礼記 / 月令
孟冬之月,日在尾,昏危中,旦七星中。其日壬癸。其帝顓頊,其神玄冥。其蟲介。其音羽,律中應鍾。其數六。其味鹹,其臭朽。其祀行,祭先腎。 水始冰,地始凍。雉入大水為蜃。虹藏不見。
新字:孟冬之月,日在尾,昏危中,旦七星中。其日壬癸。其帝顓頊,其神玄冥。其虫介。其音羽,律中応鍾。其数六。其味鹹,其臭朽。其祀行,祭先腎。 水始冰,地始凍。雉入大水為蜃。虹蔵不見。
書き下し
孟冬の月、日は尾に在り、昏に危中し、旦に七星中す。其の日は壬癸(じんき)。其の帝は顓頊(せんぎょく)、其の神は玄冥(げんめい)。其の虫は介(かい)。其の音は羽、律は応鍾(おうしょう)に中る。其の数は六。其の味は鹹(かん)、其の臭は朽(きゅう)。其の祀りは行(こう)、祭るに腎を先にす。 水始めて冰り、地始めて凍る。雉(きじ)大水に入りて蜃(しん)と為る。虹蔵れて見えず。
現代語訳
冬の初めの月(旧暦十月)には、太陽は尾宿の位置にあり、日暮れには危宿が南中し、夜明けには七星(星宿)が南中する。日は十干の壬と癸(五行の水に当たる)。帝は顓頊(古の帝王、高陽氏)、神は玄冥(水をつかさどる神)。動物は甲羅をもつもの。音は五音の羽、律は応鍾に当たる。数は六。味は塩辛さ、においは朽ちたにおい。祀るのは行(道の神)で、供物は腎臓を先にする。 水がはじめて凍り、地がはじめて凍る。きじが海に入って蜃(大はまぐり)となる。虹が隠れて見えなくなる。
解説
孟冬(旧暦十月)の天象と五行の配当、物候を述べる段である。季節が冬に入り、日は壬癸、帝は顓頊、神は玄冥、虫は甲羅をもつもの、音は羽、数は六、味は鹹、においは朽と、すべてが五行の水に配当し直される。物候の、水と地がはじめて凍る、きじが海に入って大はまぐりになるという三句は、中国の七十二候で立冬の三候とされた。蜃はのちに、気を吐いて楼閣の幻を見せる生き物とも考えられ、「蜃気楼」という言葉の由来となった。「虹蔵れて見えず」は、季春に「虹始めて見る」とあったのと対になり、陰と陽の気が交わらなくなったしるしとされる。春に現れた虹が冬に隠れるという一年の円環を、ひとつの自然現象で示しているところに、月令の構成の妙がある。季節の終わりと始まりを対にして見る目は、自分の一年を振り返るときにも役立つ。
この章句が説くこと
礼記月令孟冬五行物候
関連する章句
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呂氏春秋・孟冬①孟冬の月。日は尾に在り、昏に危中し、旦に七星中す。其の日は壬癸、其の帝は顓頊、其の神は玄冥、其の蟲は介、其の音は羽、律は應鐘に中たる。其の數は六、其の味は鹹。其の臭は朽、其の祀は行、祭るには腎を先にす。水始めて冰り、地始めて凍る。雉、大水に入りて蜃と為る。虹藏れて見われず。天子、玄堂の左个に居り、玄輅に乘り、鐵驪を駕し、玄旂を載て、黑衣を衣、玄玉を服び、黍と彘とを食らう。其の器は宏にして以て弇なり。
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礼記・月令季冬の月は、日は婺女(ぶじょ)に在り、昏(くれ)に婁(ろう)中し、旦(あした)に氐(てい)中す。其の日は壬癸(じんき)。其の帝は顓頊(せんぎょく)、其の神は玄冥(げんめい)。其の虫は介。其の音は羽、律は大呂(たいりょ)に中(あた)る。其の数は六。其の味は鹹(かん)、其の臭(におい)は朽。其の祀は行(こう)、祭るに腎を先にす。 鴈(かり)北に郷(むか)い、鵲(かささぎ)始めて巣くう。雉(きじ)雊(な)き、雞(にわとり)乳す。
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礼記・月令孟冬に春の令を行えば、則ち凍閉密ならず、地気上泄し、民多く流亡す。夏の令を行えば、則ち国に暴風多く、方(まさ)に冬にして寒からず、蟄虫復た出づ。秋の令を行えば、則ち雪霜時ならず、小兵時に起こり、土地侵削せらる。 仲冬の月、日は斗(と)に在り、昏に東壁中し、旦に軫(しん)中す。其の日は壬癸。其の帝は顓頊、其の神は玄冥。其の虫は介。其の音は羽、律は黄鍾に中る。其の数は六。其の味は鹹、其の臭は朽。其の祀りは行、祭るに腎を先にす。
