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礼記 / 曽子問

曾子問曰:「古者師行無遷主,則何主?」孔子曰:「主命。」問曰:「何謂也?」孔子曰:「天子諸侯將出,必以幣、帛、皮、圭告于祖、禰,遂奉以出,載于齊車以行。每舍,奠焉而后就舍。反必告,設奠,卒,斂幣、玉,藏諸兩階之間,乃出。蓋貴命也。」

新字:曽子問曰:「古者師行無遷主,則何主?」孔子曰:「主命。」問曰:「何謂也?」孔子曰:「天子諸侯将出,必以幣、帛、皮、圭告于祖、祢,遂奉以出,載于斉車以行。毎舎,奠焉而后就舎。反必告,設奠,卒,斂幣、玉,蔵諸両階之間,乃出。蓋貴命也。」

書き下し

曾子問いて曰く、「古者師行くに遷主無くんば、則ち何をか主とせん」と。孔子曰く、「命を主とす」と。問いて曰く、「何の謂ぞや」と。孔子曰く、「天子諸侯将に出でんとすれば、必ず幣・帛・皮・圭を以て祖・禰に告げ、遂に奉じて以て出で、斉車に載せて以て行く。舎(やど)る毎に、奠して而る后に舎に就く。反れば必ず告げ、奠を設け、卒(お)われば、幣・玉を斂(おさ)め、諸を両階の間に蔵して、乃ち出づ。蓋し命を貴ぶなり」と。

現代語訳

曾子が尋ねた。「昔、軍隊が出陣するときに遷廟の位牌を携えなかったのなら、何を主(よりしろ)としたのでしょうか。」孔子は答えた。「祖先の命(めい)を主とした。」曾子「どういう意味でしょうか。」孔子は答えた。「天子や諸侯が出かけようとするときには、必ず幣帛(へいはく、供え物の絹)・獣の皮・圭(けい、玉の礼器)をもって祖先と父の廟に告げ、そのままそれを捧げ持って出発し、斉車に載せて行く。宿営するたびに、それに供え物をしてから宿に入る。帰ってきたら必ず廟に告げ、供え物をし、それが済んだら、絹や玉を取り収めて、東西の階段の間に埋め納め、それから廟を出る。思うに、祖先の命を尊ぶのである。」

解説

前段を受けて、位牌を携えないときに何を祖先のよりしろとしたかを問う。孔子の答えは「命を主とす」で、出発に当たって幣帛・皮・圭を供えて祖先に告げ、その供物を祖先から命を受けたしるしとして車に載せて行くという。宿営ごとにそれに供え物をし、帰還したら廟に告げてから階段の間に埋め納める。孔穎達の疏は、師行に命を主とし、帰って幣玉を階間に蔵するという点を他の箇所の解釈にも引いている。位牌そのものではなく、祖先に告げて許しを得たという事実を大切に持ち運ぶところに、この礼の要がある。出陣も巡行も、君主一人の判断ではなく祖先から託された務めとして行う、という自覚の表れである。仕事でも、誰から何を託されて動いているのかを忘れずにいることは、判断の筋を通すうえで役に立つ。

この章句が説くこと

礼記曽子問主命祖先出行

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