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孟子 / 告子章句上

鄉。』惟心之謂與?」

新字:郷。』惟心之謂与?」

書き下し

郷。』と、惟れ心の謂か。」

現代語訳

(その行き先を知る者はいない)』とは、ただ心のことを言ったものであろう。」

解説

有名な「牛山の木」の章の結びです。かつて美しく茂っていた牛山も、斧で切られ牛羊に食まれ続けて禿げ山になりました。人の良心も同じで、夜の静けさの中で芽生える善い気(夜気)も、昼間の行いが次々と損なえば保てなくなると孟子は説きます。そのうえで孔子の「操れば則ち存し、舎つれば則ち亡ぶ。出入時無く、其の郷を知る莫し」という言葉を引き、これはただ心のことを言ったのだと結びます。心はしっかりつかんでいれば保たれ、手放せば失われ、いつ出入りするかも行き先もわからないものです。性善説は、善をもって生まれればそれで安心という考えではありません。日々の仕事でも、初心や良心は意識して守り育てなければ、知らぬ間に失われてしまいます。

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