家道訓 / 巻之一・総論上
一凡、家の主として家ををさむる人は、まづ、父母によくつかふるを第一のつとめとし、次に妻をみちびき、子弟ををしふるを以て要とし、其の次に、下部をつかふに、心を用ひて禮法を正しくすべし。くるしめ侮りて虐ぐべからず。
新字:一凡、家の主として家ををさむる人は、まづ、父母によくつかふるを第一のつとめとし、次に妻をみちびき、子弟ををしふるを以て要とし、其の次に、下部をつかふに、心を用ひて礼法を正しくすべし。くるしめ侮りて虐ぐべからず。
書き下し
一凡、家の主として家ををさむる人は、まづ、父母によくつかふるを第一のつとめとし、次に妻をみちびき、子弟ををしふるを以て要とし、其の次に、下部をつかふに、心を用ひて礼法を正しくすべし。くるしめ侮りて虐ぐべからず。
現代語訳
およそ家の主として家を治める人は、まず父母によく仕えることを第一の務めとし、次に妻を導き、子弟を教えることを要とし、その次に、下働きの者を使うのに心を用いて礼法を正しくすべきです。苦しめたり侮ったりして虐げてはいけません。
解説
家の主の務めを、父母に仕えること、妻を導き子弟を教えること、使用人を礼法正しく扱うことの三段階で示した短い条です。順序があることに意味があり、まず自分を生み育てた親への孝を土台に置き、次に家族、そして家で働く人へと心を広げていきます。使用人を苦しめ侮って虐げるなと明言しているのは、身分社会の江戸時代にあって注目すべき点です。家族を大事にすることと、ともに働く人を尊重することを並べて説く姿勢は、今の職場にも通じます。
この章句が説くこと
家主人孝使用人礼
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『慎思録』巻之六凡そ子弟たる者は、須らく尊長の事に勤労すべし。自ら尊長の態を為して、安逸を為すこと勿かれ。凡そ人の子たるの礼は、須らく朝夕父母を定省すべし。或は居を同じくせざる者も、亦其の遠近に随ひて、毎日一たび省み、或は数日に一たび省みて、疏濶なること勿かれ。文王の世子たるや、王季に朝すること日に三たび、雞初めて鳴きて至り、日中に及びて又至り、莫に及びて又至る。世子すら猶ほ此くの如し。況んや賤しき者に於いてをや。
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『春秋左氏伝』隠公元年 孝子匱しからず君子曰く、「潁考叔は純孝なり。其の母を愛して、施いて莊公に及ぶ。詩に曰く、『孝子匱しからず、永く爾の類に錫ふ』と。其れ是を之れ謂ふか」と。秋、七月、天王宰咺をして來りて惠公・仲子の賵を歸らしむ。緩し、且つ子氏未だ薨ぜず、故に名いふ。天子は七月にして葬り、同軌畢く至る。諸侯は五月、同盟至る。大夫は三月、同位至る。士は月を踰え、外姻至る。死に贈りて尸に及ばず、生を弔ひて哀に及ばず、凶事を豫めするは、禮に非ざるなり。八月、紀人夷を伐つ。夷告げず、故に書せず。蜚有り。災を為さず、亦た書せず。惠公の季年、宋の師を黃に敗る。公立ちて、成を求む。九月、宋人と宿に盟ふ、始めて通ずるなり。冬、十月、庚申、惠公を改葬す。公臨まず、故に書せず。惠公の薨ずるや、宋の師有り、太子少し、葬に故に闕有り、是を以って改葬す。衛侯來りて葬に會す、公に見えず、亦た書せず。鄭の共叔の亂に、公孫滑出でて衛に奔る。衛人之が為に鄭を伐ち、廩延を取る。鄭人王の師・虢の師を以って衛の南鄙を伐つ。師を邾に請ふ。邾子私かに公子豫に使ひす。豫往かんと請ふ、公許さず、遂に行く。邾人・鄭人と翼に盟ふ。書せざるは、公の命に非ざればなり。新たに南門を作る。書せざるは、亦た公の命に非ざればなり。十二月、祭伯來る、王命に非ざるなり。眾父卒す。公小斂に與らず、故に日を書せず。
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論語・為政篇孟懿子孝を問う。子曰く、「違(たが)うこと無かれ。」樊遅御(ぎょ)す。子之に告げて曰く、「孟孫我に孝を問う。我対えて曰く、違(たが)うこと無かれと。」樊遅が曰く、「何の謂(いい)ぞや。」子曰く、「生きては之に事(つか)うるに礼を以てし、死しては之を葬るに礼を以てし、之を祭るに礼を以てす。」
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孟子・盡心章句下曾晳羊棗を嗜む、而して曾子羊棗を食らふに忍びず。公孫丑問ひて曰く、「膾炙と羊棗と孰れか美き。」孟子曰く、「膾炙なるかな。」公孫丑曰く、「然らば則ち曾子何為れぞ膾炙を食らひて羊棗を食らはざる。」曰く、「膾炙は同じき所なり、羊棗は独りする所なり。名を諱みて姓を諱まず、姓は同じき所なり、名は独りする所なり。」
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『童子問』卷中問ふ。何をか達孝と謂ふ。曰く、達孝なる者は、天下に通ずるの孝にして、一人の小孝に非ざるを謂ふなり。夫れ飲食供奉、左右就養する者は、人子の常職にして、以て孝と為すに足らず。惟善く人の志を継ぎ、善く人の事を述べ、身を立て道を行ひ、名を後世に揚げて、以て父母を顕して、而る後に孝と称するに足るなり。孔子曰く、孟荘子の孝や、其の他は能くすべきなり。其の父の臣と父の政とを改めざるは、是れ能くし難きなり、と。荘子の父献子は、魯の賢大夫にして、名を諸侯に顕す。其の臣は皆献子の挙ぐる所、其の政は皆献子の建つる所なり。人材紀綱、以て後嗣に遺すに足る。荘子皆能く之を用ひて改めず。故に夫子之を称す。言ふこころは、荘子の孝、其の能くし難き者固より多し。然れども此の二事の最も能くし難しと為るに如かざるなり。此に由りて之を観れば、其の先業を斁り、其の家声を堕す者は、他の美有りと雖も、不孝の甚だしきなり。孟懿子孝を問ふ。子曰く、生けるには之に事ふるに礼を以てし、死すれば之を葬るに礼を以てし、之を祭るに礼を以てす、と。蓋し懿子は魯の上卿にして、民の具に瞻る所なり。而して生事葬祭礼を以てすれば、則ち徒に能く其の家を治めて法有るのみに非ず、亦以て魯国を善くするに足る。君は以て忠と為し、民は以て帰と為し、以て孟氏の祀を永くすべし。故に夫子此を以て之に告ぐ。深いかな。
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