礼記 / 明堂位
有虞氏之旗,夏后氏之綏,殷之大白,周之大赤。夏后氏駱馬,黑鬣。殷人白馬,黑首。周人黃馬,蕃鬣。夏后氏,牲尚黑,殷白牡,周騂剛。 泰,有虞氏之尊也。山罍,夏后氏之尊也。著,殷尊也。犧象,周尊也。
新字:有虞氏之旗,夏后氏之綏,殷之大白,周之大赤。夏后氏駱馬,黒鬣。殷人白馬,黒首。周人黄馬,蕃鬣。夏后氏,牲尚黒,殷白牡,周騂剛。 泰,有虞氏之尊也。山罍,夏后氏之尊也。著,殷尊也。犠象,周尊也。
書き下し
有虞氏の旂(き)、夏后氏の綏(すい)、殷の大白、周の大赤。夏后氏は駱馬(らくば)にして黒鬣(こくりょう)、殷人は白馬にして黒首、周人は黄馬にして蕃鬣(はんりょう)。夏后氏は、牲は黒を尚び、殷は白牡、周は騂剛(せいごう)。 泰(たい)は、有虞氏の尊なり。山罍は、夏后氏の尊なり。著(ちゃく)は、殷の尊なり。犠象は、周の尊なり。
現代語訳
旗について、有虞氏は旂(竜を描いた旗)、夏后氏は綏(旄牛の尾を付けた旗)、殷は大白(白い旗)、周は大赤(赤い旗)を用いた。車を引く馬について、夏后氏は白い体に黒いたてがみの馬、殷の人は白い体に黒い頭の馬、周の人は黄色い体に赤いたてがみの馬を用いた。牲について、夏后氏は黒を尊び、殷は白い雄牛を、周は赤毛の雄牛を用いた。 泰(素焼きの瓦の樽)は有虞氏の酒樽である。山罍(山と雲を描いた樽)は夏后氏の酒樽である。著(脚のない樽)は殷の酒樽である。犠尊と象尊は周の酒樽である。
解説
四代それぞれの旗、馬、牲、酒樽の違いを並べた段である。夏は黒、殷は白、周は赤を尊ぶという色の違いがはっきりと表れている。王朝が替わると尊ぶ色を改めるという考えは、礼記の檀弓上篇にも「夏后氏は黒を尚び、殷人は白を尚び、周人は赤を尚ぶ」とあり、のちの五徳終始説にもつながっていく。酒樽も、有虞氏の素焼きの泰から、山の模様の罍、脚のない著、動物をかたどった犠象へと、時代が下るにつれて装飾が加わっていく。郊特牲篇が繰り返し説いた「質を貴ぶ」という考えから見れば、古い代の簡素な器ほど尊いものとなる。魯はこれら四代の器をすべて兼ね用いたと、この篇の結びで述べられる。時代ごとの流儀をそれぞれ尊重しながら受け継ぐという姿勢は、伝統ある組織が歴代の慣行をどう扱うかを考えるうえでも参考になる。
この章句が説くこと
礼記明堂位四代旗酒器
関連する章句
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礼記・明堂位俎は、有虞氏は梡(かん)を以てし、夏后氏は嶡(けつ)を以てし、殷は椇(く)を以てし、周は房俎を以てす。 夏后氏は楬豆(けつとう)を以てし、殷は玉豆、周は献豆。 有虞氏は韍(ふつ)を服し、夏后氏は山、殷は火、周は竜章。 有虞氏は首を祭り、夏后氏は心を祭り、殷は肝を祭り、周は肺を祭る。
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礼記・明堂位夏后氏は明水を尚び、殷は醴を尚び、周は酒を尚ぶ。 有虞氏の官は五十、夏后氏の官は百、殷は二百、周は三百。 有虞氏の綏、夏后氏の綢練(ちゅうれん)、殷の崇牙、周の璧翣。 凡そ四代の服・器・官は、魯兼ねてこれを用う。是の故に、魯は王の礼なり、天下これを伝うること久し。君臣は、未だ嘗て相弑せざるなり。礼楽刑法政俗は、未だ嘗て相変ぜざるなり。天下以て有道の国と為す。是の故に、天下は礼楽を資(と)る。
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礼記・明堂位爵は、夏后氏は琖(さん)を以てし、殷は斝(か)を以てし、周は爵を以てす。 灌尊は、夏后氏は鶏夷(けいい)を以てし、殷は斝を以てし、周は黄目を以てす。 其の勺(しゃく)は、夏后氏は竜勺を以てし、殷は疏勺を以てし、周は蒲勺を以てす。 土鼓・蕢桴(かいふ)・葦籥(いやく)は、伊耆氏の楽なり。拊搏(ふはく)・玉磬・揩撃(かいげき)、大琴・大瑟・中琴・小瑟は、四代の楽器なり。
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礼記・檀弓上有虞氏は瓦棺、夏后氏は堲周(しょくしゅう)、殷人は棺椁(かんかく)、周人は牆置翣(しょうちそう)。周人は殷人の棺椁を以て長殤(ちょうしょう)を葬り、夏后氏の堲周を以て中殤・下殤を葬り、有虞氏の瓦棺を以て無服の殤を葬る。 夏后氏は黒を尚(たっと)ぶ。大事の斂(れん)には昏を用い、戎事には驪(り)に乗り、牲には玄を用う。殷人は白を尚ぶ。大事の斂には日中を用い、戎事には翰(かん)に乗り、牲には白を用う。周人は赤を尚ぶ。大事の斂には日出を用い、戎事には騵(げん)に乗り、牲には騂(せい)を用う。
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礼記・明堂位夏后氏の鼓は、足。殷は楹鼓(えいこ)、周は県鼓(けんこ)。 垂(すい)の和鐘、叔の離磬(りけい)、女媧(じょか)の笙簧(しょうこう)。夏后氏の竜簨虡(りゅうじゅんきょ)、殷の崇牙、周の璧翣(へきそう)。有虞氏の両敦(りょうたい)、夏后氏の四連、殷の六瑚(ろくこ)、周の八簋(はっき)。
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礼記・明堂位大廟は、天子の明堂なり。庫門は、天子の皋門(こうもん)なり。雉門は、天子の応門なり。木鐸を朝に振るうは、天子の政なり。 山節藻梲(さんせつそうせつ)、復廟重檐(ふくびょうちょうえん)、刮楹達郷(かつえいたつきょう)、反坫出尊(はんてんしゅつそん)、崇坫康圭(すうてんこうけい)、疏屏は、天子の廟飾なり。 鸞車は、有虞氏の路なり。鉤車は、夏后氏の路なり。大路は、殷の路なり。乗路は、周の路なり。
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