韓非子 / 說林上二十二
乃不伐也。楊子過於宋東之逆旅。
書き下し
乃ち伐らざるなり。楊子、宋の東の逆旅に過る。
現代語訳
(隰斯弥は)結局その木を伐らなかった。楊子(楊朱)が宋の東にある宿屋に立ち寄った。
解説
二つの話の継ぎ目にあたる短い単位です。前半は、隰斯弥が田成子の意向を察して自家の木を伐りかけ、やめさせたという話の結末で、言われていないことを察したと知られれば、大事を企む田成子に警戒される、だから木を残す方が安全だという判断でした。後半は、楊朱が宋の宿屋に泊まった話の書き出しです。その宿の主人には美しい妾と醜い妾がいて、醜い方が大事にされていた、という話が既存の章句に続き、次の単位の楊朱の教えにつながります。韓非は、相手の心を読む力よりも、読んだことをどう隠すかが身を守ると見ていました。知っていても知らないふりをする分別は、今の職場でも役立つことがあります。
関連する章句
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『韓非子』說林上二十二子、工みに自ら王に樹つと雖も、子を去らんと欲する者衆ければ、子必ず危ふし」と。魯の季孫、新たに其の君を弑し、呉起焉に仕ふ。或ひと起に謂ひて曰く、「夫れ死者は、始め死して血あり、已に血ありて衄あり、已に衄ありて灰あり、已に灰ありて土あり。其の土に及ぶや、為すべき者無し。今季孫は乃ち始めて血あり、其れ毋乃ち未だ知るべからざらんか」と。呉起因りて之を去りて晋に之く。隰斯弥、田成子に見ゆ。田成子与に台に登りて四望す。三面皆暢びたり、南に望めば、隰子の家の樹之を蔽ふ。田成子も亦言はず。隰子帰り、人をして之を伐らしむ。斧離れて数創ありて、隰子之を止む。其の相室曰く、「何ぞ変ずることの数なるや」と。
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『韓非子』說林上二十二夫の田子は將に大事有らんとす。而るに我之に微を知るを示せば、我必ず危うからん。...人の言わざる所を知るは、其の罪大なり。
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『韓非子』說林上二十二楊子、弟子に謂ひて曰く、「賢を行ひて自ら賢とするの心を去らば、焉くに往くとして美ならざらん」と。衛人、其の子を嫁せしめて之に教へて曰く、「必ず私に積聚せよ。人の婦と為りて出ださるるは常なり。其の成り居るは幸なり」と。其の子因りて私に積聚す。其の姑以て私多しと為して之を出だす。其の子の反る所以の者は、其の嫁する所以に倍す。其の父、自ら子に教ふることの非なるを罪せずして、自ら其の益々富めるを知とす。今人臣の官に処る者、皆是の類なり。魯丹、三たび中山の君に説きて受けられざるなり。因りて五十金を散じて其の左右に事ふ。復た見ゆるに、未だ語らずして、君之に食を与ふ。
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『韓非子』說林上二十二美しき者は自ら美しとすれば、吾其の美しきを知らざるなり。悪き者は自ら悪しとすれば、吾其の悪きを知らざるなり。
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『韓非子』說林上二十二陳軫、魏王に貴ばる。恵子曰く、「必ず善く左右に事へよ。夫れ楊は、之を横に樹うれば即ち生じ、之を倒に樹うれば即ち生じ、折りて之を樹うれば又生ず。
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『韓非子』說林上二十二今子は美にして我は悪し。...子我が舍人と為るに如かず。...逆旅の君、之を待つこと甚だ敬して、因て酒肉を獻ず。