翁問答 / 下卷之末之末
體充問曰、神信仰をば仕たるがよく候や。師の曰、神明を信仰するは儒道の本意にて候、しかる故に祖を天に配し父を上帝に配し、神明に通ずるを孝行の至極なりと、孝經に說たまへり、周禮曰、大宗伯之職、掌建邦之天神人鬼地祇之禮以佐王建保邦國以吉禮事邦國之鬼神祇以禋祀祀昊天上帝、以實柴祀日月星辰、以槱燎祀司中司命觀師雨師以血祭祭社稷五祀五嶽以貍沈祭山林川澤以疈辜祭四方百物、
新字:体充問曰、神信仰をば仕たるがよく候や。師の曰、神明を信仰するは儒道の本意にて候、しかる故に祖を天に配し父を上帝に配し、神明に通ずるを孝行の至極なりと、孝経に説たまへり、周礼曰、大宗伯之職、掌建邦之天神人鬼地祇之礼以佐王建保邦国以吉礼事邦国之鬼神祇以禋祀祀昊天上帝、以実柴祀日月星辰、以槱燎祀司中司命観師雨師以血祭祭社稷五祀五嶽以貍沈祭山林川沢以疈辜祭四方百物、
書き下し
体充問曰、神信仰をば仕たるがよく候や。師の曰、神明を信仰するは儒道の本意にて候、しかる故に祖を天に配し父を上帝に配し、神明に通ずるを孝行の至極なりと、孝経に説たまへり、周礼に曰く、大宗伯の職は、邦の天神・人鬼・地祇の礼を建つることを掌り、以て王を佐けて邦国を建保す、吉礼を以て邦国の鬼神祇に事へ、禋祀を以て昊天上帝を祀り、実柴を以て日月星辰を祀り、槱燎を以て司中・司命・観師・雨師を祀り、血祭を以て社稷・五祀・五嶽を祭り、貍沈を以て山林川沢を祭り、疈辜を以て四方百物を祭る、
現代語訳
體充が問う。「神を信仰するのはよいことか。」師が言う。「神明を信仰するのは儒道の本意である。だから祖先を天に配し、父を上帝に配して神明に通じることを孝行の至極であると、『孝経』に説いておられる。『周礼』には「大宗伯の職は、国の天神・人鬼・地祇の礼を定めることをつかさどり、王を助けて国を建て保つ。吉礼によって国の鬼神に仕え、禋祀によって昊天上帝を祀り、実柴によって日月星辰を祀り、槱燎によって司中・司命・風師・雨師を祀り、血祭によって社稷・五祀・五嶽を祭り、貍沈によって山林川沢を祭り、疈辜によって四方の百物を祭る」とある。」
解説
この章句が説くこと
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『慎思録』巻之三母没すれば則ち父祭主と為るは、古の礼なり。今や父祭礼を知らずんば、則ち其の子祭主と為りて、其の母を祭るべきか。然らずんば則ち祭らずして子道を廃す。之を為すこと如何。苟も父祭主と為らずんば、則ち母の神主に於て、当に之を書すること如何すべき。恐らくは父在す時、孝子某奉祀と書し難からん。二者請ふ父に問ひ、時宜を斟酌して、惟れ可なり。
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『翁問答』下卷之末之末又曰く、若し大いに師すれば、則ち有司を師ゐて軍社を立て、主車を奉ず、若し軍将に事有らんとすれば、則ち祭に与りて有司と四望に事を将ふ、又曰く、凡そ師甸には牲を社宗に用ふれば則ち位を為す、上帝に類造し、大神に封じ、兵を山川に祭るも亦之の如し、祭法に曰く、柴を泰壇に燔くは天を祭るなり、泰折に瘞埋するは地を祭るなり、騂犢を用ふ、少牢を泰昭に埋むるは時を祭るなり、坎壇に相近するは寒暑を祭るなり、王宮は日を祭るなり、夜明は月を祭るなり、幽宗は星を祭るなり、雩宗は水旱を祭るなり、四坎壇は四方を祭るなり、山林川谷丘陵の能く雲を出し風雨を為し怪物を見すを、皆神と曰ふ、
