論語 / 憲問篇
子曰:「莫我知也夫!」子貢曰:「何爲其莫知子也?」子曰:「不怨天,不尤人,下學而上達,知我者,其天乎!」
新字:子曰:「莫我知也夫!」子貢曰:「何為其莫知子也?」子曰:「不怨天,不尤人,下学而上達,知我者,其天乎!」
書き下し
子曰く、「我を知ること莫きかな。」子貢曰く、「何為れぞ其れ子を知ること莫からんや。」子曰く、「天を怨みず、人を尤めず、下学して上達す。我を知る者は、其れ天か。」
現代語訳
先生がおっしゃった。「私を知る者はいないな。」子貢が言った。「どうして先生を知る者がいないなどとおっしゃるのですか。」先生はおっしゃった。「天を怨まず、人を咎めず、身近なところから学んで高いところへ通じてきた。私を知る者は、天だろうか。」
解説
誰にも理解されないという嘆きから始まり、天だけが知っているという結論に至る。その間に挟まれているのが、孔子の生き方の要約である。天を怨まず、人を咎めず、下から学んで上へ通じる。三つとも、外に原因を求めないという点で一貫している。不遇でありながら、その理由を天のせいにも人のせいにもしなかった。下学而上達という一句も味わい深い。身近で具体的なことから学び始めて、高い理解に至る。天から降ってくる悟りではなく、積み上げである。理解されない苦しさを抱えながら、それを誰のせいにもせず、地道に積んできた。そういう生き方は、外からは見えない。だから知る者がいない。天だけが知っている、という結論は、諦めであると同時に、自分への確認でもある。
この章句が説くこと
知己責任下学上達アカウンタビリティ不遇当事者意識
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