言志四録 / 南洲手抄
動於不得已之勢、則動而不括。履於不可枉之途、則履而不危。
書き下し
已むことを得ざるの勢に動けば、則ち動いて括せず。枉ぐ可らざるの途を履めば、則ち履んで危からず。
現代語訳
やむにやまれぬ勢いに乗って動けば、動いても行き詰まらない。曲げてはならない正しい道を踏んでいけば、進んでも危うくならない。
解説
前条の「至誠」を、行動の指針へと展開した一条です。私欲や打算で無理に動けば、どこかで行き詰まる。しかし内から満ちた必然の勢いに従えば、動きは滞りません。同じく、都合で道を曲げれば足元が危うくなりますが、曲げてはならない正道を踏めば、かえって危険がない。要は、動機が誠であり、道が正しければ、行動は自然に力を持つということです。決断を前に「これは私欲か、やむにやまれぬ必然か」を自らに問う、確かな基準を与えてくれます。
この章句が説くこと
順理正道決断私欲
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