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礼記 / 楽記

《大章》,章之也。《咸池》,備矣。《韶》,繼也。《夏》,大也。殷、周之樂,盡矣。 天地之道:寒暑不時,則疾;風雨不節,則饑。教者,民之寒暑也;教不時,則傷世。事者,民之風雨也;事不節,則無功。然則先王之為樂也。以法治也,善則行象德矣。

新字:《大章》,章之也。《咸池》,備矣。《韶》,継也。《夏》,大也。殷、周之楽,尽矣。 天地之道:寒暑不時,則疾;風雨不節,則饑。教者,民之寒暑也;教不時,則傷世。事者,民之風雨也;事不節,則無功。然則先王之為楽也。以法治也,善則行象徳矣。

書き下し

大章は、之を章(あきら)かにするなり。咸池(かんち)は、備わるなり。韶(しょう)は、継ぐなり。夏は、大なり。殷周の楽は、尽くせり。 天地の道は、寒暑時ならざれば則ち疾(やまい)あり、風雨節ならざれば則ち饑(う)う。教えなる者は、民の寒暑なり。教え時ならざれば則ち世を傷(そこな)う。事なる者は、民の風雨なり。事節ならざれば則ち功無し。然らば則ち先王の楽を為るや、以て治に法(のっと)るなり。善なれば則ち行い徳に象(かたど)る。

現代語訳

『大章』(堯の楽)は、堯の徳を明らかにしたものである。『咸池』(かんち、黄帝の楽)は、徳があまねく行き渡ったことを表す。『韶』(しょう、舜の楽)は、堯の徳を受け継いだことを表す。『夏』(禹の楽)は、堯舜の徳を大きく広げたことを表す。殷・周の楽は、人の事業を尽くしたものである。 天地の道として、寒さ暑さが時節に合わなければ病が起こり、風雨が程よくなければ飢饉になる。教化は民にとっての寒さ暑さであり、教化が時にかなわなければ世を損なう。労役などの事業は民にとっての風雨であり、事業に節度がなければ成果は上がらない。そうであるから、先王が楽を作ったのは、それを治世の手本とするためである。楽がよければ、民の行いは君主の徳にならうようになる。

解説

古の聖王の楽の名とその意味を並べ、楽を治世の手本とする考えを述べた段である。鄭玄の注によれば、『大章』は堯の楽で、堯の徳が明らかなことを表す。『咸池』は黄帝の作った楽を堯が増補して用いたもので、咸は皆、池は施す意、徳が行き渡らない所のないことをいう。『韶』は舜の楽で、韶は紹、堯の徳を継いだことを表し、『夏』は禹の楽で、堯舜の徳を大きくしたことを表す。殷周の楽は人事を尽くしたものだという。後半では、寒暑や風雨が時節に合わなければ病や飢饉が起こるように、教化や労役も時と節度を誤れば民を損なうとする。鄭玄はここでの「教え」を楽のことと読み、楽を治めるための手本とすれば、民の行いは君主の徳に従うと注した。天候のたとえは、指示や負担を与える側への戒めとして分かりやすい。ちょうどよい時に、ちょうどよい量を与えることの難しさは、人を動かす立場にある者なら誰もが知っている。

この章句が説くこと

礼記楽記韶時節教化

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