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韓非子 / 難三第三十八

明君使人無私,以詐而食者禁;力盡於事、歸利於上者必聞,聞者必賞;汙穢爲私者必知,知者必誅。然,故忠臣盡忠於公,民士竭力於家,百官精尅於上,侈倍景公,非國之患也。

新字:明君使人無私,以詐而食者禁;力尽於事、帰利於上者必聞,聞者必賞;汚穢為私者必知,知者必誅。然,故忠臣尽忠於公,民士竭力於家,百官精尅於上,侈倍景公,非国之患也。

書き下し

明君は人をして私無からしめ、詐を以て食む者は禁ず。力を事に尽くし、利を上に帰する者は必ず聞こえ、聞こゆる者は必ず賞せらる。汚穢にして私を為す者は必ず知られ、知らるる者は必ず誅せらる。然り、故に忠臣は忠を公に尽くし、民士は力を家に竭くし、百官は上に精尅す。侈ること景公に倍するも、国の患に非ざるなり。

現代語訳

明君は人に私心を持たせず、偽りで禄を食む者を禁じる。仕事に力を尽くし、利益を上に帰する者は必ず君主に知られ、知られた者は必ず賞される。汚れた行いで私利を図る者は必ず見抜かれ、見抜かれた者は必ず誅される。そうであるから、忠臣は公のために忠を尽くし、民や士は家業に力を尽くし、百官は上に対して精励する。そうなれば、君主の奢りが景公の倍であっても、国の患いにはならない。

解説

孔子が斉の景公に説いた「財を節す」への批判の結論部分です。韓非は、君主が倹約するかどうかは本質ではないと言います。大切なのは、国のために力を尽くす者が必ず知られて賞され、私腹を肥やす者が必ず見抜かれて罰される仕組みがあることです。そうした仕組みがあれば、忠臣も民も百官もそれぞれの持ち場で力を尽くすので、君主が景公の倍の贅沢をしても国は傾かないと言い切ります。儒家が君主個人の徳や節制に治乱の原因を求めるのに対し、韓非は制度にそれを求めるのです。組織の健全さを、トップの人柄より、貢献と不正が確実に見える仕組みで測る視点といえます。

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