人物志 / 九徵
故誠仁,必有溫柔之色;誠勇,必有矜奮之色;誠智,必有明達之色。
新字:故誠仁,必有温柔之色;誠勇,必有矜奮之色;誠智,必有明達之色。
書き下し
故に誠に仁なれば、必ず溫柔の色有り。誠に勇なれば、必ず矜奮の色有り。誠に智なれば、必ず明達の色有り。
現代語訳
だから本当に仁徳のある人には必ず温かく柔らかな表情が表れる。本当に勇気のある人には必ず気概にあふれた様子が表れる。本当に知恵のある人には必ず明晰で物わかりのよい様子が表れる。
解説
本当に備わった徳は、隠そうとしても表情や態度ににじみ出る。人物志はこの一致を、仁・勇・智それぞれについて具体的に描く。逆に言えば、言葉では立派なことを語っていても、態度に温かさや明晰さが伴わなければ、本物とは言いがたい。自分の内面と、日々の振る舞いや表情が一致しているかを、時々振り返ってみる価値がある。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
内面と外見表情一致
関連する章句
-
人物志・九徵夫れ色の貌に見るる、所謂徴神なり。徴神貌に見るれば、則ち情は目に発す。故に仁目の精は愨然として以て端しく、勇胆の精は、曄然として以て彊し。然れども皆偏至の材にして、勝体を以て質と為す者なり。故に勝質精ならざれば、則ち其の事遂げず。
-
『長短経』知人然らば則ち平陂の質は神に在り。〔神は智の主なり。故に神平らかなれば則ち質平らかに、神陂なれば則ち質陂なり。〕明暗の実は精に在り。〔精は実の本なり。精清ければ則ち実明らかに、精濁れば則ち実暗し。〕勇怯の勢は筋に在り。〔筋は勢の用なり。故に筋勁ければ則ち勢勇に、弱ければ則ち勢怯なり。〕強弱の植は骨に在り。〔骨は植の機なり。故に骨麤ければ則ち植強く、骨細ければ則ち植弱し。〕躁静の決は気に在り。〔気は決の地なり。気盛んなれば躁に決し、気冲なれば静に決す。〕惨懌の情は色に在り。〔色は精の候なり。故に色悴るるは情惨むに由り、色懌ぶは情懌ぶに由るなり。〕衰正の形は儀に在り。〔儀は形の表なり。故に儀衰うるは形殆うきに由り、儀正しきは形粛なるに由る。〕態度の動は容に在り。〔容は動の符なり。哀しみ動けば則ち容哀しく、態正しければ則ち容度あるなり。〕緩急の状は言に在り。〔言は心の状なり。心恕なれば則ち言緩く、心偏なれば則ち言急なり。〕若し質素にして平淡、中は睿く外は朗らか、筋勁く植固く、声清く色沢い、儀は崇く容は直ければ、則ち純粋の徳なり」と。
-
人物志・九徵気清くして朗らかなる者、之を文理と謂ふ。文理なる者は、礼の本なり。体端しくして実なる者、之を貞固と謂ふ。貞固なる者は、信の基なり。筋勁くして精なる者、之を勇敢と謂ふ。勇敢なる者は、義の決なり。色平らかにして暢びやかなる者、之を通微と謂ふ。通微なる者は、智の原なり。五質は恒の性なり、故に之を五常と謂ふ。五常の別、列して五徳と為す。是の故に温直にして擾毅なるは、木の徳なり。剛塞にして弘毅なるは、金の徳なり。愿恭にして理敬なるは、水の徳なり。寛栗にして柔立なるは、土の徳なり。簡暢にして明砭なるは、火の徳なり。体の変は窮まり無しと雖も、猶ほ五質に依る。故に其の剛・柔・明・暢・貞固の徴は、形容に著れ、声色に見れ、情味に発し、各其の象の如し。故に心質亮直なれば、其の儀勁固なり。心質休決なれば、其の儀進猛なり。心質平理なれば、其の儀安閑なり。夫れ儀動きて容を成し、各態度有り。直容の動は、矯矯行行たり。休容の動は、業業蹌蹌たり。徳容の動は、顒顒卬卬たり。夫れ容の動作は、心気に発す。心気の徴は、則ち声の変是れなり。夫れ気合して声を成し、声は律呂に応ず。和平の声有り、清暢の声有り、回衍の声有り。夫れ声気に暢ぶれば、則ち実は貌色に存す。
-
人物志・八觀其の言甚だ懌べども、精色従わざる者は、中に違う有るなり。其の言違う有れども、精色信ずべき者は、辞の敏ならざるなり。
-
『長短経』知人〔人物志に曰く「夫れ心質亮直なれば、其の儀は勁固なり。心質平理なれば、其の儀は安閑なり。夫れ仁固の精は、慤然として以て端なり。勇胆の精は、曄然として以て強なり。夫れ憂患の色は、乏しくして且つ荒る。疾疢の色は、乱れて理を垢す。喜色は愉然として以て懌び、慍色は厲然として以て揚がり、垢惑の色は冒昧にして常無し。是の故に其の言は甚だ懌びて精色従わざる者は、中に違う有るなり。其の言は違う有りて精色信ず可き者は、辞の敏ならざるなり。言未だ発せずして怒色先ず見わるる者は、意の憤溢なり。言已に発して怒気之を送る者は、然らざる所を強うるなり」と。凡そ此の類は、之に違わんと欲すと雖も、精色従わず、威愕以て明らかに、変ずと雖も知る可きなり。〕
-
人物志・九徵是の故に直にして柔ならざれば則ち木なり、勁にして精ならざれば則ち力なり、固にして端ならざれば則ち愚なり、氣にして清ならざれば則ち越なり、暢にして平ならざれば則ち蕩なり。