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礼記 / 曲礼上

龜為卜,筴為筮,卜筮者,先聖王之所以使民信時日,敬鬼神、畏法令也;所以使民決嫌疑、定猶與也。故曰:「疑而筮之,則弗非也;日而行事,則必踐之。」 君車將駕,則僕執策立於馬前。已駕,僕展軨效駕,奮衣由右上,取貳綏,跪乘,執策分轡,驅之,五步而立。君出就車,則僕并轡授綏。左右攘辟,車驅而騶。至于大門,君撫僕之手,而顧命車右就車;門閭、溝渠必步。凡僕人之禮,必授人綏。若僕者降等,則受;不然,則否。若僕者降等,則撫僕之手,不然,則自下拘之。

新字:亀為卜,筴為筮,卜筮者,先聖王之所以使民信時日,敬鬼神、畏法令也;所以使民決嫌疑、定猶与也。故曰:「疑而筮之,則弗非也;日而行事,則必践之。」 君車将駕,則僕執策立於馬前。已駕,僕展軨効駕,奮衣由右上,取貳綏,跪乗,執策分轡,駆之,五歩而立。君出就車,則僕并轡授綏。左右攘辟,車駆而騶。至于大門,君撫僕之手,而顧命車右就車;門閭、溝渠必歩。凡僕人之礼,必授人綏。若僕者降等,則受;不然,則否。若僕者降等,則撫僕之手,不然,則自下拘之。

書き下し

亀を卜と為し、筴(さく)を筮(ぜい)と為す。卜筮は、先聖王の民をして時日を信じ、鬼神を敬い、法令を畏れしむる所以なり。民をして嫌疑を決し、猶与(ゆうよ)を定めしむる所以なり。故に曰く、「疑いてこれを筮すれば、則ち非とせず。日してことを行えば、則ち必ずこれを践む」と。 君の車将に駕せんとすれば、則ち僕は策を執りて馬前に立つ。已に駕すれば、僕は軨(れい)を展(み)て駕を効(いた)し、衣を奮いて右由り上り、弐綏(じすい)を取り、跪きて乗り、策を執り轡(たづな)を分かち、これを駆りて、五歩にして立つ。君出でて車に就けば、則ち僕は轡を并(あわ)せて綏を授く。左右攘辟(じょうへき)し、車駆りて騶(はし)る。大門に至れば、君は僕の手を撫し、顧みて車右に命じて車に就かしむ。門閭・溝渠には必ず歩す。凡そ僕人の礼は、必ず人に綏を授く。若し僕者降等なれば、則ち受く。然らざれば、則ち否(しか)せず。若し僕者降等なれば、則ち僕の手を撫し、然らざれば、則ち自ら下よりこれを拘(と)る。

現代語訳

亀甲を用いる占いを卜といい、筮竹を用いる占いを筮という。卜筮は、古の聖王が民に時と日取りを信じさせ、鬼神を敬わせ、法令を畏れさせるためのものである。また民に疑わしいことを決めさせ、ためらいを定めさせるためのものである。だから「疑いがあって筮で占ったのなら、その結果を非としてはならない。日を占って定めて事を行うのなら、必ずその日に実行せよ」というのである。 君の車に馬をつけようとするときは、御者は鞭を持って馬の前に立つ。馬をつけ終わったら、御者は車の欄干などを点検して準備が整ったことを報告し、衣のほこりを払って右側から乗り、予備の乗車用の綱をつかんで、ひざまずいた姿勢で乗り、鞭を持って手綱を分けて握り、車を進ませて五歩ほど進んだところで止まって立つ。君が出てきて車に乗ろうとすると、御者は手綱を一つの手にまとめ、もう一方の手で乗車用の綱を君に渡す。左右の従者たちは身を引いて道をあけ、車が走り出すと従者たちも小走りについて行く。大門に着くと、君は御者の手に触れて車を止めさせ、振り返って車右(しゃゆう、車の右に乗る護衛の武士)に命じて車に乗らせる。里の門や溝を越えるときは、車右は必ず車を下りて歩く。およそ御者の礼では、必ず乗る人に乗車用の綱を渡す。もし御者が乗る人より身分が低ければ、乗る人はその綱を受け取る。そうでなければ受け取らない。御者が身分の低い者であれば、乗る人は御者の手に触れて押しとどめてから自分で綱を取り、そうでなければ、御者の手の下から自分で綱を取る。

解説

前半は卜筮の意義、後半は君の車を御する者の作法を述べた段である。卜筮を、聖王が民に時日を信じさせ、鬼神を敬わせ、法令を畏れさせ、迷いを決めさせるためのものと位置づける説明は、占いを単なる吉凶の予言ではなく、共同体が決断を下して従うための仕組みとして捉えている。「疑いてこれを筮すれば、則ち非とせず。日してことを行えば、則ち必ずこれを践む」は、いったん占って決めたなら結果に文句をつけず、決めた日には必ず実行せよということで、前段の占い直しの戒めと表裏をなしている。決めるまでは慎重に、決めたら迷わずに行う、という決断の型がここにある。後半は車を仕立てる御者の手順を細かく描く。点検して準備を報告し、先に乗って五歩進めて具合を確かめ、君が乗るときに綱を手渡すという段取りは、仕える者が主の安全を先回りして整える姿を伝えている。決めたことを守り抜くこと、そして任された仕事の下準備を怠らないことは、今の仕事の基本でもある。

この章句が説くこと

礼記卜筮決断御者曲礼

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