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礼記 / 曲礼上

若非飲食之客,則布席,席間函丈。主人跪正席,客跪撫席而辭。客徹重席,主人固辭。客踐席,乃坐。主人不問,客不先舉。將即席,容毋怍。兩手摳衣,去齊尺。衣毋撥,足毋蹶。

新字:若非飲食之客,則布席,席間函丈。主人跪正席,客跪撫席而辞。客徹重席,主人固辞。客践席,乃坐。主人不問,客不先舉。将即席,容毋怍。両手摳衣,去斉尺。衣毋撥,足毋蹶。

書き下し

若し飲食の客に非ざれば、則ち席を布き、席の間は丈を函(い)る。主人跪きて席を正し、客跪きて席を撫して辞す。客重席を徹すれば、主人固辞す。客席を践みて、乃ち坐す。主人問わざれば、客先に挙げず。将に席に即かんとするには、容怍(は)ずること毋かれ。両手にて衣を摳げ、斉(し)を去ること尺なり。衣は撥(はら)うこと毋かれ、足は蹶(はや)むること毋かれ。

現代語訳

飲食をもてなす客でない場合(講論のための客など)は、席を敷き、主客の席の間は一丈(約二・三メートル)ほどの間をあける。主人はひざまずいて席をまっすぐに整え、客はひざまずいて席をなでて辞退の意を示す。客が重ねて敷かれた席を一枚取り除こうとすると、主人は固く辞退する。客は席に上がってから坐る。主人が問いかけるまでは、客のほうから話を持ち出さない。席に着こうとするときは、容貌に恥じらいや気後れの色を見せてはならない。両手で衣の裾をつまみ上げ、裾の縁が地から一尺ほど離れるようにする。衣の裾をひるがえしてはならず、足をせわしなく動かしてはならない。

解説

飲食を伴わない客、すなわち学問や相談のために訪れた客をもてなす席の作法である。主客の席の間を一丈あけるのは、鄭玄の注によれば、講論をするときに指し示して語れるだけの間を取るためで、「函丈」の語は後に師の座を指す言葉となった。書簡で師を敬って宛名の脇に「函丈」と書くのは、この句に由来する。主人が席を整え、客が席をなでて辞退し、客が重ねた席を減らそうとすると主人が固辞する、という一連のやりとりは、互いに相手を立てる譲り合いである。重ねた席は尊敬の表れなので、客はそれを辞退してへりくだり、主人はそれを押しとどめて敬意を保つ。主人が問うまで客から話を切り出さないのは、場の主導権を主人に委ねる礼である。席に着くときに気後れを見せず、裾をひるがえさず足をばたつかせないという結びは、落ち着いた所作がそのまま相手への敬意になるという考えを示している。面談や打ち合わせの始まり方にも通じる心得である。

この章句が説くこと

礼記函丈主客座礼曲礼

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