かざ)るに琴瑟を以てし、動かすに干戚を以てし、飾るに羽旄を以てし、従うるに簫管を以てす。至徳の光を奮い、四気の和を動かし、以て万物の理を著(な)す。是の故に清明は天に象り、広大は地に象り、終始は四時に象り、周還は風雨に象る。五色文を成して乱れず、八風律に従いて姦(おか)さず、百度数を得て常有り。小大相成し、終始相生ず。倡和清濁、迭(たが)いに相経と為る。故に楽行われて倫清く、耳目聡明に、血気和平にして、風を移し俗を易え、天下皆寧(やす)し。
現代語訳
そうしてのち、声や音によってそれを発し、琴や瑟によって文(あや)をつけ、盾と斧を持つ舞によって動かし、雉の羽や旄牛の尾で飾り、簫や管の笛を添える。こうして至高の徳の光を奮い起こし、四季の気の調和を動かして、万物の道理を成し遂げる。それゆえ、清く澄んだ歌声は天にかたどり、広く大きな鐘や太鼓の響きは地にかたどり、始まりと終わりは四季にかたどり、舞い手のめぐる動きは風雨にかたどる。五色が文をなして乱れず、八方の風が音律に従って乱れず、昼夜の百刻が数を得て常を保つ。小さな音と大きな音が互いに成り立たせ、始めと終わりが互いに生み出し合う。歌い出しと唱和、清んだ音と濁った音が、かわるがわる主調となる。だから楽が行われれば人の倫理は清らかになり、耳目はさとく明らかに、血気は和らぎ平らかになり、風俗は移り変わって、天下はみな安らぐ。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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礼記・楽記故にその雅・頌の声を聴けば、志意広きを得。その干戚(かんせき)を執り、その俯仰詘伸(ふぎょうくっしん)を習えば、容貌荘なるを得。その綴兆(ていちょう)を行い、その節奏に要(あ)わすれば、行列正しきを得、進退斉しきを得。故に楽は天地の命、中和の紀、人情の免るる能わざる所なり。
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史記 楽書姦声乱色は聡明に留めず、淫楽廃礼は心術に接せず、惰慢邪辟の気は身体に設けず、耳目鼻口心知百体をして皆順正に由りて、以て其の義を行はしむ。然る後に発するに声音を以てし、文るに琴瑟を以てし、動かすに干戚を以てし、飾るに羽旄を以てし、従ふるに簫管を以てし、至徳の光を奮ひ、四気の和を動かし、以て万物の理を著す。是の故に清明は天に象り、広大は地に象り、終始は四時に象り、周旋は風雨に象る。五色文を成して乱れず、八風律に従ひて姦ならず、百度数を得て常有り。小大相成り、終始相生じ、倡和清濁、代はる代はる相経と為る。故に楽行はれて倫清く、耳目聡明に、血気和平にして、風を移し俗を易へ、天下皆寧し。故に曰く「楽とは楽しむなり」と。君子は其の道を得るを楽しみ、小人は其の欲を得るを楽しむ。道を以て欲を制すれば、則ち楽しみて乱れず。欲を以て道を忘るれば、則ち惑ひて楽しまず。是の故に君子は情に反りて以て其の志を和し、楽を広めて以て其の教へを成し、楽行はれて民方に郷ふ、以て徳を観るべし。徳とは、性の端なり。楽とは、徳の華なり。金石糸竹は、楽の器なり。詩は、其の志を言ふなり。歌は、其の声を詠ずるなり。舞は、其の容を動かすなり。三者心に本づきて、然る後に楽気之に従ふ。是の故に情深くして文明らかに、気盛んにして化神なり、和順中に積もりて英華外に発す、唯楽のみ以て偽りを為すべからず。楽とは、心の動くなり。声とは、楽の象なり。文采節奏は、声の飾りなり。君子は其の本を動かし、其の象を楽しみ、然る後に其の飾りを治む。是の故に先づ鼓して以て警戒し、三歩して以て方を見し、再び始めて以て往くを著し、復た乱して以て帰るを飭め、奮疾にして抜けず、極幽にして隠れず。独り其の志を楽しみ、其の道を厭はず、備さに其の道を挙げ、其の欲を私せず。
