十八史略 / 『十八史略』蜀・諸葛亮・出師の表に見る賞罰と諫言
漢丞相亮率諸軍北伐臨發上疏曰今天下三分益州疲弊此危急存亡之秋也宜開張聖聽不宜塞忠諫之路宮中府中俱為一體陟罰臧否不宜異同若有作姦犯科及忠善者宜付有司論其刑賞以昭平明之治親賢臣遠小人此先漢所以興隆也親小人遠賢臣此後漢所以傾頹也臣本布衣躬耕南陽苟全性命於亂世不求聞達於諸侯先帝不以臣卑鄙猥自枉屈三顧臣於草廬之中諮臣以當世之事由是感激許先帝以驅馳先帝知臣謹慎臨崩寄以大事受命以來夙夜憂懼恐付託不效以傷先帝之明故五月渡瀘深入不毛今南方已定兵甲已足當獎率三軍北定中原興復漢室還于舊都此臣所以報先帝而忠陛下之職分也
新字:漢丞相亮率諸軍北伐臨発上疏曰今天下三分益州疲弊此危急存亡之秋也宜開張聖聴不宜塞忠諫之路宮中府中倶為一体陟罰臧否不宜異同若有作姦犯科及忠善者宜付有司論其刑賞以昭平明之治親賢臣遠小人此先漢所以興隆也親小人遠賢臣此後漢所以傾頽也臣本布衣躬耕南陽苟全性命於乱世不求聞達於諸侯先帝不以臣卑鄙猥自枉屈三顧臣於草廬之中諮臣以当世之事由是感激許先帝以駆馳先帝知臣謹慎臨崩寄以大事受命以来夙夜憂懼恐付託不効以傷先帝之明故五月渡瀘深入不毛今南方已定兵甲已足当獎率三軍北定中原興復漢室還于旧都此臣所以報先帝而忠陛下之職分也
書き下し
漢の丞相亮、諸軍を率いて北伐す。発するに臨みて上疏して曰く、今、天下三分し、益州疲弊す。此れ危急存亡の秋なり。宜しく聖聴を開張すべく、宜しく忠諫の路を塞ぐべからず。宮中・府中は、倶に一体為り。陟罰臧否、宜しく異同すべからず。若し姦を作し科を犯す、及び忠善なる者有らば、宜しく有司に付し、其の刑賞を論じ、以て平明の治を昭らかにすべし。賢臣を親しみ小人を遠ざくるは、此れ先漢の興隆せし所以なり。小人を親しみ賢臣を遠ざくるは、此れ後漢の傾頽せし所以なり。臣は本と布衣、躬ら南陽に耕し、苟くも性命を乱世に全うし、聞達を諸侯に求めず。先帝、臣の卑鄙なるを以てせず、猥りに自ら枉屈し、臣を草廬の中に三顧し、臣に諮るに当世の事を以てす。是に由りて感激し、先帝に許すに駆馳を以てす。先帝、臣の謹慎なるを知り、崩ずるに臨みて寄するに大事を以てす。命を受けて以来、夙夜憂懼し、付託の効あらずして、以て先帝の明を傷つけんことを恐る。故に五月瀘を渡り、深く不毛に入る。今、南方已に定まり、兵甲已に足る。当に三軍を奨率して、北のかた中原を定め、漢室を興復して旧都に還すべし。此れ臣の先帝に報いて陛下に忠なる所以の職分なり。
現代語訳
漢の丞相の諸葛亮は、軍勢を率いて北伐に出ました。出発にあたり上奏文を奉って言いました。「いま天下は三つに分かれ、益州は疲れ果てています。これは実に、危急存亡のときです。どうか陛下はお耳を広く開き、忠実な諫言の道をふさがないでください。宮中と府中(政府)は一体であり、賞罰や評価の基準に違いがあってはなりません。もし悪事を働き法を犯す者、あるいは忠義で善良な者があれば、担当の役人に任せてその刑罰や褒賞を議論させ、公平で明らかな政治を示してください。賢臣に親しみ、小人を遠ざけたことが、先の漢が興隆した理由です。小人に親しみ、賢臣を遠ざけたことが、後の漢が衰えた理由です。私はもともと無位無官の身で、自ら南陽で耕し、乱世に命をまっとうできればよく、諸侯に名を知られることを求めませんでした。先帝は私を身分が低く卑しいとせず、へりくだって三度も草庵を訪ねてくださり、当代の事を私にお尋ねになりました。それで感激して、先帝のために走り回ることを承知しました。先帝は私が慎み深いことをご存じで、崩御に臨んで大事を託されました。命を受けてから、朝晩憂い恐れ、託されたことが果たせず、先帝の明を傷つけることを心配してきました。それで五月に瀘水を渡り、深く不毛の地に入りました。いま南方はすでに平定され、兵と武具も足りています。三軍を励まし率いて北へ進み、中原を平定し、漢の王室を復興して旧都に帰すべきです。これが私が先帝に報い、陛下に忠を尽くすための職分です」。
解説

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『潜夫論』正列旧時、京師は動功を防がず、禁を造りて以来、吉祥応瑞、子孫昌熾なること、前に過ぐる能わず。且つ夫れ君を以て臣を畏れ、上を以て下を需むれば、則ち必ず弱きを示して陵がれを取らん、殆ど福を致すの招きに非ざるなり。嘗て上記を観るに、人君の身修まり正しく賞罰明らかなる者は、国治まりて民安し。民安楽なれば、天悦喜して曆数を増す。故に『書』に曰く、「王は小民を以て、天の永命を受く」と。孔子曰く、「天の助くる所の者は、順なり。人の助くる所の者は、信なり」と。信を履みて順を思い、又以て賢を尚ぶ、是を以て天より之を祐け、吉にして利しからざる無し、此れ最も凶災を却けて福善を致すの本なり。
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司馬法・嚴位若し将に復た戦わんとすれば、則ち賞罰を重くす。
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