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『淮南子』時則訓孟冬の月、招搖は亥を指し、昏に危中し、旦に七星中す。其の位は北方、其の日は壬癸、盛德は水に在り、其の蟲は介、其の音は羽、律は應鐘に中たり、其の數は六、其の味は鹹、其の臭は腐、其の祀は井、祭には腎を先にす。水始めて冰り、地始めて凍り、雉大水に入りて蜃と為り、虹藏れて見えず。天子は黑衣を衣、玄驪に乘り、玄玉を服し、玄旗を建て、黍と彘とを食らい、八風の水を服し、松を爨き火を燧り、北宮の御女は黑色、黑采を衣、磬石を擊ち、其の兵は鎩、其の畜は彘、玄堂の左丢に朝し、以て冬令を出だす。有司に命じ、群禁を修め、外徙を禁じ、門閭を閉じ、大いに客を鹑らげ、罰刑を斷じ、當罪を殺し、上に阿り法を亂す者を誅せしむ。立冬の日、天子親ら三公九卿大夫を率いて以て歲を北郊に迎う。還りて、乃ち死事を賞し、孤寡を存す。是の月、太祝に命じ神位に禱祀し、龜策を占い、卦兆を審らかにし、以て吉凶を察せしむ。是に於いて天子始めて裘し、百官に命じて謹んで蓋藏せしめ、司徒に命じて積聚を行い、城郭を修め、門閭を警め、楗閉を修め、管籥を慎み、封璽を固くし、邊境を修め、要塞を完うし、蹊徑を絕ち、喪紀を飭え、棺槨衣衾の薄厚、丘壟の小大高痺を營むを審らかにし、貴賤卑尊をして各々等級有らしむ。是の月や、工師功を效し、祭器を陳ね、度程を案じ、堅致を上と為す。工事苦慢にして、淫巧を作為すれば、必ず其の罪を行う。是の月や、大いに飲蒸し、天子來年を天宗に祈り、大いに公社に禱祭し、畢わりて、先祖を饗す。農夫を勞い、以て之を休息せしむ。將率に命じて武を講じ、射御を肄い、力勁を角べしむ。乃ち水虞漁師に命じ、水泉池澤の賦を收め、或いは侵牟する毋からしむ。孟冬に春令を行えば、則ち凍閉密ならず、地氣發泄し、民に流亡多し。夏令を行えば、則ち暴風多く、方に冬にして寒からず、蟄蟲復た出づ。秋令を行えば、則ち雪霜時ならず、小兵時に起こり、土地侵削せらる。十月は司馬を官とし、其の樹は檀なり。
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呂氏春秋・仲冬①仲冬の月。日は斗に在り、昏に東壁中し、旦に軫中す。其の日は壬癸、其の帝は顓頊、其の神は玄冥、其の蟲は介、其の音は羽、律は黃鐘に中たる。其の數は六、其の味は鹹、其の臭は朽。其の祀は井、祭るには腎を先にす。冰益々壯んに、地始めて坼け、鶡鴠鳴かず、虎始めて交わる。天子、玄堂の太廟に居り、玄輅に乘り、鐵驪を駕し、玄旂を載て、黑衣を衣、玄玉を服び、黍と彘とを食らう。其の器は宏にして以て弇なり。有司に命じて曰く、「土事作すこと無く、蓋藏を發すること無く、大衆を起こすこと無く、以て固くして閉ざせ。」蓋藏を發し、大衆を起こさば、地氣且に泄れんとす。是を天地の房を發すと謂う。諸蟄則ち死し、民に疾疫多く、又隨うに喪を以てす。之を命づけて暢月と曰う。
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礼記・月令孟春の月、日は営室(えいしつ)に在り、昏(くれ)に参(しん)中し、旦(あした)に尾(び)中す。其の日は甲乙(こうおつ)。其の帝は大皞(たいこう)、其の神は句芒(こうぼう)。其の虫は鱗。其の音は角。律は大蔟(たいそう)に中(あた)る。其の数は八。其の味は酸(さん)、其の臭(におい)は羶(せん)。其の祀りは戸、祭るに脾(ひ)を先にす。 東風凍(こおり)を解き、蟄虫(ちっちゅう)始めて振(うご)き、魚冰(こおり)に上り、獺(かわうそ)魚を祭り、鴻鴈(こうがん)来たる。
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