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礼記・楽記是の故に大人礼楽を挙ぐれば、則ち天地将に為に昭(あき)らかならんとす。天地訢合(きんごう)し、陰陽相得て、万物を煦嫗(くう)覆育し、然る後に草木茂り、区萌(こうぼう)達し、羽翼奮い、角觡(かくかく)生じ、蟄虫昭蘇(しょうそ)し、羽ある者は嫗伏(うふく)し、毛ある者は孕鬻(よういく)し、胎生の者は殰(とく)せず、卵生の者は殈(げき)せず。則ち楽の道焉(ここ)に帰するのみ。
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礼記・楽記是の故に先王は之を情性に本づけ、之を度数に稽(かんが)え、之を礼義に制す。生気の和を合わせ、五常の行を道(みちび)き、之をして陽にして散ぜず、陰にして密ならず、剛気は怒らず、柔気は懾(おそ)れざらしめ、四暢中に交わりて外に発作し、皆其の位に安んじて相奪わざるなり。然る後に之が学等を立て、其の節奏を広め、其の文采を省(つまび)らかにし、以て徳厚を縄(はか)る。小大の称を律し、終始の序を比して、以て事行に象る。親疎・貴賤・長幼・男女の理をして、皆楽に形見(あらわ)れしむ。故に曰く、「楽は其の深きを観る」と。
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礼記・楽記楽なる者は天地の和なり。礼なる者は天地の序なり。和す、故に百物皆化す。序あり、故に群物皆別る。楽は天に由りて作り、礼は地を以て制す。制を過(あやま)てば則ち乱れ、作を過てば則ち暴なり。天地に明らかにして、然る後に能く礼楽を興す。倫を論じて患い無きは、楽の情なり。欣喜歓愛は、楽の官なり。中正にして邪無きは、礼の質なり。荘敬恭順は、礼の制なり。夫(か)の礼楽の金石に施し、声音に越(あらわ)し、宗廟社稷に用い、山川鬼神に事うるが若きは、則ち此れ民と同じくする所なり。
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史記 楽書倫を論じて患ひ無きは、楽の情なり。欣喜驩愛は、楽の容なり。中正にして邪無きは、礼の質なり。荘敬恭順は、礼の制なり。若し夫れ礼楽の金石に施し、声音に越し、宗廟社稷に用ひ、山川鬼神に事ふれば、則ち此れ民と同じくする所以なり。王者は功成りて楽を作り、治定まりて礼を制す。其の功大なる者は其の楽備はり、其の治辨かなる者は其の礼具はる。干戚の舞は、備楽に非ず。亨孰して祀るは、達礼に非ず。五帝は時を殊にし、楽を相沿はず。三王は世を異にし、礼を相襲はず。楽極まれば則ち憂ひ、礼粗なれば則ち偏る。夫の楽を敦くして憂ひ無く、礼備はりて偏らざる者に及んでは、其れ唯大聖か。天は高く地は下り、万物散殊して、礼制行はる。流れて息まず、合同して化して、楽興る。春作り夏長ずるは、仁なり。秋斂め冬蔵するは、義なり。仁は楽に近く、義は礼に近し。楽は和を敦くし、神に率ひて天に従ふ。礼は宜しきを辨じ、鬼に居りて地に従ふ。故に聖人は楽を作りて以て天に応じ、礼を作りて以て地に配す。礼楽明らかに備はりて、天地官す。天尊く地卑しくして、君臣定まる。高卑已に陳なりて、貴賤位す。動静常有りて、小大殊なる。方は類を以て聚まり、物は群を以て分かれ、則ち性命同じからず。天に在りては象を成し、地に在りては形を成す、此くの如くなれば則ち礼とは天地の別なり。地気上り隮り、天気下り降り、陰陽相摩し、天地相蕩し、之を鼓するに雷霆を以てし、之を奮ふに風雨を以てし、之を動かすに四時を以てし、之を煖むるに日月を以てして、百物化し興る、此くの如くなれば則ち楽とは天地の和なり。化時ならざれば則ち生ぜず、男女別無ければ則ち乱登る、此れ天地の情なり。夫の礼楽の天に極まりて地に蟠り、陰陽に行はれて鬼神に通じ、高きを窮め遠きを極めて深厚を測るに及んでは、楽は太始に著れ、礼は成物に居る。
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