韓非子 / 說林上二十二
有妾二人,其惡者貴,美者賤。楊子問其故。逆旅之父荅曰:「美者自美,吾不知其美也;惡者自惡,吾不知其惡也。
新字:有妾二人,其悪者貴,美者賤。楊子問其故。逆旅之父荅曰:「美者自美,吾不知其美也;悪者自悪,吾不知其悪也。
書き下し
美しき者は自ら美しとすれば、吾其の美しきを知らざるなり。悪き者は自ら悪しとすれば、吾其の悪きを知らざるなり。
現代語訳
(宿の主人が言う)「美しい妾は、自分で自分の美しさを鼻にかけているので、私にはその美しさが(美点として)感じられない。醜い妾は、自分で自分の醜さを自覚して謙虚に振る舞うので、私にはその醜さが(欠点として)感じられない。」
解説
ある宿屋の主人に二人の側女がいて、器量の良い方は冷遇され、器量の劣る方が大切にされていました。楊子が理由を尋ねると、主人はこう答えます。「器量の良い方は自分の美しさを鼻にかけているので、私にはその美しさが見えなくなってしまう。器量の劣る方は自分の至らなさを自覚してつつましく振る舞うので、私にはその至らなさが気にならなくなるのだ」と。才能や見た目に恵まれていても、それを鼻にかけて威張れば、周りの人はかえって良さを認めなくなります。逆に足りないところがあっても、それを自覚してつつましく振る舞えば、その姿勢自体が評価され、弱さを補って余りある信頼を得られるのです。
この章句が説くこと
謙虚さ傲慢自己認識(メタ認知)ダニング=クルーガー効果強みと弱み
関連する章句
-
『春秋左氏伝』文公九年 越椒、幣を執りて傲る春、王の正月、己酉、賊をして先克を殺さしむ。乙丑、晉人先都・梁益耳を殺す。毛伯衛來りて金を求む、禮に非ざるなり。王命を書せざるは、未だ葬らざればなり。二月、莊叔周に如きて襄王を葬る。三月、甲戌、晉人箕鄭父・士縠・蒯得を殺す。范山楚子に言ふ、「晉君少くして、諸侯に在らず、北方圖る可きなり」と。楚子狼淵に師して以って鄭を伐ち、公子堅・公子尨、及び樂耳を囚ふ。鄭楚と平ぐ。公子遂晉の趙盾・宋の華耦・衛の孔達・許の大夫に會し、鄭を救ふ、楚の師に及ばず。卿を書せざるは、緩なればなり、以って不恪を懲らすなり。夏、楚陳を侵し、壺丘に克つ、其の晉に服するを以ってなり。秋、楚の公子朱東夷より陳を伐つ、陳人之を敗り、公子茷を獲たり。陳懼れ、乃ち楚と平ぐ。冬、楚の子越椒來聘す、幣を執りて傲る。叔仲惠伯曰く、「是れ必ず若敖氏の宗を滅ぼさん。其の先君に傲る、神福せざるなり」と。秦人來りて僖公・成風の襚(すい)を歸る、禮なり。諸侯相弔賀するや、事に當たらずと雖も、苟も禮有らば、書す、以って舊好を忘るる無きなり。
-
『春秋左氏伝』襄公二十八年 惰傲の蔡侯秋八月、大いに雩す。旱なればなり。蔡侯、晉より歸り、鄭に入る。鄭伯之を享す。不敬なり。子產曰く、「蔡侯其れ免れざらんか。日其れ此を過ぐるや、君、子展をして東門の外に迋勞せしむるに、傲れり。吾曰く、『猶ほ將に之を更めん』と。今還りて享を受けて惰る。乃ち其の心なり。小國に君として大國に事へ、而も惰傲以て己の心と為す。將に死を得んとするか。若し免れずんば、必ず其の子に由らん。其の君為るや、淫にして父ならず。僑之を聞く、是くの如き者は恆に子の禍有りと」と。孟孝伯、晉に如く。將に宋の盟の為の故に楚に如かんとするを告ぐるなり。蔡侯の晉に如くや、鄭伯、游吉をして楚に如かしむ。漢に及ぶ。楚人之を還して曰く、「宋の盟に、君實に親ら辱くす。今吾子來る。寡君謂ふ、吾子姑く還れと。吾將に馹をして奔りて諸を晉に問はしめて、以て告げんとす」と。子大叔曰く、「宋の盟に、君命じて將に小國を利し、而して亦た其の社稷を安定し、其の民人を鎮撫し、禮を以て天の休を承けしめんとす。此れ君の憲令にして、小國の望みなり。寡君是の故に吉をして其の皮幣を奉じ、
-
『茶の本』第五章 芸術鑑賞・味わう力がないために飢えているわれわれは、手のつけようのない無知のために、この造作のない礼儀を尽くすことをいとう。こうして、眼前に広げられた美の饗応にもあずからないことがしばしばある。名人にはいつでもごちそうの用意があるが、われわれはただみずから味わう力がないために飢えている。
-
『呻吟語』内篇・修身・分外に好き底は無し世上に個の分外に好き底無し。便ち天地位し萬物育するの功用に到るも、也た是れ性分の中に應に盡くすべき底の事業なり。今人才かに一善有れば、便ち人に向かひて矜色有り、便ち世上の人都て不是有るを見得たりと。余甚だ之を恥づ。若し分外に好しと說はば、這は又た是れ賢智の過なり、便ち是れ好からず。
-
言志四録・南洲手抄凡そ学を為すの初め、必ず大人たらんと欲するの志を立て、然る後書読む可し。然らずして、徒に聞見を貪るのみならば、則ち或は傲を長じ非を飾らんことを恐る。謂はゆる寇に兵を仮し、盗に糧を資するなり、虞る可し。
-
『呻吟語』内篇・修身・第一に怕るるは是れ氣高し少年の大病は、第一に怕るるは是れ氣高きなり。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る