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『慎思録』巻之三礼に曰く、祭は数々ならんことを欲せず。数々なれば則ち瀆る、と。夫れ忌日は、一歳に一日のみ。今の倭俗の如きは毎月忌日と称し、素饌薦奠す。固より正礼に非ず。故に先輩世俗に乖きて月忌を行はざる者有り。窃かに謂ふ、本邦元来三年の喪無し。古制に期喪有りと雖も、復た此の礼を廃すること久し。是を以て孝子の心安んずる能はず。月忌の如きは、古礼に非ずと雖も、然れども国俗の同じく行ふ所にして、幼より之を習ふこと既に久し。遽かに廃するに忍びず。姑く其の厚きに従ひて、俗に同じうするも亦可なり。苟も断然として之を廃して行はずんば、恐らくは忍刻に幾からん。
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詩経・大雅・生民之什・既酔既酔(きすい)は、大平(たいへい)なり。酒に酔い徳に飽きて、人に士君子の行い有り。 既に酔うに酒を以てし、既に飽くに徳を以てす。君子万年、爾(なんじ)の景福を介(たす)けん。 既に酔うに酒を以てし、爾の殽(こう)既に将(すす)む。君子万年、爾の昭明を介けん。 昭明融(ゆう)たる有り、高朗にして令終あり。令終俶(はじめ)有り、公尸(こうし)嘉(よ)く告ぐ。 其の告ぐること維(こ)れ何ぞ。籩豆(へんとう)静嘉なり。朋友の摂(たす)くる攸(ところ)、摂くるに威儀を以てす。 威儀孔(はなは)だ時(よ)く、君子孝子有り。孝子匱(とぼ)しからず、永く爾に類を錫(たま)う。 其の類は維れ何ぞ。室家の壼(こん)。君子万年、永く祚胤(そいん)を錫う。 其の胤は維れ何ぞ。天爾に禄を被らしむ。君子万年、景命僕(つ)く有り。 其の僕は維れ何ぞ。爾に女士を釐(たま)う。爾に女士を釐い、従うに孫子を以てす。
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礼記・礼運其の祝号を作り、玄酒以て祭り、其の血・毛を薦め、其の俎を腥(なま)にし、其の殽(こう)を孰(に)、其の越席(かっせき)と与(とも)にし、疏布以て冪(おお)い、其の澣帛(かんぱく)を衣(き)、醴・醆以て献じ、其の燔・炙を薦め、君と夫人と交々(こもごも)献じ、以て魂魄を嘉(よみ)す。是を合莫(ごうばく)と謂う。 然る後に退きて合亨(ごうほう)し、其の犬豕牛羊を体(わか)ち、其の簠(ほ)・簋(き)・籩(へん)・豆・鉶羹(けいこう)に実(み)たす。祝は孝を以て告げ、嘏は慈を以て告ぐ。是を大祥と謂う。此れ礼の大成なり。
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『十善法語』巻第十・不邪見戒之上聖智見ノ中ニハ。此神祇アルシヤ。無ト云レヌ。此聖者賢人アルシヤ。無ト云レヌ。善ヲ作シテ其報アルシヤ無ト云レヌ。悪ヲ作シテ其報アルシヤ。無ト云レヌコトシヤ。古ヨリ明君英主ハ山川宗廟ノ祭ヲ忽ニセヌ。孜孜トシテ善ヲ修シテ。此ヲ子孫ニ貽ス。昔者葛伯放逸ニシテ祀ラス。湯王牛羊粢盛ヲ供スルニ。猶其祀ニ怠ル。終ニ其国ヲ亡シ身ヲ亡スニ至リシト云。殷ノ紂王ノ悪事ノ中ニ。慢於鬼神ト云ガ亡国ノ一事シヤ。周礼ノ天官ニ。祭祀以馭其神トアル。又春官ニ太宗伯職掌建邦之天神人鬼地示之礼以佐王。建保邦国ナトトアル。左伝ノ昭公四年ニ。先務修徳音以享神人トアル。同ク古者日在北陸而蔵氷。黒牡秬黍以享司寒トアル。司寒ト云ハ北方ノ神ノ名シヤ。此等ニ依テ看ヨ。仏法東流セヌ已前ニモ。明君英主ハ神霊アルヲ信シテ。其祭祀ヲ忽ニセヌ。暗君庸主ハ神祇ヲ蔑ニスルシヤ。
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